会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

直感でわかる数学

2012-01-16 00:48:25 | マクロ経済

経済学のテキストや,論文を読もうとすると,数式が出てきたところでわけがわからなくなって,結局,何を言っているのか分からない。

言葉でも説明があるけど,言葉にすると複雑すぎて・・・。

というわけで,昔を思い出しながら高校数学の解説書などを読んでいるんですが,それをやるのも結構苦痛です。

スラスラ説明されて,この場合はどうなる,こんなときはどうする,と解法をひたすら学ぶわけですが,それがどんな意味を持つのかが分からない。モチベーションを維持できないんですな。こうした解法が開発されてきた背景には,多分,知的な格闘があったはずだし,そうせざるを得なかった時代ニーズもあったに違いない,

というわけで,じゃあ,数学の歴史でも勉強するか,と思って検索してみると,本書。


直観でわかる数学
クリエーター情報なし
岩波書店


さっさと読める本ですが,

かなりグーです。数学の歴史本ではありませんが,初学者のなんでこれが大事なの,という疑問に答えてくれます。

著者は,数学の教科書がいかに不親切で,学ぶ側の思考に配慮していないか,をブツブツ文句いいながら,実はこうなんですよ,というスタイルで説明してくれるんですが,

とっても分かりやすい。そういうことだったのか,という具合。

これを読むと,退屈な計算問題にもう一度立ち向かおうか,という気力が戻ります。

教科書の不親切さ,について著者が力説しているのを読んでいると、
何も数学の教科書に限らない,という気がしてきます。

何かにつけて,教科書は不親切で,理解するのに必要な、肝心なことが書いていないことが多いんじゃないかと。

USCPAの勉強をしていたときのことですが,使った英語テキストは,定義が必ず書いてあって,異様なほどの詳しくて,誤解しやすいところはいくつも具体例を持ってきて,確実に理解させる,という姿勢が徹底していて,驚いたんですな。

その昔読んだ日本の会計のテキストは,定義があいまいで,場合によっては無かったりするし,敷居が高いし,仕分けの説明なんかも,いきなりやり方が書いてあってその意味がよく分からなかったり,という印象が・・・。昔なんで,今はもっと改善されているかも知れませんがね。とにかく,教科書的に書かれた本で,良い印象をもった記憶がないんですな。分かりやすく,本質について,順を追って書くことは,著者の水準がかなり高くないとムリなんで,それは,学者としての仕事がフツーにできている,ということともちょっと違うんでしょうな。

不親切,独りよがりの手抜き教科書が,日本の教育の障害になっているに違いない,と本書を読んで思ったりして。


為替と金はどうなるの HS DENT その2

2012-01-14 19:29:53 | マクロ経済

今年の米国経済について,ひいては世界の経済が,今年は厳しくなりそうだ,ということでしたが,

HS DENTが,今年に入って最新の動画をアップしているので,貼っておきます。
前回のインタビュー形式ではないんですが,まあ,内容はほとんど同じです。

Harry Dent January 2012 Youtube Update.wmv


いずれにせよ,FRBが量的緩和策を終えた影響が現れ始める第二Qから,失速をはじめると言っていて,もう,三ヶ月後のことなんですが,よほど自身があるんでしょうな。しかもかなり株価が落ちると言っているんで。

さて,ベビーブーマーの支出低迷→企業収益が悪化して,株価が落ちるのはわかるんですが,投資家に対して,ドルで持っとけ,とか,金もヤバイ,と言っているのはナンデだろうか,

FRBが紙幣を刷り過ぎてて,インフレになり、ドルの価値が下がり,ドル安になる,金も上がる,というのが,ピーターシフや,ロンボールや,ジムロジャースや,バフェットの主張で,結構そういう物言いに慣れてきた人間にとっては,やや唐突な感じがするんですけど・・・。

彼のサイトに,去年9月に書かれた,彼の主張の要約が貼ってありまして,

Deflation and a Deeper Downturn Are the Trends Ahead...Oh, That Means a Depression!



The point here is that we debased the US dollar in the bubble boom from 1983
to 2007 by allowing debt (which creates dollars out of thin air in the banking
system) to grow at 2.65 times the rate of economic growth for two and a half
decades! Creating more dollars than economic growth makes dollars less valuable. When we destroy such debt and dollars in the downturn and debt
deleveraging cycle ahead, dollars will become more scarce and, hence, more
valuable again.

