トニーのFuneral Pyreを演奏中の知念さんとくによしさん
さいたま芸劇と違って舞台袖が開いてるホールだったので、自分の出番の後前(ヤザワは後半1曲目と最後だから)、袖で聞いてました。
さいたま公演の、甲斐史子さんの息を飲むような見事なエスタブリッシュメントな演奏とは全くカラーの違う、2種類のCommonalityが聴けました。両方とも、お二人とも素晴らしかった
くによしさんはお祖母様がインドネシアの方なので、クオーターになります。知念さんは今回のインドネシア語の歌詞のHampaでも、くによしさんのお母さんに読み方をチェックしてもらったそう。
なんというか、インドネシアのジプシー・ヴァイオリンとでもいうような風情の演奏で、インドネシアにワープしたような感覚になりました。
くによしさちこさん
トニーの顔、インドネシアの歩いた土地、温度、湿度、風など思い出して泣きました。リアルで訪れた土地、友達、全て思い出す演奏でした。もう2度とリアルでは会えないかもしれないし行けないかもしれない。
ヤザワのソロ
日頃の行いが悪いので譜面台は片付けてもらえませんでした。精進します
リハでくによしさんのCommonalityを聞いて、甲斐さんに「すっごく上手だった。おばあちゃんがインドネシア人なの」と・ちょっくらプレッシャーをかけてみたら:「それは血で弾けるじゃないですかー うわー 私まだ全然弾けてなーい」と焦った様子で、そこから猛烈な練習に及んだようで、さいたま公演での甲斐さんの演奏は拍手がずーーーっと、楽譜を片付けてる間も拍手で、3回お辞儀をするような名演になったのでした。エスタブリッシュメントフォー
いちおプロデューサーなんで こういう小細工もするんですよ
ちょっと話は飛ぶけど
もう「だいぶ前」という感じになったショパン・コンクールですが、日本人やアジア人が大活躍でした。その時に感じたことと同じことを感じました。
目を閉じて聞いていても、「あ、日本人が弾いてる」とか「アジア人の演奏だ」というのが分かるんです。これが3位とか4位のロシア人とかイタリア人だと、やはり「ヨーロッパ人が弾いてる」と分かるんですよ。
昔、小澤征爾先生が「日本人にしか出来ないモーツァルトをやるから意味がある」というようなことを仰ってたような気がするんですが、今の時代、これだけアジア人が活躍していると、もはやそのアジア風ショパンというのはどうなのよという気は正直したんですね。
自分は、ずっとそのことを考えていて、ドビュッシーを弾いても決して「アジア人が弾いてる」と分からない演奏を目指して、「何がどうなるとアジア風になるのか」というのはかなり研究したんです。アジア風にならないことを自分に課して、それが癖になって体質になるまで叩き込んだところがある。武満徹とか三善晃とか邦人作品でも、邦楽に聞こえないように気をつけて自分の演奏スタイルを決めていった。
けっこう努力家なんですよ。そうは見えないかもしれないけど
上手い(美味い)けど「洋食」というか、すごく美味しいコロッケとかデミグラソースのビーフシチューとか、そういうものになりたくなかったというか。上手だとは思うけど自分はそういうものは目指してないんです。三つ星のフージョン系料理のようなものを目指してる。
ヨーロッパ人でも、まるで演歌のようにショパンを弾くピアニストもいて驚くんですが、今回のショパコンの入賞者のロシア人とスペインだっけ?イタリアだっけ?の2人は、本当に正統的なヨーロピアン・スタイルだった。努力なのか「血」なのか両方だろうけど。
沖縄公演の歌の知念さんも、バッハとかフツーに上手なんだけど、やはりトニーの曲だと「日本人の感覚ではない」ポルタメントとかが際立って、「ニホンゴワカリマスカー?」と聞きたくなるのでした。
そういう特異な(ヤマトンチュからすると)感覚を持っていても、トニーの曲とかに出会わなければ眠ったままなんだなーと思うと、もっと弾いて歌ってもらいたいと思いました。
猫友にお花をいただきました
とりあえず終了。配信はリバイバル予定ですので、見逃した方は年明けに是非ご覧ください
「こんな面白いコンサート初めて」とか「電子音がうるさくてかなわん ピアノやヴァイオリンの生の音が聞きたかった」と賛否両論。
否の方は当然・ジジイ
エレクトロ・アコースティック、エレクトロニック・ミュージック、とチラシに謳っても読んでねーし
それで今回は郵送でのDMはやめました。郵便が情報手段の人はエレクトロニック・ミュージックなんて興味ないだろうと思ったんですね。その読みは当たった
これは踏み絵ですナ