ピアニスラー

ゴールド・フィンガー、ハイパー・ピアニスト矢沢朋子のブログ

「どんべえ物語」から

2023年04月11日 | 世の中のこと

まだ今年が半分も過ぎてないのに、大好きな人たちが亡くなって悲しいですね

 

“ムツゴロウ”こと畑正憲さんの本は中学生でほとんど読んだと思います。

北海道での暮らしぶりとか憧れました。訪ねたこともなかったけど、憧れの人というスタンス。

テレビはそれほど観てなかったけど、時々は観てました。

 

文春の記事が「動物王国」以降の暮らしぶりがまとまったインタビューで、「そうだったのか」と懐かしく思い出しながら読みました。

 

 

「僕は動物はなんでも食べるけど人間は食べない。同類は食べない」

というのもムツゴロウさんらしい。

自分はヴィーガンになりましたが、北海道で・札幌じゃない場所で・そういうことは無理だろうとも思います。ヴィーガンは都会人のライフスタイルなのかもしれないです。

元々、自分は東京育ちで、肉というのはスライスされて並んでるものしか見たことがなかった。「肉」が動物の死体であるということはフランスに行って、肉屋の天井から毛皮を剥かれて内蔵を取られた眼球の付いたウサギがずらっと吊るされているのを見たり、色んな内蔵部分やら肉の塊を見て実感したんです。

東京だと生姜焼き以外、豚もそんなに食べない。とんかつは外食で食べるものだし。家ではすき焼きとかしゃぶしゃぶとか。全てスライスになってるものしか食べたことも見たこともなかったので、モツとか豚足などは臭いも見た目も無理でした

東京と京都や神戸とかの関西圏以外は豚をけっこう食べるということも知らなかった。豚バラ肉とか、響きだけでも・・

まあそれで

映画の「子猫物語」の撮影のために子猫を虐待したとか、酷い目に合わせたという他の情報も読みました。

それでもそれは時代のせいだとも思う。動物倫理なんて言葉もなかった時代。

「ベイブ」という映画でも、子豚の映画なので撮影中に育ってしまった子豚はスタッフみんなで食べながら撮影した、というのをインタビューでフツーに話しているのを読んでショックでしたね。訓練した豚を 

まるで宇宙に飛ばされたライカのようです

イスラム国に斬首された人たちも、何度も「これは演出だから」と言われて本番があったんですよね。。

 

この映画は好きでDVDも持ってるんです。殺されたと思うと。。

子豚のベイブが牧羊犬になることを学ぶ | ベイブ | 映画シーン

 

自分もかつては食べてた。時代も変わったしね。ムツゴロウさんもそうだったことでしょう。

 

この奥さんも交えたインタビューがほっこりした

 

 

なかなかこんな仲良い夫婦なんて見ないです。特にヤザワ世代のバブル時代に婚活した女性は、当時「家付・CAR付き・昼寝付き・ババ抜き」はもちろん、3高「高給、高学歴、高身長」が結婚の条件でした。愛なんてあまっちょろいことじゃ結婚生活は無理、という点では今と精神的な状況は変わってないと思う。林真理子の「不機嫌な果実」だったかな。その後のバブル世代の愛のない結婚後の状況が小説になってますね。読んだことないけど。どうしてこう日本人の精神は貧困化してしまったのかと、このインタビューを読んで思う。ひとえにあまりに受験戦争が厳し過ぎて、こうほのぼのとした青春時代というのがなかったんだと思う。

こればかりはもう今世でやり直すわけにいかないので、また人間に生まれ変わったらやり直ししたいと思う。そしたら子どもが欲しくなったりするんだろうか。最近は前ほど子どもが嫌。うるさいし役に立たないし病原菌まみれだしと思わなくなりましたね。可愛いと思うこともあって自分でも驚いてます。赤ちゃんはまだ「ウッ太ったスフィンクスみたいだ」と思うことが多いけど。子猫の世話で慣れたのかもしれない。

これもヤザワが幼少時は小児性ぜんそくだったため、猫を拾ってきては母親に捨てられるという繰り返しで、人形を与えられたんですが、人形は全然興味なくて放りっぱなしでした。ままごと。とかも意味分からなくてしなかったし。ぬいぐるみの方がまだ好きだったけど、やっぱり猫が飼いたかった。飼ってたら情操的にも成長してたような気がする。親の作品なのでね=ヤザワ

 

良かれと親がほどこした環境やら教育で人格形成されましたが、本を読むことを習慣付けてくれたのは「善」への光となったような気はする。

ムツゴロウさんの「どんべえ物語」も夢中で読みました。

熊が射殺されるニュースを聞くたびに、胸がえぐられるような思いがするのは、ひとえに「どんべえ物語」で熊を身近に感じてるからでしょう。かといって見に行こうとは思わない。野生動物は野生のままに。人間が近づいて良い結果になることは少ない。特に日本はね  日本で熊に生まれるほどの不幸はないと思いますよ

 