83年から07年にかけて経済成長の2.65倍も債務を膨らませて,そのことは,ドル紙幣を刷り続けたということを意味し,ドルの価値を下げてしまった。

はいはい、ここまでは良いですな。

債務とドルのバブルを潰して,レバレッジを縮小させることになると,今度はドルの量が減るということになり,価値は再び上がるのだ。

なるほど、今は、状況が逆転しているということですね。

We see deflation, not inflation, due to massive private debt deleveraging beyond inevitable rises in federal US debt.

我々は,インフレでなく,デフレを予想しているのだ。なぜならば,連邦政府の債務が拡大するのは避けられないが,それ以上に私的部門での巨額の債務縮小が行われるからだ。

政府の刺激策など、問題でないほど私的部門の債務縮小が大きいってコト。FRBの資産が何兆ドルも膨らんだ、と騒いでも、それが問題にならないくらい全体では債務が縮小している、ということですね。

蛇足で補足しておきますと、債務縮小というのは、社会全体でみて、借入を返すということで、その分自由に支出できる金額、流通するドルが減ってしまうということですね。貸手は債務の返済を受けるのだから貸手の手持ちのドルが増えるだろうというハナシもあるんですが、銀行は返済を受けたらそれを使うわけじゃなくてバランスシートを縮小させるんで、通貨の流通量は減ってしまうんでした。金融の教科書に出てくる信用創造の逆ですな。

Even states and local municipalities will have to cut costs and pare down debt to survive, and those actions are deflationary as well. Deflation means that you need entirely different investment and business strategies,・・・

州政府や地方自治体も生き残るためにコスト削減や債務圧縮が避けられない。

デフレとなれば,投資やビジネスにおける戦略も全く異なったものになる。


We say that gold and silver are inflation hedges, not deflation hedges. Silver could fall from the $50 seen recently to as low as $6 to $10 in the years ahead. Gold could fall from $1,900-$2,000 to a wider range of $250-$750.

金や銀はインフレヘッジであって,デフレヘッジではない。銀は今の50ドルから6ドル~10ドルあたりまで今後数年で下げるだろう。金は1900ドル~2000ドル近辺から250ドル~750あたりに下げるかもしれない。

Oil could fall from a high such as $147 in 2008 to as low as $10-$40.

原油は,08年の147ドルから10ドル~40ドルまで下げるかも。

We advise being in safe assets like very-short-term US Treasuries and T-bills, and, better,the US Dollar Index, to preserve your capital―and even more so if you are overseas, to benefit from the likely rise in the US dollar vs. your currency in the years ahead. We think that the greatest risks among all assets to fall in the next 2 to 3 years during “The Great Crash Ahead” could be in silver and gold!

投資家へのアドバイスとしては,短期の連邦債で持つとか,ドルインデックス。海外に居るんならなおのこと自国通貨に対してドルが上昇するメリットを取るためにそうすべきだ。ここ数年の最も崩落するリスクが大きいのは,銀と金である。


というわけで,財政保守派や,FRB陰謀説論者とは一線を画し,むしろ,クルーグマンの見方に近いんですな。つまり,政府の刺激策は全く不十分で今後経済は失速するはというハナシ。

ただ,彼は,不足を政府が埋めるべきという考えには同意しておらず,刺激策は市場による健全な調整を遅らせるだけだ,という立場です。現状認識はクルーグマンでも,提言は保守派,という,まあ,現実的な線ではないでしょうか。


もう一つ,インフレ原因について,彼は人口動態の影響を主張していて,若い人間の労働市場にどれだけ多く入ってくるか,による,とも言っています。若い人は社会に出て支出を始めるが、実際にビジネスに貢献する以上に支出するから、というのが理由なんですが、給料以上に支出する、という意味ではなく、多分、生産性以上に給料をもらっている、という事を言っているようですね。

DENTは、過去のデータを観て、因果関係を見つける、という手法を取っていて、どうも、若者が社会に出る人数の多寡がインフレに一番関係しているようだ、というトコから出発しているんですな。


さて、金融を緩和し、中央銀行が紙幣を増刷すれば、インフレになる、というのは良く言われていますが、いま一つノレない感じで、日本で、日銀がどんだけ緩和しても、あんまし効果が無い、だからもっと緩和するべきだ、という主張も、ウーン。

