ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

クラシック音楽というお仕事

2005年09月07日 | 音楽

友人のピアニスト、松永加也子さんのリサイタルに行ってきましたー♪(9月6日東京オペラシティリサイタルホール)

今回の彼女のリサイタルは「日本の現代ピアノ作品の演奏論~松平頼暁作品を中心に~」という博士論文のテーマに沿ったプログラム。この論文で2003年に博士を取得したので、その記念リサイタルというところ。

プログラムでも松永さんが書いてるように「日本における西洋音楽は1900年前後の受容期を経た後、作曲、演奏両面において、第2次世界大戦後、世界のトップレベルに踊り出ている。現代というエリアにおいてのみ、日本人は同時代的に西洋音楽を捉えることができると考える」

というのは、簡単に言えば「たとえ中●紘子にすらショパンを習ってみたい、と思うポーランド人はいないかも」ということか。

ヤザワはドビュッシーとかすごく得意だけど、そのヤザワにドビュッシーを習いたいと思うフランス人というのがいるんだろうか? ドビュッシーの巨匠、クロード・エルフェにみっちり習って共演もしたことがあるヤザワだけど、それでもフランス人は「日本人のつたないフランス語でドビュッシーを習うなんて・・」と思うんではないかと思う。もー現時点でフランス語もだいぶ錆びついてますしー

ここがクラシック音楽家という職業のジレンマで、もともと西洋の文化で勝負してるわけだから、日本で日本人相手にショパンとかリストとか弾いてるぶんには全然いいんだけど、ではそれで世界に出て行って、例えばワルシャワで日本人の弾くショパンのコンサートにポーランド人が聞きに来てくれるのか?

どうよ? どう思う??

ということをヤザワも音大生の時にものすごく悩んで考えて、まさに松永さんと同じ結論に達したんだよね。

「日本人が弾くタケミツなら、世界中でコンサートが開ける」って。

それと、いわゆる現代音楽という今日作られてる音楽。まー 大江光とかもひろ~い意味じゃ現代音楽。坂本龍一も。
それに外国人の作曲家でも、ヤザワのために書いてくれた曲というのは、やはりヤザワの演奏で聞いてみたい、と思うよね?

外タレ(外国人タレント、アーティスト)でもヤザワより全然下手なドビュッシー弾くヤツなんて、実際のとこザラにいるわけよ。それでもやはりこの「音楽」というお仕事はイメージも大事でさー・・

「ちくそ~ 悔しいっ!」とかそういう所でコンプレックス持つと、白人になりたいマイケル・ジャクソンみたいなことになるわけだ。

小澤征爾さんとかが、ウィーン・フィルの指揮者になって、ウィーンでワルツとかモーツァルトとかを振るというのは、ものすごいプレッシャーだと思う。例えどんなに素晴らしく振っても、地元だから評価が辛いよね。パリとかベルリンとかニューヨークとかで振るより。

でも小澤さんの作り出すモーツァルトとかは、別に特に「ウィーンでウケるように振る」というものではなくて、小澤さんが熟考して練習を重ねて自分なりの解釈のもとに振ってるわけで。それは世界中どこで振っても、どんなオケでも変わらないわけよ。

それでもある種「愛国心」というのに触れる、ビミョ~な問題なんだよね。
小澤さんがウィーンでメシアンとか武満とか振ったら? もう賛辞の嵐に決まってる。まー特にウィーンなんてもともとは保守的で排他的な土地柄。日本人が指揮者になるなんてアンビリバボー
「日本人がモーツァルトとかウィンナ・ワルツが好きというのはいいことだ!何たってオーストリアの文化に興味があるということだからね」とか思ってるわけで。もう宗教に近い感覚がある。

だから、本当に世界中で演奏したい、と思ってる演奏家、指揮者は国籍を問わず、現代音楽の演奏に熱心。

生まれたてホヤホヤの音楽は、そういうビミョ~な問題を越えて、「面白いんなら聞いてみようか?」という純粋な気分で聞いてくれるからだと思う。

そうねー・・例えば!日本に住むアメリカ人の三味線ニスト(というのか?)に習ってみたい、と思う人と、日本人の三味線ニストに習ってみたいという人とどっちが多いと思うー?

ヤザワだったらアメリカ人の三味線の先生というのに習ってみたいかも

英語の勉強にもなりそうだしさ? 珍しいじゃん 

まあきっとそういう人は日本語ペラペラなんだろうけど。

最近、「日本語習う」というのも外国で流行ってるらしいね。

ヤザワもパリで「日本語でドビュッシーのレッスンをフランス人にする」という日がくることもあるかすら?

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1 Comments

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ほんと貴女は面白イッス! (ちぃ姉)
2005-09-07 23:25:24
いやー、まさしくって感じです。先入観とか、愛国心とかってね。本当に実力があるかどうかっていうのも、そもそも音楽なんて嗜好品だから、聴き手しだいってところあるから何がほんとうかなんて、あるところまでいっちゃったら誰にもわからないしね。フランス人に日本語でドビュッシー教せーる日、来て欲しいし、来たら聴講に行きます!ところで、お宅のあたり、台風で大変だったんじゃないの?大丈夫?
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