2015年に書いたブログ 熊と森とひと

そして熊森協会の会員にもなりました。協会は「やんばるの森」の活動とも連携していて、オンライン講習会も開催してくれました。沖縄に熊はいないけど、どこも自然破壊が深刻で、取り上げないわけにもいかない状況と判断したようです。

この2015年の私のブログに、熊森協会の本からの恐るべき引用を載せています。

「江戸時代並みの質素な暮らしをして(エネルギー消費量は今の100分の1)、3000万人。それ以上の人間が、この国に住もうとしたときから、この国はもう滅びに向かっているのです」

1992年の環境庁の見解です

坂本龍一さんのような知名度と影響力もないけど、黙っててはいけないと思ってます。

それが追悼にもなるし遺志を継ぐひとつの形でもあると思いました。

ムツゴロウさん安らかに。ありがとうございました

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『すべてうまくいきますように』

2023年04月10日 | 文化・芸術

先週、観てきました@桜坂劇場

観客は高齢者が多かったですねー

例の:成田悠輔氏の「高齢者は老害化する前に集団自決、集団切腹をすればいい」というNYタイムス日曜版にまで大きく取り上げられた発言のせいですかね

言われなくても「終活」は今や50代から取り組む時勢なんですが。「どのように死ぬか」問題は高齢者にとって病気自慢の次の話題なのかもしれないですしね。

ヤザワは50代になったソフィー・マルソーが観たくて観た映画。監督のフランソワ・オゾンも新作はだいたい観てますね。ほとんど桜坂劇場。

シャーロット・ランプリングも出てて大満足

ソフィー・マルソーも顔もいじってなくて(ボトックスやら皺取りやら)、アヌーク・エーメのように成熟してシャーロット・ランプリングのように自然な感じで女優を全うしそうだなーと思えて嬉しかった。ディートリッヒは別格。魔女でしたね

モニカ・ベルッチを凌ぐ美しさだったエマニュエル・ベアールが整形顔面崩壊して、「ついにフランス映画界もハリウッドのようになってしまうのか」と悲しかったので、ソフィー・マルソーのナチュラルさは嬉しかった。あの顔面崩壊するまでのアンチ・エイジングというのは何を目指してるのか意味不明ですよ。整形中毒だと言うけど、そもそも若返って何の役をやるつもりだったのか永遠に30代の役

俳優としてのキャリア・プランがないんでしょうね。プロの俳優としての意識より「美人な私」のプライオリティの方が高いからああなる。

 

映画『すべてうまくいきますように』予告編 / 2023年2月3日公開

 

ゴダールもスイスで安楽死したそうなので、「こんな感じなんだ」という興味は満たされました。

友人と話していて:「知り合いの(有名)詩人が、要介護なのに詩を書く時はシャキッとして書いてる。ヤザワっちもそうなってもピアノだけは弾きそう」とお世辞を言ってくれたんですが、

「自分は認知症になったらピアノは弾けないような気がする。これまで暗譜することをしてきてないから、そもそも覚えてないし。暗譜できるような曲を弾いてきてないし、暗譜可能な曲でも暗譜しない。暗譜のために練習し過ぎて表現が手だれてしまったり、楽譜を見てないと立体的に弾けないんだよね。それにそこまで『覚える』ために練習するより新しい曲を弾きたいし。何か弾いてよ、と言われても何も覚えてなくて弾けないんじゃないかな」

と言ったら、マズいこと言ったと思ったようで引いてる感じだったので:

「あ、でもスクリャービンとか何曲かは暗譜してるか」と言ったら「それを弾くんじゃない」と明るくなったところを:「傷ついたCDとかレコードみたく同じとこだけ何回も弾いたりするのかね」「・・・・・」と追い討ちをかけるようなことを言ってしまった スコットの件でまだ暗いんだろうな、自分。

「DJするとか・・」とまだ言うので:「電源のボタンがどことか分からなくなるのが認知症なんじゃね」とはもう言いませんでした。

ま、よーするに全然・そんなことは考えてもいないんですよ

自分がボケるとかヨボヨボになるとか。

ヤザワの同級生も「終活」と称して色々と断捨離してる人も多いようです。ヤザワも何回かミニマリストになってみようとか、荷物を減らそうとはしてるんですが・・

機材はどんどん増えてくし服もまだ買ってるどうすんだオレ

困ったもんだね  もう諦めました。なるたけ古着を買ってるけど。まず、何か服を買いたくなったら古着屋。環境汚染のアパレル業界やら人権侵害のファスト・ファッションに加担するより、リサイクルなので「買わなかったことになる」ような気がして(気がする。だけですよ)それに古着屋で売ってるというだけでオシャレ 大事に着て売れるような服だから。フツーの服なら古いだけで売れないからね。とお宝級の服が着実に増えてる。たいてい着てるもの褒められもん。褒めなくても見てたり

 