DENTの説明は結構しっくりくる感じがしますが、どうなんでしょうな。

金と銀と原油が危ない、というのも、いつまでも右肩上がりは続かない、という常識に照らしてもそうじゃないか、という気がしてくるんですがね。

原油が下がるんなら、経済には良い影響が出るんで、予測も変わってくる可能性がありますがね。



次はサウスカロライナ、だけど・・・。

2012-01-13 07:22:14 | 政治
アイオアがどうのこうの、と言っている間に、ニューハンプシャーも終わってしまいましたか。

やっぱり、最初に出てくるアイオアの注目度がダントツで、ニューハンプシャーはその影に隠れてしまう感じになります
ね。

そのニューハンプシャーもミットロムニーが余裕のトップ。
ロン・ポールは二位。

もはや、ロンポールを泡沫、キワモノとして無視することはできない感じになってますなあ。

三位がハンツマン。
ようやく、登場。ただ、二位とも差があって、ちょっとムリっぽい感じです。

さて、もはや、この段階で、共和党はロムニーに決まり、って感じもしてくるわけですが、それではあまりに面白く無さ過ぎる、

と思っていたら、

Jon Huntsman Getting Beat by Stephen Colbert in South Carolina Polling


サウスカロライナの、事前の世論調査で、コメディアンのスティーブンコーベアが、ハンツマンより支持率が高かった、というハナシなんですな。

勿論、コメディアンが、出馬しているわけではないんですが、シャレで。

この動画に出てくる、サウスカロライナのプライマリーに、コーベアの名前を付けようとしたけど結局うまく行かなかった、というハナシも、先月ABCが報じていたようで、


Stephen Colbert Offers to Buy South Carolina Primary

When someone called the South Carolina GOP offering a half million dollars to help finance the state’s Republican presidential primary, state party officials must have thought the offer was too good to be true, and they were right.

サウスカロライナで、だれかさんが5千万ドル、共和党のプライマリー支援のために資金を提供すると電話をかけた。

That potential donor was comedian Stephan Colbert who, although reportedly serious about donating the money, demanded the primary’s naming rights in exchange.

お金を出す代わりに、そのプライマリーに名前を付ける権利を要求。

スティーブンコーベアスーパーパック、とかいう名前にしたかったみたいですが、だめだったみたいですな。まあ、そらそうでしょう。

スーパーパックのPACというのは、political action committeeの略で政治活動委員会とか訳されてますが、資金を集めて政治資金として提供する仕組みのようですな。資金提供を受けた政治家は、そのスーパーパックに資金提供している人の名前を公開する必要がない。透明性に問題がある、と批判されているようですが。

アイオアの時に、ミットロムニーが、友人のスーパーパックからギングリッジを批判するネガティブテレビ広告の資金が出てる、とか批判されてましたっけ。

このスーパーパックを通じれば、政治に自由に資金を提供できるのか、と彼が面白がって番組の中で自分の名前を付けたPACを本当に作ってしまったのですが、その名前をプライマリーに付けろ、と要求したわけですな。

彼はサウスカロライナ出身なんですが、

ひょっとしたら、本物の予備選でも、ふざけて彼の名前を書く人が続出するかもしれませんね。無効票になりますが、数字は発表してもらえると面白いんですがね。さすがに彼に負けた候補者は、ドロップアウトするんでしょうな。


コーベアがホストをやっている番組へのリンクです。

The Colbert Report - Full Episode

冒頭だけでもご覧いただくと、このコメディアンの才能がどんなものかわかるんじゃないかと思います。
オープニングで、米国旗を持って下の方に落ちてゆくんですが、

七三分けで、口を開けて、ワーッ、というノリは、ちょっと梅図かずおが入っています。


ティファニューが下方修正  悪い兆候?

2012-01-12 07:26:49 | マクロ経済
二日続けて、悲観的な見方を取り上げたところで、もうひとつ、気になる出来事が。

Tiffany cuts view in warning sign for luxury

ティファニーが下方修正した、というんですな。
もともと、前半は調子が良かったんですが、肝心のホリデーシーズンの伸びが今一つだったようで、株価が急落しています。


NEW YORK (MarketWatch) ― In a warning sign that the outperforming luxury sector may be showing some signs of strain, Tiffany & Co. on Tuesday cut its full-year profit outlook after holiday season sales of fine jewelry slowed “markedly” in the U.S. and Europe.

ティファニーが火曜日に、通期の利益予想を引き下げた。米国と欧州のホリデーシーズンの宝石の売上がスローダウンしている。


Tiffany’s worldwide sales in the two months ended Dec. 31 rose 7% to $952 million, led by double-digit growth in Asia and Japan. Excluding the currency impact, comparable sales rose 4%.

2か月過ぎたところの12月段階で、世界全体での売上は7%の伸び。アジアと日本が二桁の伸び。為替変動を調整後での既存店売上は4%の伸び。

In the Americas region, which includes the United States, Canada and Latin America, sales rose 4% to $503 million. On a constant-exchange-rate basis, total sales increased 4% and comparable store sales rose 2%. Comparable Americas’ branch store sales rose 3% and New York flagship store sales, about 8% of the company’s total, declined 1%.

