実家で開かれる恒例の新年会に、
今年は我が家の犬も連れて行ったのだ。
実家には黒猫がいるが、
過去に犬を連れて行ったときは、
猫側が敬遠して二階から降りてこないため、
二匹が顔をあわせることはなかった。
だから油断していたのだ。
そして、その油断に乗じて事件は起きた。
客を迎えるため、
台所で鍋の支度をしていると、
隣の部屋にいた犬が顔をのぞかせ、
いきなり唸り声をあげた。
すると、食卓の下から「シャー」という声。
知らないうちに、猫がそこにいたのだ。
先に動いたのは猫だった。
食卓の下から飛び出すと、
流しの上に跳んだ。
さらに食卓の上に跳んだ。
食卓の上には、
大皿にのった野菜と豆腐。
猫はちょうどその上に着地すると、
三度跳んで、駆け去った。
皿は床に転がり、
野菜が散らばる。
豆腐はつぶれる。
台所は一瞬にして惨状と化した。
食卓の上に食材を置いていたのは、
そこならば犬に取られないだろうと思ったからだ。
しかし、忘れていた。
猫は跳ぶのだ。
散らばった野菜は、
どうせ鍋に入れるのだからと、
洗いなおして出した。
まあ、料理ではなかったことが幸いか。
新年早々、
古典的なスラプスティックを自ら演じてしまった気分だ。