あた子の柿畑日記

田舎での日々の生活と趣味のレザークラフトについて

守り伝える人々がいればこそ

2009-10-02 01:41:51 | 旅行

  昼食の後はいよいよ藤ノ木古墳の現場へ。


 藤ノ木古墳は、斑鳩町、法隆寺から少し歩いたところにありました。 そもそもの始まりは、樹木の茂ったこの古墳の大きさを特定するのが目的だったといいます。 しかし調査が進むにつれ、埋蔵物への期待が高まりました。 マスコミの報道合戦も過熱気味で、先生たちはここで2ヶ月間、報道関係者に昼夜見張られながら発掘作業をしたそうです。



 現在古墳は公園として整備されています。 向こうの方には写真入りの解説パネルが置かれています。


 古墳内への入り口です。 見学者があの扉の前に立つとセンサーが働いて奥深くにある石室に明かりがともり、内部が見えるようになっています。



 ガラスにカメラを押しつけて写してみたけど・・・・・



  発掘の様子や副葬品などについては博物館で買ったこの本に詳しく書かれています。  
  バスの中で前園先生にサインを頂きましたよ。



 今まで見てきた古墳は、それが悪意はなかったにせよ、故意に破壊されてきたものばかりでした。 ここまできてようやく、最良の方法で保存と公開をするに至ったいうことでしょうか。 これも進化のひとつですね。


 最後に、法隆寺を訪ねて今日の旅は終わりです。 添乗員さんに指定された集合時刻までにはまだ1時間半近くあります。 お土産もここで買うのです。 奈良といえば柿の葉寿司と奈良漬け。 ウキウキしてきました。


 が、いざ法隆寺へ来てみると


 ひ、広い・・・・・ 
 南大門の所から右半分を写したところです。 これがまだ左側にも続いているのです。 これを1時間ほどで?



 


 門をくぐると、中門の向こうに五重塔が見えます。 あそこまで行くのもやっぱり遠い。



 


 法隆寺へは中学校の修学旅行以来です。 あれからウン十年、歴史を重ねているのですね。 



 日本最古の木造建築だ、「柿食えば・・・」だ、百済観音だ、と行く前も着いてからもさんざん聞かされて、それでもあのころは、たいした感想もなくただガイドに連れられて歩くだけだったように思います。
 今日も修学旅行生らしいグループがたくさん歩いていました。 この若者たちは、日本の誇るこの寺をどう思ったのでしょうか 。



  五重塔は、日本最古ではなく世界最古でしたね。 細かい木の組み合わせが実にきれいです。


 


  東伽藍にある夢殿。 八角形の建物で有名です。 これもまた美しい。 屋根が、軽やかな感じがします。



  


 


  どの建物を見てもその精緻な作りは美しく、写真もいっぱい撮りましたが、



 何しろ急いでいますもので、できばえはいまいちーと言い訳しておきます


 ところで、現在の法隆寺は飛鳥時代に建てられたものではなく、やや時代が新しいものです。 金堂や五重塔がある西伽藍から少し南にずれた位置にあった若草伽藍がもともとの法隆寺であったろうというのが今は定説のようです。
  ただ、安置されている仏像などは飛鳥時代のものであり、火災時に僧たちによって持ち出されたのであろうということです。 木像の華奢な指一本欠けることなく、細心の注意をはらって運び出されたのです。 
 法隆寺での前園先生は、法隆寺という貴重な遺産は、偶然の幸運によって残ったのではなく、古代からの人々の努力で守り伝えられてきたを強調されたように思います。 法隆寺には万が一の時のための資金としてお宝が眠っているのだとか。 


 たとえば、柱ひとつにしても、痛んだところを別の木をはめ込んで修理した跡があります。



 こいういう細かい所は、指摘されて初めて気づくものです。 先生のガイドで本当によかった。


 この柱は右にねじれていますね。 それを見て、法隆寺の解体修理に当たった現代の名工西岡常一さんを思い出しました。
 木を買うのではなく山を買って、そこに生えていた木の持つ特性を生かして使う。そういわれていた西岡さん、ねじれはねじれのままに、しかし他のくせのある木との組み合わせを考えて使うのだそうです。 あの本、もう一度読みたい。
 そして西岡さんの思想と技術とは、たった一人の弟子小川光夫さんに引き継がれ、現在鵤(いかるが)工舎という技術者集団となって各地の神社仏閣の建築や修復に活躍しています。


 このように考えていくと、遺跡というものは、守り伝えようとする意志があって、実際に守る人々の努力や技術があってこそ残っていくのだと思いました。 現代においてその役目は、考古学者だけでもなく、史跡に関わる人だけでもなく、 わたしたち一人一人がその一翼を担うべきなのだと、そんな気持ちでした。  


  


 予定時間を大幅にオーバーして、ろくにお土産を買う間もなく帰路につきました。 ああ、柿の葉寿司・・・・ まあ、充実した旅だったからいいか。
 夕食予定だった吉野川ハイウエイオアシスでは、とっくに閉店してしまったお店の中でうどん屋さんだけが明かりをつけてわたしたちを待っていてくれました。 おわり