中南米地域では4%の伸び。為替調整後でも4%の伸びたが、

フラッグシップのニューヨークの店舗の売上は1%下がった。

ティファニーの下方修正は、欧州と、米国の東側の売上が悪いから、ということなんですが、規制強化でウォールストリートのボーナスが落ちていることや、ユーロが下がって、欧州からの買い物客が減っているんじゃないか、

と分析されているようですが、

ひょっとして、DENTやウォールストリート流分析が示すような消費支出落ち込みの兆候が現れ始めている、

ということは無いでしょうかね。

今は、まだ、株価の好調が続いているし、ホリデーシーズンの小売売上も全体としては良かったようなんですが、ちょっと気になりますね。






今年は厳しかも  ウォール街流景気予測の方法

2012-01-11 00:28:19 | マクロ経済
昨日は、Dent氏の人口論をベースにした悲観論をご紹介したわけですが、このブログでは、もう一人、経済予測の達人を取り上げていたんでした。

今年の失業率回復を予測する

米国経済どっち向き?

本書なんですが、

ウォール街流 米国景気予測の方法 - 元ゴールドマン・サックス人気アナリストが明かす実践的手法
クリエーター情報なし
エナジクス


つまり、米国の景気予測は、消費者支出を起点としてみるべし、という主張です。
失業率を取り上げて景気が悪いだとかいうエコノミストがいるが、失業率は遅行指標であって、失業率が最悪になっている時には、既に経済は回復を見せていることが多い、みたいなことが書かれています。

注目すべきは、消費支出なんですな。

HS DENTは、人口変動に注目し、ベビーブーマーの高齢化に伴う支出変動をとらえて経済予測をしているわけですが、視点は長期です。

多数派のベビーブーマーの加齢に応じた支出動向が、企業収益を、ひいては株価動向を決めるのだ、というわけですが、

本書は、ここのところ、消費支出が株価を決めてゆく、という点を数字で検証してゆきます。

消費支出が景気を先導する。

DENTが長期的な動態を説明しているとするならば、本書は短期の見方を説明していて、丁度良い具合に相補的な関係になっています。

では、本書の分析手法で、足元をみてみるとどうなるか。

本書の読者のために著者がグラフを更新して現況を解説しているサイトがあるんですが、


Figure 8-4: Bear markets begin when growth in real consumer spending (PCE) peaks and begins to slow

Current Comment: Slowing real-wage growth, detailed in Figure 10-4, indicates that Y/Y growth in real consumer spending will deteriorate over the next 1-2 years. This suggests that corporate-profit (S&P 500) earnings growth will also suffer, and raises a strong possibility that the stock market may be headed for another decline.

実質賃金の低下が実質消費支出をこの1年から2年は悪化させてしまうだろう。このことは、企業収益に影響を与え、さらに株価が下落する可能性を強く示唆している。

ああ。本書の著者も、株価下落を予想しているんですな。まあ書かれたのは去年の10月みたいですがね。

このリンク先のグラフをみれば、実質消費支出と、S&Pの変動がほぼ同時に同方向に動いていることが分かりますね。常に先導するとは限らず、若干遅れているタイミングの時もありますが、方向性は一致している。そして、ここのところ、落ち込み方向なのがわかりますね。

株価は、短期的には、ユーロ圏への不安だっり、変動について後付でいろいろ理由をつけられるわけですが、本書は、基本的に消費支出を見ていれば間違いないという立場なわけで、グラフを見りゃ、確かにそうなんですな。

で、この消費支出を先導する指標は何なのか。

それが、実質賃金なんですな。

Figure 10-7: Real hourly earnings: Best leading indicator of real consumer spending (PCE)

このリンク先のグラフを見れば、実質時給の動きは明らかに実質支出に先行して動いていますね。
ということは、実質時給の変動を追いかければ企業収益や株価の動きを予想することができる、ということになりますが、

著者のコメントは、

Current Comment: The recent downtrend in Y/Y real-hourly-earnings comparisons does not bode well for the consumer spending outlook. This, in turn, is a warning sign that we may be facing a renewed slowdown in the economy in general and in corporate profits, with commensurate difficulties for the stock market.


