ある日突然、コンクリートの階段に出現した明らかに人が通った痕とは思えないふた筋の傷。
階段は人が通るもの、キャタピラを持った車が通ってはいけないっすねぇ。それにしてどうしてもそんなに急いでいたのかなぁ。
それとも先祖の霊が慌てて道を間違えたのかしらん。 まだ寒い島の怪談?でした。
今日のお話は、魂を逃がした経験を持つ男の子のはなすです。
小学生の頃、バックしてきたトラックの荷台が頭をかすめ、たんこぶ程度の怪我で帰宅するとオバァが
「あんたは魂を逃がしてしまったから探しに行かないと」といったそうな。
実際の言葉に近い表記をすると
「うう゛ぁー たまっす ぴんがし きしゅーば ぴすーが いかだかーならん」 んーーーーーーー。
さて逃げた魂をどうやって探し、元に戻すというのでしょうか。
眠れない夜が明け、オバァの指示は
「昨日の現場に行って石を三つ拾ってこい」でした。その根拠は、人の体には3つの魂が宿っているという事らしいです。
再びみゃーくふつ(宮古ことば)の表記は 「き°ぬぬ とぅくまんいき いっすぅ みーつ ぴすいくーよー」
ここで疑問です。「うう゛ぁー」とか「き°ぬぬ」はどう発音するのでしょうか。はっきり答えられる同年代以下をまだ知りません。オバァに聞くともっとわかりません。
話を戻すと、この三つの石は、 屋敷に持って帰られると祖母と祖母の姉にあたる神がかっているオバァが、お供え物をしたり、祈祷したり、屋外の屋敷神の御願(うがん)したりして、最後に本人と家族が手を合わせ、深々と頭を下げて魂戻しの儀式が終了したとのことです。
神がかっているオバァは一族には大抵いるらしいのですが、それでも戻らないときは「ユタ」に頼ることになるそうなのですね。
ただ問題は、いつ魂が戻ったか記憶になく、本当に戻ったのかどうか今でも時々不安になることだそうです。
人間の魂は恐ろしい目に会ったり、驚いた拍子に簡単に抜けてしまうそうで、それを屋敷の内外にいるいろいろな神の力を借りて戻してあげる必要があるわけです。
ほら、そこのあなた、魂が抜けていませんか?
逃がした場所がわかっているときはその場所で御願を、逃がした場所がわからないときは、便所神に御願して漂っている魂を連れ戻そうではありませんか。
そうしないと一生魂の抜けた人のままですよ。
(この話は、宮古島方言メルマガ「くまから・かまから」を参考にさせていただきました)
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