2月18日、KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオで、エルフリーデ・イエリネク作「騒音。見ているのに見えない。見えなくても見ている!」を見た(地点公演、
演出:三浦基、音楽監督:三輪眞弘)。
2004年にノーベル文学賞を受賞したオーストリア人作家の最新戯曲。日本初演。
舞台装置:円形の舞台を透明なビニールがすっぽり覆っていて、それが時々少しずつ上昇する。完全に上がってしばらくすると、また少しずつ下降。
所々にスリットがあり、役者たちはそこから出入りする。
音楽:ガムラン。1時間35分の公演中、途中に一度、間を置いて、同じものが絶え間なく演奏される。単調だが、その代わり、まったく
芝居の邪魔にならないことは確か。
仕草:ウィルス、マスク、ワクチンを表わすという3種の仕草が、プログラムであらかじめ説明される。
「ウィルス!」と一人が言うと、役者たちは片手をひらひらさせて歩く。
「マスク!」と言うと、みんな左手で口を覆い、右手を斜め前方に挙げて「カミカミカミサマ、カミカミカミサマ・・・」と唱えつつ歩く。
「ワクチン!」と言うと、みんな片手を差し出し「コロナコロナキタ、コロナコロナキタ・・・」と唱えつつ歩く。
時々「ディスタ~ンス!」とも言われる(笑)。
また時々「ルイ!」と言うと、両手で口を押さえる。これは意味がわからない。誰か教えて。
マスコミや科学者(専門家)の言葉が引用され、巷に噂やデマが蔓延する。
「このウイルスは、本当は全然たいしたことありません。インフルエンザの方がよっぽど恐いんです」
「でも死者の数が多いでしょう?よく計算し直して下さい」
「アメリカが中国を陥れようとしたのか」
「中国がアメリカを陥れようとしたのか」
その他、膨大なセリフの中から印象的なものを挙げると、
「オデュッセウスは故郷に帰りたかった」
「帰っても14日間は外に出られないんですよ」(笑)
「あなたのワクチン接種・・」
「在宅勤務です」
「あのアジア人たちは、いつもマスクをしている」
「音楽の勉強のために留学している」
これにはドキッとした。明らかにウィーンに留学している日本人音大生のことだろう。
郷に入っては郷に従ってほしい。
でないと現地の人々に気味の悪い思いをさせてしまう。
役者たちは滑舌もよく、よく訓練されていて、統率のとれた動きを見せる。
特に膨大なセリフを受け持つ安部聡子の記憶力には感心した。
客席はほぼ満席。
日本人って真面目だな~と改めて思った。
だってこんな、人気俳優も出ないし中身もよくわからない芝居をわざわざ見に来るなんて。
ノーベル文学賞受賞作家の作品というので何か得るものがあるだろうと期待して来たのだろうが(評者もその一人)、
見終わった後も、特に何を感じるでもなかった。
「私たちが生きていることの意味を、誰も教えてくれないのです」というセリフは、もちろん心に響いたけれど、だから何?という感じ。
そんなことは、これまで多くの人が既に書いて来ているではないか。
何を今さらです。
言葉を区切って発音したり、イントネーションをわざと普通とは違う風に変えたりするのは、確かに面白い。異化効果ってやつだ。
(ただし、チェーホフなどは、できれば御免被りたい)
「地点」の公演は、2016年12月に吉祥寺シアターで、チェーホフの「かもめ」と「桜の園」を見たことがある。
「かもめ」は最悪だったが、「桜の園」は意外と面白かった。
その時得た教訓がこれだ。
早々に見切りをつけてはいけない。こりゃダメだ、と見放すのは、もう一つくらい見てからにすべし。
演出:三浦基、音楽監督:三輪眞弘)。
2004年にノーベル文学賞を受賞したオーストリア人作家の最新戯曲。日本初演。
舞台装置:円形の舞台を透明なビニールがすっぽり覆っていて、それが時々少しずつ上昇する。完全に上がってしばらくすると、また少しずつ下降。
所々にスリットがあり、役者たちはそこから出入りする。
音楽:ガムラン。1時間35分の公演中、途中に一度、間を置いて、同じものが絶え間なく演奏される。単調だが、その代わり、まったく
芝居の邪魔にならないことは確か。
仕草:ウィルス、マスク、ワクチンを表わすという3種の仕草が、プログラムであらかじめ説明される。
「ウィルス!」と一人が言うと、役者たちは片手をひらひらさせて歩く。
「マスク!」と言うと、みんな左手で口を覆い、右手を斜め前方に挙げて「カミカミカミサマ、カミカミカミサマ・・・」と唱えつつ歩く。
「ワクチン!」と言うと、みんな片手を差し出し「コロナコロナキタ、コロナコロナキタ・・・」と唱えつつ歩く。
時々「ディスタ~ンス!」とも言われる(笑)。
また時々「ルイ!」と言うと、両手で口を押さえる。これは意味がわからない。誰か教えて。
マスコミや科学者(専門家)の言葉が引用され、巷に噂やデマが蔓延する。
「このウイルスは、本当は全然たいしたことありません。インフルエンザの方がよっぽど恐いんです」
「でも死者の数が多いでしょう?よく計算し直して下さい」
「アメリカが中国を陥れようとしたのか」
「中国がアメリカを陥れようとしたのか」
その他、膨大なセリフの中から印象的なものを挙げると、
「オデュッセウスは故郷に帰りたかった」
「帰っても14日間は外に出られないんですよ」(笑)
「あなたのワクチン接種・・」
「在宅勤務です」
「あのアジア人たちは、いつもマスクをしている」
「音楽の勉強のために留学している」
これにはドキッとした。明らかにウィーンに留学している日本人音大生のことだろう。
郷に入っては郷に従ってほしい。
でないと現地の人々に気味の悪い思いをさせてしまう。
役者たちは滑舌もよく、よく訓練されていて、統率のとれた動きを見せる。
特に膨大なセリフを受け持つ安部聡子の記憶力には感心した。
客席はほぼ満席。
日本人って真面目だな~と改めて思った。
だってこんな、人気俳優も出ないし中身もよくわからない芝居をわざわざ見に来るなんて。
ノーベル文学賞受賞作家の作品というので何か得るものがあるだろうと期待して来たのだろうが(評者もその一人)、
見終わった後も、特に何を感じるでもなかった。
「私たちが生きていることの意味を、誰も教えてくれないのです」というセリフは、もちろん心に響いたけれど、だから何?という感じ。
そんなことは、これまで多くの人が既に書いて来ているではないか。
何を今さらです。
言葉を区切って発音したり、イントネーションをわざと普通とは違う風に変えたりするのは、確かに面白い。異化効果ってやつだ。
(ただし、チェーホフなどは、できれば御免被りたい)
「地点」の公演は、2016年12月に吉祥寺シアターで、チェーホフの「かもめ」と「桜の園」を見たことがある。
「かもめ」は最悪だったが、「桜の園」は意外と面白かった。
その時得た教訓がこれだ。
早々に見切りをつけてはいけない。こりゃダメだ、と見放すのは、もう一つくらい見てからにすべし。
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