実質時給の足元の下落は、消費支出の見通しにとって良い兆候とは言えない。つまり、これは我々が経済全般や企業収益が新たにスローダウンするという警告であって、それに応じて株価も厳しくなるかも、ということなのだ。

というわけで、著者も悲観的ですな。

これらの下向きグラフの背景には、DENTの主張するように、ベビーブーマーの支出減があるってことなのかも知れませんが、いずれにせよ、達人両名が、今年の悪化を予想している、

ということです。



ウーン、オバマ再選説は、厳しいですかね。



株価崩壊? in 2012 予言者Harry Dent

2012-01-10 00:25:24 | マクロ経済


エコノミスト誌のドまじめな予測とはちょいと違いますが、とは言ってもこれまで、経済の大きな転換期について予測を当ててきた予言者、HS Dentが、年末にこんなことをおっしゃってます。


Harry Dent Says S&P 500 Will Fall 30-50 Percent in 2012


1.ベビーブーマーが支出を収縮させはじめる
2.既に07年に支出のピークを迎えているが、その後変動があまり無い時期だった。
3.今年からベビーブーマーは年齢的に支出を控えはじめる。
 老後に備え貯金を増やし、大きな家を買わず、子供達は巣だってしまい支出しなくなる

4.その結果、企業収益に悪影響を及ぼし、株価が大幅に下落する
 調整するのは株価だけでなく、住宅、その他あらゆる資産が値下がりする。

5.FRBの量的緩和がまだ効いているが、恐らく、その効果の切れる今年の第2四半期から調整する
6.ベビーブーマーが持っている株を売るから、株価が落ちると言っているのではない。今後、死ぬまで、支出を減らしてゆく年齢になったということだ。支出が減れば企業収益が悪化して株価が下がる。

あー、コワッ。

これを、インチキとして片づけられないところが、つらいとこで、これまでの実績を考えると、トンデモ系おじさんとはとても言えないんですな。

『デフレの正体』 その2 米国の先行者 Harry s.Dent

もし、彼の予想通りになったとしたら、そらえらいことになるでしょうな。日本の株価も大幅に落ちるし、それ以前に、米国の大幅な景気後退が、日本景気にも大きく効いてくるでしょう。

オバマさんの再選も難しくなりますね。


さて、どの程度株価が落ちるのかですが、

Tampa author Harry S. Dent Jr. predicts 'Great Crash' ahead

Let me run some numbers by you. Still think the Dow will fall to around 3,800?

Dent: We've got a range of 3,000 to 5,600. Again, bubbles go to where they started. The stock bubble started in late '94. So 3,300 is where a lot of our projections point from different models.

ダウは3000ドルから、5600ドルまでの下落を予想。今の株価は94年の3300ドルからスタートしてここまで上がっている。バブルはスタート時点に戻るものだ。他の予測モデルでもそのあたりを示している。

It'll (hit bottom) somewhere between late 2012 and late 2014. Maybe in 2013 you'll see the bottom. If this government, like Japan, can keep stimulating, keep finding new bullets as they have thus far, it could affect timing. But (the Fed) is really running out of bullets.

2012年の遅くから2014年の間のどこかが底だろう。政府が刺激策を続ければタイミングを遅らせることができるが、タマ切れだろう。

How high do you see unemployment going?

Johnson: Thirteen to 15 percent.

Dent: And more like 25 percent when you consider the unofficial number of people who have given up looking for work. That 25 percent is Depression level. Even 15 percent is way more than we saw in the worst of '82.

失業率は15%。職探しをあきらめた人達も考慮にいれると25%。15%でさえ、82年の最悪時期よりずっと悪い。


ヒエーッ。そんなに?

まあ、以前の著書でも、タイミングはあたったが、金額を予測するのは難しくて外れてまった、と書いているので、こんなに落ちない可能性もありますな。

ただ、ある程度の下落はありかもってトコでしょうか。







クルーグマンコラム 偉大なケインズ

2012-01-08 09:34:26 | マクロ経済

ケインズの説得論集の新訳が出てまして,ちょいと読みかじってみると、これ,クルーグマンコラムとほとんど同じじゃん,とびっくりしまして,

どこが同じなのか。


ケインズ 説得論集
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社


行過ぎた,財政緊縮政策について警告を発しているんですね。
おそらく,クルーグマンはこの説得論集を意識してNYTのコラムを書いているに違いないですな。それ位,似ています。

説得論集で,素人的に納得できるのは,

1,失業者が増えると,政府の失業給付も増える
2.どうせ失業給付として払うのならば,失業者に仕事をしてもらった方が良い
3.失業手当が公共事業支出に振り変わる部分は財政負担にならない

なるへそ。

マクロ的な需要不足を政府支出によって穴埋めする,という言い方をされると,アホか,と感じるわけですが,失業給付を支給する代わりに仕事をしてもらいまっせ,と言えば納得できる。実質的には同じことなのですが,モノは言いようで。

まあ,政府資金がマーケットの投票抜き直接流れ出ると,利権が生まれ,ムダがはびこり,寄生獣が成長してしまう,という問題はあるんですがね。ケインズの時代には,まだそういう問題はあまり切実ではなかったんでしょうな。



去年最後のクルーグマンコラムは,ケインズについてでして,ケインズの正しさ、を強調しています。

Keynes Was Right

“The boom, not the slump, is the right time for austerity at the Treasury.” So declared John Maynard Keynes in 1937, even as F.D.R. was about to prove him right by trying to balance the budget too soon, sending the United States economy — which had been steadily recovering up to that point — into a severe recession. Slashing government spending in a depressed economy depresses the economy further; austerity should wait until a strong recovery is well under way.

