ふくろたか

札幌と福岡に思いを馳せるジム一家の東京暮らし

火刑都市30年①墨田・江東の水路/前編

2016年02月24日 | 火刑都市30年

島田荘司氏の「火刑都市」(86年講談社刊・89年文庫化)は、

1982(昭和57)年の12月から一年間に及んだ都内の連続放火事件と、

それに絡んだ殺人事件の謎を追う犯罪捜査小説である。

また、明治初期のごく短い間に出現した水と緑の田園都市「東亰」と

80年代の東京を対比させた都市小説にもなっている。


連載を始める前に、この小説を再読して、ひとつ再発見があった。

それは連続放火犯の菱山源一が「錦糸町育ち」だったことである。

初読の時は仙台に住む大学生だったので、東京の地理に疎く、見落としていた

この設定は、島田氏の都市論に照らすと、なかなか大きな意味を持つ。

島田都市論には「都市は川を挟み、光を西に、闇を東に抱く」という概念があるからだ。

島田氏はブダペストやプラハ、ウィーン、シティとイーストエンドを抱えるロンドン

といった欧州の都市を、そして、隅田川が流れる「江戸」を例に挙げている(注1)。

一方で、一連の事件の捜査に当たる主人公の中村吉造刑事は、

文京区小石川の旧・大塚仲町に父の代から住む「生粋の江戸っ子」である。

「山の手育ち」を自認し、小石川界隈が「下町」扱いされ、中野や荻窪、吉祥寺といった

かつての郊外が「山の手」と呼ばれる風潮に忸怩たる思いを抱いている(注2)。

「膨張する東京への慨嘆」(注3)と言い換えてもよいだろう。

この手の「江戸っ子」が「川向こう」に対し、無意識にどんな思いを抱いているか、

推して知るべしだろう。そう考えると、この小説における刑事対放火犯の構図は、

隅田川を挟んだ「光と闇の対決」にも置き換えられる。


菱山源一が育った墨田区錦糸3丁目は、JR総武線錦糸町駅の北口そばの一角である。

現在の墨田区錦糸3丁目。アルカキットやオリナスといったショッピングモールや

錦糸公園・墨田区総合体育館が近くにある商業地域である。

東に横十間川、西に大横川(現在は一部を埋め立て親水公園に)が流れ、

墨田・江東の水路が身近にある。「筏を作って遊んだ」のも無理はない(注4)。

また、この地区を東西に走る通称「北斎通り」は、かつて錦糸堀と呼ばれた掘割があり、

怪談「置いてけ堀」ゆかりの地とも伝えられる。

「錦糸堀」の名を伝える錦糸町駅南口近くの錦糸堀公園。

「置いてけ堀はカッパのいたずら」という伝説に基づいたカッパ像がある。

墨田・江東の水路への愛着と畏怖を育むには十分な環境と言える。

一方で、これらの水路を現代の我々が見ると、その名称に違和感を覚える。

地図上をタテに、南北に流れるのに、なぜ「横」十間川か? なぜ大「横」川か?

錦糸町界隈から望む現在の横十間川。墨田区と江東区の境界線の一部でもある。

川の上をJR総武線が走り、副都心のビル・マンションから東京スカイツリーがのぞく。

これは、地図上の東西南北ではなく、西の江戸城の視点から付けた名称だからである。

つまり、江戸城から見て「ヨコに流れる」という意味を持つ。

菱山少年がこれらの名称の由来に思い至ったとしたら、

「江戸城こそ中心」という、後の連続放火の原型となる概念が芽生えた可能性もある。


墨田・江東の水路の開削は、ルーツをたどると、

江戸時代前期の都市開発、本所・深川の武家地造成に行き当たる。

そして、その都市開発のきっかけは、1657(明暦3)年の明暦の大火、

いわゆる「振り袖火事」だった。江戸の大火が墨田・江東の水路を生み、

その水路が育んだ少年が長じて東京に火を付けて回ったのは、皮肉な物語と

言うほかはない。次回はこの墨田・江東の水路をもう少し詳しく語る。(つづく)


