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マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配

2010-07-06 22:31:40 | 政治
この週末、このごつい名前のついた、分厚い本を読んでたんですが、この分厚さで1600円、とか妙なところに感動してたりして。550ページもあるんですが、結構読みやすい。

この本の良いところは、ああらしい、こうらしい、といってテキトーにネタを並べるんじゃなくて、出典を示して結構詳しくそれなりに、それなりの分量で説明がされている、ってとこですかね。

モンサントに関する、ああでもない、こうでも無いは、結構ネットにもドキュメンタリー映画が公開されていて、ここでもご紹介してまして、そう、目新しい感じはしません。

ただ、もう少し大きな絵、つまり、米国の産業政策、つまり、製造業から他の成長産業にカジを切る際に、情報通信やサービス業、だけじゃなくて、バイオやらアグリビジネスも、というときには、こういうことを言うンか、ということがよくわかるんですな。単に、新しい素材を開発、とか効率の良い新種を開発する、とかいうんじゃなくて、米国の世界戦略の中に位置づける。EUと交渉する時には、米国の市場をEUのメーカーに解放する代わりに、遺伝子組み換え作物の輸入を認めさせる、みたいな。米国の製造業を見捨てて、こっちで行くぞと、政策を進めてしまう。

さらに、米国の産業シフトだけじゃなくて、安全保障から、途上国搾取まで、徹底的に国益、ってか私益を追求する。

ロックフェラー、ってか、東部エスタブリッシュメントでも、コーポレートクラシーでも良いんですが、自分達の私的利益がいつの間にか政策の中に織り込まれて、米国の利益だ、という風に変えられてゆく感じも、よーく分かるように説明されてます。

政治任用で、子分を政府に送りこんで世界を経済で支配していく、って感じですかね。

ただ、米国の多国籍企業が、米国の政策によって儲かって発展した場合、それは東部エスタブリッシュメントだけじゃなくて、米国民全体の利益につながる、と主張されると反論は難しい。自己矛盾無く、こころゆくまで自分の利益を追求することで世の中のためにも役立っていると信じることができる。

まあ、そう考えてゆくと、経団連が日本政府にモノ申す、というのとどこが違うんだって感じもあって、ロックフェラーがどうのこうの、と、おどろおどろしく言うのはちょっとどうか、と思いますがね。

批判しているよりは、日本もこれくらいヤレよ、って言う方が良いかもですな。日本の戦略ってどうなってるんですかね。これからは電気自動車。じゃ、減税します、って5分くらいで思いつくこと以外に深慮遠謀、ちゃんとたくらんでいただいているんでしょうか。

ただ、本書で紹介される米国の場合は、やり口があまりに強引ナンデ、黒船でやってきて、不平等条約を押し付けるようなやり方をまだやっとんか、みたいな感じはあるんですな。



マネーハンドラー ロックフェラーの完全支配 【アグリスーティカル(食糧・医薬)】編 (超知ライブラリー 53)
ウィリアム・イングドール
徳間書店


とまあ、そういう読み方をするのが、よさそうだなあ、と思いつつも、本書はインボー説をとっていて、遺伝子組み換え作物はもともと人口調整のために仕組まれた、みたいなストーリーになっているんですが、

まあ、今世紀前半に、そういう優生学的な発想で、劣った連中は殺しちゃえみたいな考えでロックフェラー財団が遺伝子組み換えに、種銭を、もし仮にそう考えて出したのだとしても、今までその構想がつづいてて、今も、その戦略で動いてるというのはちょっとムリを感じます。本書でも今までのつながり面については弱弱で、今一つ説得力が無い。本書の翻訳者もあとがきでその点を認めちゃってます。



同じインボー本でも、その辺に転がっているヘッポコ本よりは、この本をじっくり読むことをお勧めします。




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