緊縮財政は経済がブームにあるときに行うべきなのであって、スランプにあるときではないのだ、

とケインズは言ったが、それはちょうどフランクリン・ルーズベルトさえも、米国経済が回復しつつある最中に、財政をバランスさせようと早まったためにひどいリセッションに陥れて、ケインズが正しいことを証明する直前のことだった。
不況時に財政支出をカットすると経済をさらに悪化させる。緊縮財政は十分に経済が回復するまで待つ必要があるのだ。

と、従来の主張を繰り返しています。
クルーグマンは、オバマ政権の、経済刺激策が不十分であること、にも関わらず政治的な反動がやってきて身動きがとれなくなることを警告してきましたが、この記事でもそれを繰り返しています。

で、

So the real test of Keynesian economics hasn’t come from the half-hearted efforts of the U.S. federal government to boost the economy, which were largely offset by cuts at the state and local levels. It has, instead, come from European nations like Greece and Ireland that had to impose savage fiscal austerity as a condition for receiving emergency loans — and have suffered Depression-level economic slumps, with real G.D.P. in both countries down by double digits.

ケインジアン経済学が正しかったというのは、米国政府の中途半端で、州政府の予算カットで大きく相殺されてしまった経済刺激策を見るのではなく、ギリシャやアイルランドのような、緊急支援を受ける条件としてひどい緊縮をやらされた国を見ればわかる。どちらもひどい不況で、実質GDPは二桁台でダウンしている。



政府の支出を削れば、政府が市場の邪魔をしている状況が改善して、経済はむしろ回復に向かう、という保守派の議論は誤りで、不況に緊縮をやればひどい目にあうのだ、というわけですな。

さらに、

We entered 2011 amid dire warnings about a Greek-style debt crisis that would happen as soon as the Federal Reserve stopped buying bonds, or the rating agencies ended our triple-A status, or the superdupercommittee failed to reach a deal, or something. But the Fed ended its bond-purchase program in June; Standard & Poor’s downgraded America in August; the supercommittee deadlocked in November; and U.S. borrowing costs just kept falling. In fact, at this point, inflation-protected U.S. bonds pay negative interest: investors are willing to pay America to hold their money.

2011年のはじめ、FRBが国債購入をやめたり、米国債がトリプルA格をを失ったり、予算削減が合意に至らなかったら、即座にギリシャスタイルの債務危機に陥ると騒がれていた。実際に、FRBは6月に国債購入を止めたし、8月にはS&Pが国債を格下げ、11月にはスーパーコミティによる予算削減も暗礁にのり上げたが、国債金利は下げ続けている。実際のところインフレ連動の米国債はマイナス金利で、投資家はお金を払ってまで資金を国債として寝かしておきたいのだ。


The bottom line is that 2011 was a year in which our political elite obsessed over short-term deficits that aren’t actually a problem and, in the process, made the real problem — a depressed economy and mass unemployment — worse.

つまり、2011年は米国の政治エリート達が実際には問題にならない短期的な財政赤字に、過度に囚われた年であり、囚われてしまったために、不況や、大規模な失業という本当の問題を一層悪化させてしまっているのだ。


というのが、クルーグマンの去年の総括なのでした。


日本でも同じことが起きていて、さぶーい増税談義になっていますが、増税されたら経済への影響はあるでしょうな。橋本政権の時にひどい緊縮をやって景気が落ち込んで、自殺率が上がったというのはここでも見てきました。労働生産性人口が減ったタイミングと同じだったんで、緊縮だけが不況の原因かどうか、よく分かりませんがね。決めつけの本はあっても詳しく分析しているものが見当たらなくて・・・。

日本での増税反対論議は、財政赤字が大きくても国債金利が低いままじゃないか、とか、日本は海外から調達していないのでデフォルトしない、とかですが、基本的にクルーグマンの議論と方向は重なってますな。