注1:「江戸人乱歩の解読」<江戸川乱歩ワンダーランド(89年沖積社刊)収録

注2:火刑都市「第一章・消えた女」55P

注3:連続放火が始まった1982(昭和57)年には、それまでの三大副都心

(新宿・渋谷・池袋)に加えて、錦糸町・亀戸を含む3地区が副都心に追加された

注4:火刑都市「第九章・失われた環」355P

*なお、火刑都市の場面紹介は講談社文庫版に基づく


PSM2戦

2016年02月23日 | サッカー

中邑がWWEと正式契約。飯伏が事実上のフリーに。

マイバッハ谷口と西尾美香が結婚&おめでたを公表。

きのう22日はプロレス界がざわついた一日だった。

さて本日は、先送りしていた13日の大宮×山形&14日の×千葉を語る。

  • 山形

13日のNACK5スタジアムは好天&3月並みの陽気に恵まれた。

山形のスタメン。スカパーが紹介したシステムは以下の3・5・2だった。

==ソウザ==ローザ==

==汰木====佐藤==

高木==アルセウ==山田

=石川==渡辺==栗山=

=====山岸=====

しかし、現地で見た印象は以下の4・4・2に近かった。

===ソウザ==ローザ===

汰木=アルセウ==佐藤=山田

高木==石川==渡辺==栗山

======山岸======

この一戦で光ったのはMF佐藤優平

どこにでも顔を出して攻守をつなぎ、このチームの生命線を担った。

ヨメが現地に応援に来ていたのかな?

注目のディエゴ・ローザは前線で孤立気味でいまひとつの出来に終わる。

左サイドの高木ジュニアも奮闘空しく失点に絡んだ。このままでは長崎戦で親父に狙われるかも

後半出場の荒堀&鈴木が終了間際に意地の1点。

この「北関東から移籍コンビ」はともに「ベンチの切り札」になりそうな。

個人的には、鹿島からレンタルされた梅鉢をもう少し長い時間見たかった。

それにしても、ペチュニクが今季からJ1に移籍したのは助かるわあ 

  • 千葉

・・・とか13日には思っていたが、翌14日のちばぎん杯。

===船山==エウトン===

アランダ=井出==山本=小池

阿部===イ==若狭=多々良

======優也======

昨季からの選手が井出のみというスタメンで、千葉が柏に3対0の快勝。

柏のまずい守備にも助けられたが、すべてセットプレーから得点を挙げた。

ニューイヤー杯でも武器になった高精度のクロス、攻守の切り替えが光った。

エウトンはかなり使えそうなFW。船山も松本時代の輝きを取り戻しそうな気配がある。

6月までに対策を練る必要がある。


J2戦力分析/番外編・札幌

2016年02月22日 | サッカー

きのう21日は、北海道新幹線番組・真田丸・どうでしょうクラシックと「大泉祭り」

新函館北斗駅のホームに立つ大泉洋の姿に「奥の方にカブが置いてないかな」と一瞬探した

そんな北海道特別「福」知事にも応援してほしいこのクラブを紹介し、戦力分析を終える。

【札幌】

監督:四方田修平(続投)

主なOUT

DFパウロン、小山内(ともに福島レ)薗田(熊本)

MF古田(金沢)菊岡(相模原)FW前田(鳥取)

主なIN

GK阿波加(ホンダ・フ)DF増川(神戸)内山(ホウガンUフ)

MFジュリーニョ(オベラーリオ)MFマセード、FWヘイス(ともにバイーア)

主な新人:なし

今季の浮沈は、とにもかくにもブラジル人トリオの出来にかかっている。

28日の開幕戦@味スタで今季の大博打の始まりを見届ける所存。 


  • JRA

こちらの博打は大失敗。モーニンとデムーロノンコノユメとルメール

中心に、フェブラリーSを予想したまではよかったが・・・

東海S組を選ぶならば、素直に勝ち馬を買っておけよというオチにorz

なお、モーニンとは「モーニング」ではなく、レース結果に直面した

ワタシの振る舞い、つまり「うめく・あえぐ」の意味である。

ホントの由来はアート・ブレイキーのジャズの名曲のタイトル

  • 「真田丸」第7回

源三郎と源次郎は「二人で一人」・・・つまり、仮面ライダーWなんだな。

後に源三郎の義父となる1号ライダーから

「平成ライダーなど娘の夫とは認めん!」とか叱られそうだな<バカ妄想


J2戦力分析/その21・横浜FC

2016年02月21日 | サッカー

2月と同時に始まったJ2他クラブの戦力分析もラスト。

今季も折り返しの相手は横浜FC。久々の函館でリーグ戦に臨む。

【横浜FC/7月3日14時・函館千代台】

監督:ミロシュ・ルス(復帰)

