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日曜午後五時

 日曜日の午後五時。大阪は梅田。紀伊国屋書店の前。大きな液晶テレビがある。
 紀伊国屋の入り口の横で待つ。周囲にはたくさんの人が待ち合わせている。雑踏の中に待ち人を確認して、笑顔で駆け寄る人。待ち合わせ時間を過ぎているのか、心配顔で時計を見る人。私は、どうやら後者のようだ。

「今度の日曜日午後五時。梅田の紀伊国屋の前で待ち合わせましょう」
「五時紀伊国屋ですね。判りました。ところで私たちは初対面です。目印が必要ですね」「そうですね。プロ野球の広島カープの帽子をかぶって行きます」
「はい。判りました。私は、ええと」
「あ、いえ。広島の帽子を見れば手を振ってください」

 五時十五分だ。広島の真っ赤な帽子は目立つから、すぐ判るはずだ。ここは関西だ。圧倒的に阪神ファンが多い土地柄。阪神の帽子をかぶった人は見かけたが、広島の帽子をかぶった人はまだ見かけない。
 六時まで待った。結局、待ち人は来なかった。約束をすっぽかされたか。いや、私が見逃したのかも知れない。こんどは私も帽子をかぶって行って、目印にしよう。阪神ファンの私はタイガースの帽子なら持っている。

「申しわけございません。どうしても外せない急用ができましたので」
「電話下さればよかったのに」
「すみません。たまたま電池切れでした」
「ま、すんだことはしかたありません。今度は私も目印に阪神タイガースの帽子をかぶっていきます」
「はい。私は前と同じ広島カープの帽子です」
 
 約束は午後五時紀伊国屋の前だ。今は四時三〇分。梅田の紀伊国屋の前まで余裕で行ける。阪神の帽子も用意したし、さて出かけるとしよう。ん、電話だ。
「はい。あ、ワシや。うん。うん。それで、容態は。わかった。すぐ行く」
「ああ、私です。すみません。急用ができました。え、来週の日曜日。場所時間は同じ。わかりました。目印は阪神と広島の帽子。ええ、それでOKです。どうも申しわけございませんでした。では、来週の日曜日に」

 このあたりでは火葬場で骨上げをすませると、そのまま初七日の法要を行うことが多い。遠方の親戚も多く、一週間後にまた来てもらうのもはばかられる。
 骨壺を抱いて葬儀場に戻る。なにかとかさばるオヤジであったが、こんな小さな骨壺に収まってしまった。
 火葬場についていかなかった親戚が、葬儀場の座敷の間で待っていた。
 肉親を亡くし喪主を務めるのは初めてだ。遺族なるものになったのも初めてだが、葬式屋がすべてやってくれる。
 オヤジがクモ膜下出血で倒れたとの連絡を受け、病院に駆けつけると、人工呼吸器をつけてベッドに横たわっていた。長男の私が到着したとの報告を受けて、主治医が来た。今夜が峠だ。臨終は夜中の十一時だった。
 一時間も経たないうちに葬式屋がやってきた。「寝台車を手配しましょうか」というから「お願いします」といった。それからはすべてがベルトコンベアーに乗せられた。
 実家のオヤジの部屋に遺体を寝かせると、葬式屋がカタログを開いた。葬式はその葬式屋の会館で行うこと、祭壇は最上級の一つ下のランク、呼ぶ坊主は浄土宗、戒名は居士ランク、火葬後、引き続いて初七日を行うこと、その時の会席料理は中程度の「白菊」会葬御礼に香典返しの品の選定。臨終から二時間以内にすべての段取りが決まった。決められた。 
「私、楠木と申します。お父上の部下でした。お父上にはひとかたならぬお世話になりました。亡くなられたことを今朝知りました。知っていれば、どんなことがあっても告別式に参列しておりました。それでなんとかお線香だけでも上げさせていただきたいと思いまして、今からうかがおうと思います」
 今は日曜日の午後四時半だ。今から出ないと五時に梅田に着けない。
「あの、申しわけありませんが、私、今から出かけなければなりません」
「すみません。もうすぐそこまで来ております。お線香を一本あげるだけで退散します」
 楠木がやってきたのは午後五時ちょうどだった。帰ったのは六時を過ぎていた。よくしゃべるじいさんだった。このじいさん、自慢話をしにきたのだ。
 自分がいかに有能な技術者で、そのためオヤジがどれだけ助かったか。オヤジは管理者としては有能だったが、技術者としては平凡な技能しか持ってなかった。オヤジのこの足らないところは、すべて自分がフォローしていた。そのおかげで、オヤジはマネジメントに専念でき部長になった。
 スキを見つけて電話しようと思ったが、楠木のじいさんのペラペラしゃべりにスキはなかった。電話をかけたのは六時すぎだった。
「まことに申しわけございません。急な来客がありました。ところでどうします。私たちが会うのは」
「もちろん、会いましょう。あなたもお忙しいようですね。来週の日曜の午後五時から少しだけ時間を空けておいてください」

