経済学のテキストや,論文を読もうとすると,数式が出てきたところでわけがわからなくなって,結局,何を言っているのか分からない。
言葉でも説明があるけど,言葉にすると複雑すぎて・・・。
というわけで,昔を思い出しながら高校数学の解説書などを読んでいるんですが,それをやるのも結構苦痛です。
スラスラ説明されて,この場合はどうなる,こんなときはどうする,と解法をひたすら学ぶわけですが,それがどんな意味を持つのかが分からない。モチベーションを維持できないんですな。こうした解法が開発されてきた背景には,多分,知的な格闘があったはずだし,そうせざるを得なかった時代ニーズもあったに違いない,
というわけで,じゃあ,数学の歴史でも勉強するか,と思って検索してみると,本書。
直観でわかる数学 | |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
さっさと読める本ですが,
かなりグーです。数学の歴史本ではありませんが,初学者のなんでこれが大事なの,という疑問に答えてくれます。
著者は,数学の教科書がいかに不親切で,学ぶ側の思考に配慮していないか,をブツブツ文句いいながら,実はこうなんですよ,というスタイルで説明してくれるんですが,
とっても分かりやすい。そういうことだったのか,という具合。
これを読むと,退屈な計算問題にもう一度立ち向かおうか,という気力が戻ります。
教科書の不親切さ,について著者が力説しているのを読んでいると、
何も数学の教科書に限らない,という気がしてきます。
何かにつけて,教科書は不親切で,理解するのに必要な、肝心なことが書いていないことが多いんじゃないかと。
USCPAの勉強をしていたときのことですが,使った英語テキストは,定義が必ず書いてあって,異様なほどの詳しくて,誤解しやすいところはいくつも具体例を持ってきて,確実に理解させる,という姿勢が徹底していて,驚いたんですな。
その昔読んだ日本の会計のテキストは,定義があいまいで,場合によっては無かったりするし,敷居が高いし,仕分けの説明なんかも,いきなりやり方が書いてあってその意味がよく分からなかったり,という印象が・・・。昔なんで,今はもっと改善されているかも知れませんがね。とにかく,教科書的に書かれた本で,良い印象をもった記憶がないんですな。分かりやすく,本質について,順を追って書くことは,著者の水準がかなり高くないとムリなんで,それは,学者としての仕事がフツーにできている,ということともちょっと違うんでしょうな。
不親切,独りよがりの手抜き教科書が,日本の教育の障害になっているに違いない,と本書を読んで思ったりして。