主なOUT

GK村井(引退)DF朴(大邱)中島(鳥取)森本(奈良)

MF小池(千葉)渡辺(福島)井手口(ホアンアインザライ)

飯尾(沖縄SV)裴(慶州)FW黒津(鳥取)青木(沼津)

主なIN

DFデニス・ハリロヴィッチ(FCコペル)西河(山形)藤井(大宮)

MFグエン・トゥアン・アイン(ホアンアインザライ・レ)

大崎(カロライナ・レイルホークスFC)田所(岡山)FW津田(徳島)

主な新人:MF前嶋、FW斎藤(ともに横浜FCユース)

三ツ沢を留守にしていたルス氏が異例の監督復帰(極寒)。

異例と言えば、いったん契約満了としたMF野崎と再契約も。

小池の千葉移籍でサイドが手薄になったのだろうが、バタバタ感は否めない。

なお、「ベトナムのメッシ」を借りた水戸に対して、

こちらは同じクラブから「ベトナムのピルロ」を拝借。はたして活躍はいかに。


  • JRA

本日は今年初めてのGⅠ・フェブラリーSがある。

ドバイをめざすホッコータルマエや東京大賞典を勝ったサウンドトゥルー、

復帰戦の東海Sで再び故障したインカンテーションといったダートの猛者を欠くが、

重馬場気配もあって予想の難しいレースになった。

結論から語ると、外国人騎手が乗る次の人気馬2頭を軸にする。

4枠7番ノンコノユメ<昨年のチャンピオンズC2着&府中ダートのマイル5戦4勝

7枠14番モーニン<デビュー6戦5勝&今年の根岸S勝ち馬

この2頭に以下の3頭を絡める。

「サンビスタの再来」を期待し、1枠2番ホワイトフーガ CMもやたら白推しだったし

東海Sの上位組から3枠6番ロワジャルダン<チャンピオンCからの王道ローテ

4連勝中の勢いは通用するか。6枠11番スーサンジョイ

3連複2・6・7・11・14の5頭BOX10通りに500円ずつ総額5千円投資

なお、3連覇がかかる2枠3番コパノリッキーは切った。

前走の東京大賞典。ラストランのワンダーアキュートに先着を許して4着という内容を不安視


J2戦力分析/その20・群馬

2016年02月20日 | サッカー

ラスマエの戦力分析は北関東のこのクラブ。

梅雨時の上州のナイターは突然の雷雨が心配だ。

【群馬/6月26日19時半・正田スタ】

監督:服部浩紀(続投)

主なOUT

GK富居(山形)DF小林亮(引退)小林誠(福井)

有薗(町田)小柳(金沢)久冨(藤枝)多田(長野)

MF黄(大分)江坂(大宮)横山(町田レ)FW野崎(引退)大津(大分レ)

主なIN

GK清水、DF高橋(ともに大宮レ)坪内(磐田)

一柳(ビチットFC)石川(広島)舩津(山形)

MFチアゴ(プリマヴェラ)マテウス(ピラシカーバ)

FWボカ(カスタンヤウ)常盤(熊本)高橋(長野)

主な新人:MF瀬川(明大)山岸(流経大)イム(仁川大)FWオ(大田U18)

42戦全戦出場&13得点と昨季ブレイクした江坂が大宮に移籍したのは痛恨だろう。

この穴埋めができるかどうかが浮沈のカギか。なお、今季の「地元枠」は坪内だった。

2年先輩の松下との前橋育英コンビが、攻守に貢献できるかも注目される。


  • ゼロックス杯

広島3対1G大阪 広島、後半のみで3得点。佐藤寿、浅野、ウタカと決めるべき選手が決めた。

なお、U18選抜×高校選抜は1対1で引き分け。10番の菅は前半のみの出場で悔しい無得点。

そして、マスコット総選挙はベガッ太がセンターという悪夢に結果に終わった。