坂本龍一氏の記事もいっぱい出てるので読んで、久しぶりにYMOも聴いてます。

自分はピアニストなので、やはりピアノ曲とかピアノ演奏に関しては見方が厳しくなりがち。自分からすると、氏のピアノはしょせん「副科ピアノ」なわけです。スタジオ・アレンジャー&ミュージシャンとして秀逸だった、というのは別として。カネ払って聞くようなものじゃないんですよ。

坂本さんの曲で1番好きなのは「テクノポリス」。これは本当に好きで、かつて新宿のテクノ系ディスコのツバキハウスでコレで熱狂して踊りました

YMOで1番売れたというライディーンより好き クラフトワークより好き

これがあまりに好きで、ソロになってピアノを弾き出した時はがっかりしたな。「なんで上手じゃないのに弾くんだろう」と。ピアノ専攻の音高生だったから

Yellow Magic Orchestra - Technopolis (1979)

やはり素晴らしい 当時も:「ちゃんと作曲を勉強した人のポップスは違うな」と感心したものなんです。転調も展開も完璧。たいていのポップスは単調すぎて退屈に感じるんですよ。ライディーンも単調で飽きてしまうんです。

この曲以来、もう歌モノには興味がなくなって、それからずーっとテクノ好きです。それほど影響も受けました。

近年、気に入ってDJでもかけてた曲 テクノポリスの影響アルアル。ミニマルだけどね。クラブ用なのでロング・ミックス用にイントロが1分近くありますがカッコいい

Jay Lumen - Planet III (Original Mix)

 

追悼になったでしょうか

坂本龍一さん、安らかに。合掌。

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NEW YORK STATE OF MIND

2023年04月06日 | 文化・芸術

雑用の山も一息ついて、色々とアクティヴには暮らしてる日々です。

今度、自慢しようと思ってFBにはリアルタイムでアップしてた「金継ぎ」やら諸々。

そんな毎日でもふと思うこと。しばらくは思い出すんだろうなと思うので書いておこう。去年のアガタの命日が25日なので1日違い。やはり季節の変わり目というのは色々あるんですね。アガタのことは今では楽しい可愛い思い出しか思い出さないようになりました。闘病や死んでいく過程は一緒に過ごした時間の中では僅かだから。

写真も整理して取り込もう

出会えた縁に感謝するしかないです。生まれたからには、いずれは死ななくてはならないのです。はー辛い。断酒は続いてます(何が辛いのか自分でも分からん)

 

3月13日に次にヤザワがやる曲に関しての長いメールをもらったのがスコット・ジョンソンからの最後のメールになりました。

「今、コンピュータがクラッシュしてアップルストアからなんだが・・」という書き出しでした。

more later, Scott

なんかヤザワに啓示が来るのかもなと思うことに

闘病中ということはあまり広めたくないようでしたので尊重しました。限られた時間をお見舞いやらその件でのメールの返信に時間を取られたくなかったのでしょう。

NYタイムスにも大きく掲載されてました。

追悼文やSNSでの記事も一通り出て、読んで、悲しさが徐々に増してます

American composer Scott Johnson has died

The composer and guitarist known for his innovative use of recorded speech has died in New York City.

by Jason Blake on 28 March, 2023

LIMELIGHTの最新記事には坂本龍一さんの追悼記事もありました。同世代。

 

RIP, Scott Johnson (1952-2023) / By Marc Weidenbaum

 

スコットの曲は、去年から聴いて・練習して・編集して・ものすごく聴いてるので、こんなものを聴いてセンチに浸ってます。ビリー・ジョエルのこの2曲は私にとってNYのイメージそのもの。ジャズの要素にポップスとロックが入って、ウエストコーストとは全く違うカルチャー。

NEW YORK STATE OF MIND - Billy Joel (lyrics) 和訳ビリージョエル「ニューヨークの想い」1976

 

ビリー・ジョエルもスコットも坂本龍一も同世代。このオケをうすーく遠ーくにミックスしてしまうスタイルもスコットのCDのミックスとそっくり。こんなに小さい音なら別にシンセでいいだろと思う。後年、スコットも「ピアノを小さくしすぎたしギターがうるさすぎた」と反省してたけど。メロディ楽器以外は引っ込めるというのがポップスの掟だった歴史。色々とテクスチャーが浮かび上がってしまうと複雑で聞きづらくなるから。歌を一緒に歌いたい大衆向けなので分かりやすくしてるのだ。ポピュラリティってやーつ

 

そういえば!Jazztokyoの3月号に映画「Other Music」の映画コラムを書いてるんです。ヤザワも住んでた頃に通ったCD&レコード店。そのOther Musicもなくなっちゃって

#1248  映画「Other Music」JazzTokyo

 

もしスコットのお葬式があれば、受け付けてるようならお花くらい送りたいとも思ったけど、それどころではないだろう様子がNYタイムスとLIMELIGHTの記事からも分かって

やっぱビリー・ジョエルだよ。。聴くなら

JUST THE WAY YOU ARE - Billy Joel (lyrics) ビリージョエル【洋楽和訳】素顔のままで

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