会計スキル・USCPA

会計はビジネスの共通語。一緒に勉強しましょ。

クルーグマンコラム メディケア vs  民営化

2011-06-18 15:06:41 | 政治
ニーヨークタイムズのクルーグマンコラムです。

ポール・ライアンのメディケア民営化案が、物議をかもしている中で、クルーグマンが改めて、メディケアはコストの上昇を抑えているのだ、と説明しています。

Medicare Saves Money


The idea of Medicare as a money-saving program may seem hard to grasp. After all, hasn’t Medicare spending risen dramatically over time? Yes, it has: adjusting for overall inflation, Medicare spending per beneficiary rose more than 400 percent from 1969 to 2009.

メディケアコストは1969年から30年で4倍に上がっている。

しかし、

But inflation-adjusted premiums on private health insurance rose more than 700 percent over the same period. So while it’s true that Medicare has done an inadequate job of controlling costs, the private sector has done much worse.

民間の保険料はインフレ調整後で7倍にもなっていて、メディケアが適切な仕事をしていないというのは本当だが、民間のはもっと良くない。

というわけですな。

公営は不効率だというのが保守派の主張で、

保険を直接提供する代わりに、バウチャーを渡して民営の保険を買わせれば良いじゃないか、という代案を本当に実行に移してしまえば、老人達は今までと同じレベルの医療を受けられなくなる、というんですな。


Paul Krugman - Death Panels Will Be a Cost Saver


公営の方がコストが高いというのはウソだ、というのはクルーグマンの一貫した主張なんですな。

そう言えば、英国でサッチャーがいろんなものを民営化したが、コストが本当に下がったかどうかは疑わしいと書かれた本を読んだことがあります。

というのも、民間はどうしてもある程度の利益を確保する必要があるので、同じサービスを同じオペレーションで提供すると民間の方がコストが上がってしまう。外注する値段の方が、政府が自身で運営するコストよりも高い、とかいうハナシです。

政府がやったから、といって、コストが高いわけではなく、運営を厳しく管理すれば、公営でも効率を上げることは可能だ、とも書いてありましたかな。

数字をみてないでなんとも言えませんが、そういう議論もあるってことですね。

外注か、内製か、なんて昨今の企業コスト削減策の議論にも似てるんですがね。


まあ、お役所で厳しい運営管理、なんて、ちょっと日本じゃあり得ない感じですが、お役人が管理するんじゃなくて、選挙で選ばれた人なり、そういう人のスタッフが直接管理すれば、公営でもいいかもですな。