回顧

9年前の２月１１日の記録です。
備忘録として残しておきます。

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ひとつ責任が果たせました・・・。
K.Aさん（上野塾芥見校在籍　鶯谷高校３年）が『名古屋市立大学　芸術工学部　情報環境デザイン学科』に見事合格しました。上野塾に４年半通ってくれた塾生さんです。「名古屋市立大学合格おめでとう」のひとことで終わる付き合いではありません。数々のドラマがありました。本人とお母様の許可をいただいた上で、この文面を塾通信にて紹介させていただきます。
（仮称：明子で綴ります）

明子は中２の９月に、ご両親と一緒に芥見校へ訪ねてくれました。来校のきっかけは、その年の８月に私のお袋が他界し、その葬儀にお母さんが参列していただいたことがご縁の始まりです。お袋の葬儀にお母さんが来ていただけたのは、私の妹のピアノ教室に明子が通ってくれていたことから・・・。色々なご縁が繋がり、私の喪主挨拶をお母さんが聞かれ、「上野先生の塾に通わせたいと思って娘を連れてきました」と仰られました。今でもその時の言葉は鮮明に耳に残っています。

岐阜市長良から芥見校まで週に３日、お母さんに送っていただきました。ラッシュの時間帯なので片道３０分近く掛かる時もあったと思います。本当にありがとうございました。
志望校は岐阜北高校、それに向かってひたむきにコツコツ努力を続けました。私がいつも言う「素直な心で謙虚な気持ち、そして今よりも良くなりたいと思うこと」をきっちり貫いた１５歳の女の子でした。当時の入試は特色化選抜と一般選抜の２回受験チャンスがありました。特色化選抜は倍率も高く今一歩力が及びませんでしたが、一般選抜ではクリアすると思っていました。ところが一般選抜入試の直前にお父様の突然の死。１５歳の心は大きく動揺しました。これからのことを考えると私はお金の掛かる私立高校には通わせない方がいいと思って安全圏の高校を提案しました。しかし明子は「岐阜北を受験します」と一切ぶれない心を持っていました。だから祈っていました・・・。
発表の時は黒田が見に行ってくれました。

明子の番号は「・・・見当たらない」。黒田から報告を聞いたのは私が長良高校から岐山高校へ移動している時でした。車のエンジンを切って暫く放心状態でした。私はなぜあの時志望校を変更させられなかったかと悔やみました。自分の担当の岐山を受けた塾生の結果を確認して、すぐ明子の家に向かいました。家に電話を入れるとお母様が「娘は気持ちを切り変えていますから大丈夫です」と仰ってみえましたが、会うまでは心が落ち着きません。家を探して走っている時、お母さんが外で待っていていただけました。私が「力及ばず申し訳ございません」と頭を下げるとお母さんが「いろいろお世話になり、ありがとうございました」と仰っていただけました。明子の顔を見てホッとしたことを覚えています。笑顔で私を迎えてくれました。私はお父さんの遺影と位牌に手を合わせ、今回の私の力不足をお詫びいたしました。それから私はお父さんの代わりなどできませんが、私に出来ることならば何でも応援させてくださいとお母さんや明子に話しました。

鶯谷高校に通いながら上野塾の高校個別も続けてくれました。明子のことが良く分かったスタッフを配置する責任が私にはありました。あれから３年間、黙々と自分の夢実現に歩み続けました。高校２年の夏、お母様から「極合宿のお手伝いに娘を連れて行ってください」と。これも驚きでした。本当に上野塾をご家族全員で応援していただけました。感謝しております。そして２月１０日の午前１０時１３分、私の携帯に「推薦入試合格しました！！！」とエクスクラメーションマーク３連発のメール。
ほんの少しだけ責任が果たせたような気持ちになりました。１番頑張ったのは明子本人です。センター試験もきっちり成果を出してきました。明子を担当した息子の純平も「明子は大丈夫だと思う」と発表前日の夜、私に話してくれました。お母様から「娘は上野塾で大きく成長させてもらえました。感謝し尽くしても足りません」とメールを送っていただき、私の頬に涙が流れ落ちました。良かった、本当に良かった。

平成２７年２月１１日（吉日）