Paul Krugman - The Most Important Book in Economics

ザ・ワールド・イン2012 ロンドンエコノミスト

2012-01-06 07:29:03 | ロンドンエコノミスト

The World In 2012

毎年,エコノミスト誌が出している,予測本。

世界の政治,経済を概観していて,簡潔でポイントを押さえていて,かなりお勧めなんですが,

本屋に行くと,2500円もする。

二年前ロンドンの雑貨屋のレジで見つけたときは,6ボンドだったんで,こら高すぎる。1000円程度のものを,送料やら,為替やら考えても,それはないだろうって感じで,なんとかならないものか,

と,調べていると,

ナント,日本語版が出ているではないか。


ワールド・イン・2012 (講談社 Mook)
クリエーター情報なし
講談社


いや,気が付きませんでした。
早速本屋に直行して,購入。

冒頭,編集長が,

『日本語版の編集にあたっては,英語版が持つ雰囲気を可能な限り読者の皆様にお伝えできるよう編集は最小限にとどめた上で,原文に忠実に翻訳しています・・・,紙面デザインも英語版にならいました』

とお書きになっている。

すっばらしい。

おっしゃるとおり。

余計な編集いりません。日本の独自記事も不要。
昔,別の出版社から出ていた頃も買って読んでましたが,日本人評論家の記事の部分だけレベルが全く違ってて,違和感だけが残るような状態になってたんで,無い方が良い。

日本人評論家の記事は,たとえば,小泉政権は崩壊する,だの,多分政党の実力者に聞いて回ったネタを元に決め付けて書いてたりして,分析も根拠も全く不十分だったりする。その予想も見事外れた。

一方で,本家のエコノミストの記事で,論理だてのはっきりしない記事は,存在しないし,ソースもきちんと書いている。どんな問題についても読んですんなり納得できる,という驚異的な水準で記事が書かれている。

経済記事も日本独自記事は,データの解説だけだったり,一部分を細かく解説しているだけで,何が言いたいのかわからない,という印象が残って,読んでて面白くない。

まあ,一緒になっていると,日本の雑誌記事のレベルがどんなもんかよく分かって面白い,という面はあるものの,無くて良いですな。

本書は1300円。妥当な設定だし,是非お勧めです。水準は高くとも,別に難しく書いているわけじゃない。その辺の予測本を買うんなら,本書を読んだ方が良いんじゃないかと。その辺の予測本は,ネタ集であって,バラバラになってて読んでてもいまひとつ・・・。


本書の冒頭に,米国大統領選挙を予測する記事があって,共和党はロムニーとリックペリーの戦いになる,と書いてあるんですが,これは,外れ。共和党のアップダウンには,さすがのエコノミストも予想がつかないようで。

主な国家指導者の交代のリストに,なぜか韓国の大統領選挙について触れてませんな。台湾はあるのになぜかな。台湾ほど世界に対する影響が少ないとみているからですかね。

とあれこれ,楽しく読ませてもらってます。




ロン・ポール3位。サラ・ペイリン恐るべし。 アイオア予備選 

2012-01-05 00:13:46 | 政治


4日も休みだったんで、予備選が気になって気になって、ちょいとフォローしたりして。

結局ロン・ポールは3位に終わりました。

最近は、すっかり応援する気持ちになってて、ひょっとしたらトップに立つんじゃないか、と期待してたんですがね。

それでもご本人は、いたって意気軒昂です。

Ron Paul Speech After The Iowa Caucus Result "WE WILL GO ON!"


Paul declares he's "satisfied" with third place finish

"We're three tickets out, which is obviously true, and one of two that can actually run a national campaign and raise the money," he said, in an apparent jab at Santorum.

切符は3枚だ。どう見てもそうです。そして、実際に全国レベルで戦えて、選挙資金を確保できるのは2人だけだ。
と彼は言った。、明らかにサントラムに対してジャブを打っている。



そうなんですな。

一位がロムニーなのは、分かるんですが、リック・サントラムのラスト数日の奮闘にはビックリ。
ずっと泡沫候補で、ネタ扱いされてたんですが、8票差で2位。

サントラムは一生懸命やっているけれどもトラクション、つまり牽引力に欠けると言われてたんですがね。

実は、ハーマン・ケインがスキャンダルでドロップしたあたり、つまり、ちょうど一月前にサラ・ペイリンが次はこいつだ、とばかりに支持を表明してたんですな。

Sarah Palin Praises Rick Santorum


皆、サントラムに注目しはじめてるわ。残り32日を見ててよ。


アホか、って感じでしたが、おっしゃる通りになりました。
ペイリン、恐るべし。

最後まで誰に投票するか決めていなかった人が多かったみたいなので、ロムニーは絶対イヤ、ロンポールはヤバそう、ギングリッジなんて・・・、みたいな感じで、ま、フツーそうだし、と最後の段階で、彼になだれ込んだのかも知れませんが。

さて、ロンポールの支持者の反応ですが、

Paul's supporters seemed to agree. Tim Sirianni, Jr., 36, and Joe Corbin, 31, said they wouldn't vote for an alternative Republican candidate should Paul fail to clinch the nomination. Sirianni supported then-Democratic candidate Barack Obama in 2008, but caucused for Paul this year. He said he was "hoping to win" or at least "get in the top two," and was disappointed by Tuesday night's outcome.

