虹の架け橋

2004年の44歳から綴ってきたブログ。塾長として、男として、父親として、そして爺として、感じたことを記した記録。

回顧

2022-10-27 | 塾長日記
もうこの教え子は二十歳を迎える。
今、上野塾の学生講師として、
この上野塾を立派に支えてくれている。
彼女が15歳の時の記事が目に留まったので
紹介させてもらいます。
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私の教え子にこんな受験生の女の子がいる。
仮称M子で綴る。

皆と同じように受験勉強をし、習い事の習字とピアノ。
夏までは部活動の朝練、夜練に明け暮れていたM子。
子どもたちと話すと「時間がない。宿題が多すぎる」と
すぐ弱音を吐く者がいる。
誰しも大なり小なるそれは感じること。
その弱音を口に出すか出さないか、
やりもせずして「できない」は
私からすれば単なる甘えだ。
M子は今までに一回だけ私に
この「できない」と言う言葉を発してきた。
受験講座の勉強、実力テストの勉強、
ピアノの練習、塾の平常宿題…と。
私はその時こんなことを言ったと思う。
「やれるかやれないか動いてみなさい。
そこで軌道修正が必要なら相談に乗るよ」と。
その後、相談はなかった。
期日までにすべてをきちんとやり切ってきた。
先日学校の合唱の伴奏が当たったと聞いた。
本人がやりたいと思っていたことだから弱音は見せなかった。
毎週木曜日の夜、家内のピアノ教室に通っている。
耳を凝らせば、その音が聞こえてくる。
1週間前はおぼつかない辿々しい音色。
当たり前だ。始めたばかりだから。しかし本番が近い。
M子は、事の優先順位を意識した。
自分ができないと皆に迷惑を掛ける。だからやり切ると。
昨日の夜のレッスン室からピアノの音が聞こえてきた。
自信に溢れ、鍵盤を力強く抑えるM子の姿が想像できた。
丁度、塾の教室は期末試験対策で、
皆が問題に集中していた時間。
教室は静まり返っていた時にこのピアノの音色。
私は子どもたちに分からないように
ホワイトボードの方を向いて
目に滲む涙をこらえていた。
立派だった。

夜、家内に「M子、見事だったね」と。
家内もきっと同じ気持ちだったと思う。
よく耳にする言葉がある。
「成功の反対は失敗ではない。何もやらないことだ」と。
正にその通り。
限られた時間の中で、
今自分が何をやらねばならないかを考え、
それを精度の高い所まで自身の目標を設定し、
最後までやり切る。
これは自分だけの大きな財産になる。
同じようなことがこれからM子の前に現れても、
きっと乗り越える術と心を持ち備えたと思う。
昨日は教え子から学んだよ。
ありがとう。
そして、立派だ!

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