 午後四時だ。少し早く着いたようだ。きょうはなんとしても、彼に会いたいものだ。電話ではしゃべったことはあるが、まだ一度も会ったことはない。
 彼のことは何も知らない。電話の声の様子から判断するに、私と同年輩の男と思われる。あと判っていることは、広島カープファンだということ。
 五時までまだ時間がある。少し時間をつぶそう。紀伊国屋の店内に入った。書店に入るのは久しぶりだ。最近は本はネットで買うことが多く、書店に足を運ぶことはとんとなくなった。
 本離れ、本が売れない、といわれているが、日曜の午後、大阪は梅田のど真ん中の書店である。大勢の客が店内にいて満員盛況。どこの書店もつねにこれぐらいの客が入れば、出版不況だなんていわれないだろう。
 店内をブラブラしつつ、興味を引く本をパラパラしていると、五時一〇分前になった。
 電話が鳴った。
「はい。ええ、ほんとですか?私、きょうはこのあと予定はありません。待てといわれれば、いつまででも待てますが」
「はい。ここではなく、近くの喫茶店ででも待ってます」
「うん、はい。はいはい。では、かっぱ横町の居酒屋『ききょう』で飲みながら待ってます。阪神の帽子をかぶってます。広島の帽子をかぶって来てください」
「いいですよ。私、明日は会社お休みです。あなたさえよろしければ痛飲しましょう。え、明日は振り替え休日ですよ。うん、それは大変ですね。では軽く一杯ということで」
 紀伊国屋書店の横を通って、阪急電車の高架下に行く。古書店が集まっているところをぬけると、阪急かっぱ横町。そこの入り口の二階にある居酒屋が「ききょう」だ。
 店の中に入る。入り口に近いカウンターに座る。ビールとやっこ、から揚げを注文する。
さすがに帽子をかぶって飲み食いするのは気が引ける。阪神の帽子は脱いで横に置く。
 入り口に近いカウンター席だ。横に阪神の帽子を置いて飲んでいる。店に入ってくれば嫌でも目に付くだろう。
 彼の会社は桜橋とのこと。ここまでは歩いてこれる。なんでも、仕事が忙しく、なかなか時間が取れない。なんとか抜け出してここまで来るとのこと。
 ビールを飲みながら、チラチラと店の入り口を気にする。
 仕事の都合でなん時ごろ来られるか判らないそうだ。彼と私は、このところ毎週、すれ違い行き違い急用をを繰り返し、未だに会えずにいる。今晩こそ会おう。二杯目のジョッキをあけたとき、思わぬ人物が奥から出てきた。
「あれえ、これは思わぬところで。久しぶりだな」
 高校の同級生だった男である。
「おれはちょくちょくここで飲むが、お前と会うのは初めてだな」
「おれもここではときどき飲むよ」
「飲む時間帯が違うんだな」
「もうお帰りか」
「いや二軒目に行くんだ。徳山と会うんだ。お前も知ってるだろ。柔道部だったヤツだ」
「知ってる。オレは中学もいっしょだった」
「だったら好都合だ。お前も来いよ。徳山も喜ぶ」
「うん。徳山とはオレも会いたいが、オレ、ここで人と待ち合わせてるんだ」
「そうか、だったらその人もいっしょに来たらいい。良かったらいっしょに飲もう」
 この男も徳山も、クラス会の二次会なんかで酒席をともにしたことがあった。二人とも、一人でも多くの人間と、ワイワイいいながら飲むのが好きだ。
「ちょっと待ってくれ。電話してみる」
 彼はまだ仕事中だった。なんとか一区切りついたら行くとのことだ。もう少し待ってくれといわれた。どうもかなり無理しているようだ。言外に次の機会を待ちたいような雰囲気がする。しかし、これだけすれ違いをやってきたのだから、いいだし難いようだ。
「あのう。よろしければ来週の日曜ということで、どうでしょう」
 電話だから相手の顔は見えないが、パッと表情が変わったのがよく判った。
「はい。では来週」
「聞いてのとおりだ。さ、行こう」
 その晩は三人でしこたま飲んだ。翌日は二日酔いでぐじゃぐじゃになった。
 