ティムとジョーは、もし、ロンポールが今後負けてしまったら他の共和党候補に投票しない。フムフム。
シリアーニはもともと08年に民主党オバマを支持したが、今年はロンポールに。3位はがっかりしている。


もともとオバマ支持者がロンポールにシフトしている、

ということが本当にある、ということが、この記事でわかりますな。
一人の具体例に過ぎませんがね。
以前からの繰り返しになりますが、万が一、彼が勝ち残ってオバマと一騎打ちするようなことになると、意外に面白いことになるかもでして、

ロムニーだと、穏健保守派は支持するが、オバマとどこが違うんだ、と右派がドロップアウト。
ロンポールだと、穏健保守派はドロップアウトするが、右派とインディペンデントと若者が参加。

ロムニーが、予備選で勝つために右派に配慮して今後も緊縮財政を強調せざるを得ない、となると、穏健保守派はリセッションを恐れてオバマを支持する可能性が高くなることを考えると、

結局ロムニーはオバマに勝ちにくい、

とも考えられますね。
ってか、私が、そんなこと考える意味は、無いんですがね。


But longtime Paul supporter Corbin said he wasn't surprised. "Is it lower than expected really?" he asked of Paul's finish. "All I heard all weekend was how Santorum's surging and that Romney's gonna win anyway, so it really kind of looks like how they said it. So I don't know if it's lower than expected per se, but there's an element of disappointment there."

昔からのロンポール支持者カービンは、

3位でも予想より悪いという感じはない
サントラムのことは聞いていたので、それ自体が予想より悪かったということはないと思うけど、ただ、失望感は漂っている。



調査ではトップか2番手だったんで、確かに失望感、というのは分かります。
まあ、サントラムはあまりに急に出てきたんで、まだ、メディアの厳しい吟味を受けていなくて、これからあれこれほじくり返されることになるわけでして、

さて、これからどうなりますことやら。

これまでのロン・ポール関連記事

日米の懸案って

2012-01-02 14:57:00 | 政治



正月休暇でヒマを持て余してて,国務省のサイトをのぞいてみるとヒラリーさんと玄葉大臣の12月19日の共同記者会見の動画がアップされてるんで,見てみると、

北朝鮮の金正日が亡くなったハナシや,日米印,日米中の会議のハナシなんかが話されているんですが、

まあそれは良いとして,ちょっと驚いたのが,

その他の懸案を並べているトコでして、

The minister and I also discussed a number of bilateral and regional issues and reviewed the close and ongoing collaboration between Japan and the United States in the aftermath of last March’s earthquake, tsunami, and nuclear crisis.

津波と原発事故,これは,そうですな。

We discussed Japan’s recent move to pursue consultations on joining the Trans-Pacific Partnership negotiations to resolve longstanding trade concerns in order to deepen the economic ties to the benefit of both our countries.

TPP。これもそうでしょう。

で,これは。

I also urged that Japan take decisive steps so that it accedes to The Hague Convention on International Parental Child Abduction and address outstanding cases.

親による児童連れ去りに関するヘイグ条約に加盟すること,現在懸案となっている事件を解決するよう促した。

なんじゃこれは、そんな問題があるのか。と思って調べてみると,

「国際離婚」子ども連れ帰る日本人妻―欧米で犯罪扱い

先週、フランスの議会・上院はフランス人男性と結婚した日本人女性が、離婚する際に無断で子供を連れて帰国する事件が相次いでいるとして、日本政府にハーグ条約への加盟を求める決議を採択した。米国からも条約加盟を求める圧力がかかっている。新聞報道によると、キャンベル米国務次官補は2日(2011年2月)の記者会見で、日米間の国際結婚で日本人の親が子供を連れ去る事件が多発し、「非常に懸念すべき事態になっている。米議会も懸念している」と述べ、ハーグ条約への加盟を求めた。

日本の法体系は,欧米とはちょいと違っていて,簡単には加盟とは行かないという事情もあるようですが,そもそも,自分の子供を連れて帰って何が悪い,という言い方は日本でしか通用しないみたいですな。

ところで,普天間については一言も触れられてないようで。

リンクはc-spanバージョンです。

Remarks With Japanese Foreign Minister Koichiro Gemba After Their Meeting