 たった1日のことを・・・・・やっと終わりです。 だらだらと長い(これでもはしょったつもり)レポートにおつきあいくださってありがとうございました。 そしてご一緒させていただいた東温史談会の皆様、前園先生、大変お世話になりました。ありがとうございました。


 応援ありがとうございます日記@BlogRanking

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14 コメント

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Unknown (ぱふぱふ)
2009-10-02 15:18:20
奈良京都の建造物を見るために
何度足を運んだことか~~(笑)
もともとは古墳に興味があったわけではないけれど
さいしょうは観光そして学生仲間の家があったこと
やがて興味を持ってくると今度は気になって次から次と
気になることはたしかけたくて・・
いまのようにネットのない時代実際に
現地に行かないとわからないことが多くて
今はいいですね・・知りたいことが
家に居ながらにしてかなり詳しくわかります

正に「古きを訪ねて新しきを知る」でしたね
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藤木古墳 (moru)
2009-10-02 17:24:17
現在の藤木古墳は公園として整備されてるんですね・・・一緒に行かせてもらいました!
「斑鳩の貴公子」なんとも良いタイトルですね!
法隆寺の五十の塔は世界最古の木造築!!!!
・・ごめんなさい・・やっぱり食い気・柿の葉寿司が食べたい・
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Unknown (みっちゃん)
2009-10-02 18:17:40
こんばんは!

 説明を拝見していますと、本当にロマンの旅ですね。。
 「斑鳩の貴公子」に、しっかりサインを頂きましたのね。。
 私が、この法隆寺を最初に見たのは、中学の修学旅行でしたが、それから数回訪れた事がありますが、未だ未だ知らない事ばかりです。。
 時間が有れば、ユックリと廻って見たいです。。
 
 柿の葉寿司は次回の楽しみですね。。
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うむむむ (慧竿(けいかん))
2009-10-02 18:23:47
たった一日でこの内容\(◎o◎)/!

めちゃくちゃ忙しい一日でしたねえ
お疲れ様ですm(__)m
でも充実した満足感が滲み出てますネ!
(@^^)/~~~

宮大工の西岡師の淡々とした口調は
TVで見たことが有りますが
今の世の中、利益追求一番では
こんな技術屋集団は出来ませんネ!
うちの母方の爺ちゃんも一人親方の
宮大工だったので印象深く
覚えています(*^_^*)

機械メンテナンスでは愛媛の東予地域は
優秀な人材が多いんですヨ!
でも、このご時世に泣いております(*_*)

柿の葉ずしかぁ・・・サバが好き!!
(*^_^*)
奈良も一番南の端、高野山の麓に
有名なお店が有りますネ(*^_^*)
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Unknown (ねこ♪)
2009-10-02 20:56:43
美しいですね・・・・・
木造建築の美、長い年月に耐えて、大切に守られ、遺されてきたものならではの美だと思います。
神社やお寺を建築したり補修したりするには特殊な技術が必要ですから、職人さんを育てるのも大変なことと思います。
木の特性をよく理解して、適材適所、そういう仕事のできる匠がどんどん減っているのではないかしら。
後世に残してほしいのは、建物ばかりではなく、そのような貴重な技術も、ですね。

お疲れ様でした。
レポートありがとうございました。
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ぱふぱふさんへ (あた子)
2009-10-02 23:01:33
かなり古墳にのめり込みました? 奈良はいいですね。古い建物、見ていると落ち着きます。ネットは便利ですが、やはり百聞は一見にしかずです。たびたび現地を見てらっしゃるのはすばらしいことだと思います。
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moruさんへ (あた子)
2009-10-02 23:04:29
おもしろそうな本でしょう? タイトルに惹かれました(^^)で、貴公子のことはちょっとしか載ってなくて、発掘の様子が詳しく載っていました。被葬者についてはまだ確実なことが言えないようですね。
柿の葉寿司、愛媛でも時々見ますが、やはり本場のを食べたいです。残念でした。
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みっちゃんさんへ (あた子)
2009-10-02 23:07:14
法隆寺は写真撮影の対象としても魅力的な建物がいっぱいですよ。今回、前園先生の解説を聞いて、ほんとに知らないことが多いと思いました。
柿の葉寿司は、愛媛で買えるものでがまんしますかね。
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慧竿さんへ (あた子)
2009-10-02 23:09:56
わたしも鯖が好き!
西岡さん、魅力的な人ですよね。確かな技術と信念と、指導力を持っていましたね。その西岡さんも一時は仕事がなくて鍋の木蓋をけずっていたとか。西条の優秀な技術者の皆さんの力を発揮できるときが早く来てほしいものです。
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ねこ♪さんへ (あた子)
2009-10-02 23:14:22
今の建築現場では、木のゆがみも機械で削ってまっすぐにして使うんですよね。昔の建築物は、木のゆがみもねじれも適材適所に使って全体を長持ちさせたのです。
西岡さんの技術は鵤工舎の若い人に受け継がれています。
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