① スピード感溢れる展開
二人の出会いから死に至るまでの経緯をたどってみた。
日曜 夜 仮面舞踏会で出会う
月曜 朝 乳母、ジュリエットの使いでロミオを訪ねる。ロミオ、今日の午後、ロレンス神父の庵に懺悔に来るようジュリエットに伝えさせる。
縄梯子を下男に持って来させるとも。
午後 二人はロレンス神父の手でひそかに結婚式を挙げる
広場でティボルトがロミオに襲い掛かる ⇒ マキューシオ殺される ⇒ ロミオ、ティボルトを殺す ⇒ ロミオ追放
夜 ロミオ、縄梯子をつたってジュリエットの部屋に行き、二人結ばれる
同じ頃、ジュリエットとパリスの結婚式が木曜日と決まる
火曜 午前 ジュリエット、神父を訪ね、秘薬をもらう
結婚式が一日早まり明日と決まる
夜 ジュリエット、薬を飲む
水曜 朝 (結婚式当日)ジュリエット、死体(実は仮死状態)で発見される ⇒ 葬儀 ⇒ 墓地へ埋葬
午後 ロミオ、追放の地で知らせを受ける ⇒ 出発
木曜 午後 ロミオ、墓地へ ⇒ 自死
直後(夕方6時頃)ジュリエット目覚める ⇒ 後を追う
このように、この物語は急流を一気に流されてゆくようなスピード感に溢れている。
② 主導権を握るジュリエット
男が毒を飲み、女が短剣で胸を刺すという死に方も注目に値する。
当時、マントヴァの法律では毒を売った者は死刑だった。
それなのにロミオは、貧しい薬屋の、言わば足元を見て、無理を言って毒薬を買う。
この後、薬屋がどんな処分を受けたのかについて、この芝居では何も語られていないが、元ネタとされるアーサー・ブルックの戯曲では、
ロミオは遺書に薬屋の名前を書いており、そのため薬屋は縛り首にされる。
(似たようなストーリーを持つ同時代のベン・ジョンソンの戯曲「あわれ彼女は娼婦」でも、毒薬を売った薬屋はその後処刑される。)
まったくはた迷惑な話ではないか。
何のために腰に剣を下げているのか。
13歳の女の子の方が、恋と、そして人生(命)の主導権を握っていたことが、彼らの死に方にも現れている。
考えてみれば、そもそも「結婚」を最初に口にしたのもジュリエットだった。
ジュリエットの方からロミオにプロポーズしたのだ。
やはり、この戯曲を締めくくる大公の最後のセリフにあるように、これは「ジュリエットと彼女のロミオの物語」なのだった。
PRINCE : For never was a story of more woe
Than this of Juliet and her Romeo.
大公:数ある物語の中でも 最も悲しいもの、
それこそこのジュリエットとロミオの物語だ。(私訳)
原文の英語の her を日本語に訳したいが、「彼女の」と訳してしまうと、あまりに堅苦しくて重いので、どうしても省略せざるを得ない。
それが残念だ。
二人の出会いから死に至るまでの経緯をたどってみた。
日曜 夜 仮面舞踏会で出会う
月曜 朝 乳母、ジュリエットの使いでロミオを訪ねる。ロミオ、今日の午後、ロレンス神父の庵に懺悔に来るようジュリエットに伝えさせる。
縄梯子を下男に持って来させるとも。
午後 二人はロレンス神父の手でひそかに結婚式を挙げる
広場でティボルトがロミオに襲い掛かる ⇒ マキューシオ殺される ⇒ ロミオ、ティボルトを殺す ⇒ ロミオ追放
夜 ロミオ、縄梯子をつたってジュリエットの部屋に行き、二人結ばれる
同じ頃、ジュリエットとパリスの結婚式が木曜日と決まる
火曜 午前 ジュリエット、神父を訪ね、秘薬をもらう
結婚式が一日早まり明日と決まる
夜 ジュリエット、薬を飲む
水曜 朝 (結婚式当日)ジュリエット、死体(実は仮死状態)で発見される ⇒ 葬儀 ⇒ 墓地へ埋葬
午後 ロミオ、追放の地で知らせを受ける ⇒ 出発
木曜 午後 ロミオ、墓地へ ⇒ 自死
直後(夕方6時頃)ジュリエット目覚める ⇒ 後を追う
このように、この物語は急流を一気に流されてゆくようなスピード感に溢れている。
② 主導権を握るジュリエット
男が毒を飲み、女が短剣で胸を刺すという死に方も注目に値する。
当時、マントヴァの法律では毒を売った者は死刑だった。
それなのにロミオは、貧しい薬屋の、言わば足元を見て、無理を言って毒薬を買う。
この後、薬屋がどんな処分を受けたのかについて、この芝居では何も語られていないが、元ネタとされるアーサー・ブルックの戯曲では、
ロミオは遺書に薬屋の名前を書いており、そのため薬屋は縛り首にされる。
(似たようなストーリーを持つ同時代のベン・ジョンソンの戯曲「あわれ彼女は娼婦」でも、毒薬を売った薬屋はその後処刑される。)
まったくはた迷惑な話ではないか。
何のために腰に剣を下げているのか。
13歳の女の子の方が、恋と、そして人生(命)の主導権を握っていたことが、彼らの死に方にも現れている。
考えてみれば、そもそも「結婚」を最初に口にしたのもジュリエットだった。
ジュリエットの方からロミオにプロポーズしたのだ。
やはり、この戯曲を締めくくる大公の最後のセリフにあるように、これは「ジュリエットと彼女のロミオの物語」なのだった。
PRINCE : For never was a story of more woe
Than this of Juliet and her Romeo.
大公:数ある物語の中でも 最も悲しいもの、
それこそこのジュリエットとロミオの物語だ。(私訳)
原文の英語の her を日本語に訳したいが、「彼女の」と訳してしまうと、あまりに堅苦しくて重いので、どうしても省略せざるを得ない。
それが残念だ。
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