 取引のある業者から甲子園の切符をもらった。阪神VS広島戦の切符だ。日時は今度の土曜日。
 阪神電車の甲子園駅を出る。目の前は阪神高速の高架だ。その阪神高速の下をくぐる。甲子園球場の入り口が見えてくる。もらった切符は一塁側アイビーシートだ。プレイボールまでまだ時間はある。思いついて、レフト側の入り口まで歩く。さすがにカープの赤い帽子をかぶった人が多い。カープ女子とかで最近は女性のカープファンが多い。
 あの人もカープファンだ。まだ一度も会ったことがないからどんな人か知らない。あの人も私を知らない。でも、以心伝心というか、視線があえばピンと来るかも知れない。
 年かっこうは私と似たようなものだろう。四〇代後半というところか。
 決してがさつな男ではないだろう。それなりの紳士で、ある程度教養もあると思われる。
そんな男でカープファンである。私は阪神ファンである。甲子園にも年に何度か来るが、私はそうではないが、阪神ファンにはけっこうがさつな男が多い。もちろん阪神ファンにも紳士もいるが。
 レフト側入り口周辺をうろうろする。四〇代後半のカープファン。もちろん、そのあたりにいくらでもいる。それらしい人物を見かければ視線を合わせた。複数の人物と視線が合ったが、いずれも無反応だった。どうも、「彼」はここには来てないようだ。来てても合ってないかも知れない。合っても判らないだろう。
 試合は〇対一で阪神が負けた。試合が終わったのは一〇時近かった。投手戦で両チームとも点が入らないまま延長戦となった。一一回阪神の守護神オ・スンファンが広島四番の新井にホームランを打たれた。
 阪神電車甲子園駅に向かう。きげんの良くない四万人近い人間が、ぞろぞろと一つの駅に向かう。阪神甲子園はさして大きな駅ではない。中には駅に向かわず、近くの居酒屋でやけ酒を飲む者もいる。私は真っ直ぐ家に帰る。明日は日曜なので、少し飲んで行こうと思ったが、夕方のことが気にかかり、今日は飲む気がしない。
 明日の午後五時、梅田の紀伊国屋の前で待ち合わせをしている。その人とは、妙な具合で、日曜の午後五時になると、なぜかどちらかが都合が悪くなって会えない。明日は、私も、あの人も、なんとしてでも会おうということに決めた。

 日曜の午後五時。大阪は梅田の紀伊国屋の前。待ち合わせの名所である。多くの人が、人待ち顔で立っている。
 私は阪神タイガースの帽子をかぶっている。待ち人は広島カープの帽子をかぶってくることになっている。
 来た。広島の赤い帽子は目立つ。こちらに向かって歩いてくる。私と同じぐらいの年かっこう。想像したとおりの男だ。
 私の前で立ち止まった。
「○○さんですか」
「はい。△△さんですね」
「はい。はじめまして」
 握手した。
「さて、どうしましょうか」
「そうですね。そもそも私たちはの用事ってなんだったんでしょうねえ」
「わかりませんね」
「では、こうしましょう。なんの用だったか、思い出したら電話ください」
「はい。その時はまた、お会いしましょう」
「はい。日曜午後五時。場所はここで」
「では、そのおりに」
 こうして二人は別れた。

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気迫の岩田入道のがんばりで勝つ

われらが阪神タイガース。なんか草深い武蔵野はアズマエビスの土地にある丸屋根小屋で、ウサギ相手に遊んどったらしいけど、あんな裏切り者徳川家康の造った土地でのことなんて、さっさと忘れて、太閤殿下のおひざ元の関西へ帰ってきたで。
 ま、それはええけど、2回に3点とって、あといっこも追加点とれへん。出家得度したんかどうか知らんけど、入道岩田、よう投げた。福留定休日で、梅野お勉強の試合やったけど、その梅野と岩田で勝ったな。
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阪急 池田


 池田である。いけだ、とフラットに発音しない。い()だ。にアクセントをつける。いけだである。
 池田というと小生の好きな酒、呉春がこの池田の酒である。それに、池田というと、上方落語ファンとしては、なんといっても池田というと「池田の猪買い」
 あの噺、大阪のどぶ池から池田まで歩いて行く噺だ。どぶ池筋、大阪市中央区の船場センタービルのあたりを出発して、池田まで行くのだ。現代なら、本町から大阪市営地下鉄御堂筋線に乗る。梅田で降りて阪急電車の宝塚線で池田まで行く。電車に乗っている時間は30分もないだろう。
「十三の渡し、三国の渡し、服部の天神さんを横手に見て、岡町から池田」と、落語ではなっている。十三の渡し、これは淀川を越えていたのだろう、三国の渡し、この渡しの川は神崎川であろう。このルート、電車なら阪急宝塚線であるが、車で行くのなら国道176号線だ。
 池田、いまはすっかり街となって、この駅のまわりは猪がねそねそ歩いているようには見えない。この池田よりも、小生が住まいおる、神戸は東灘の方がよほど猪がよく見れる。ウソだと思うのなら、JR摂津本山か阪急岡本で降りて、横の川を見てごらんなさい。たいてい猪がいるから。ただし、東灘には猪はいるが山猟師の六太夫さんはたぶんいない。だから「東灘の猪買い」という落語はないのだ。
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みごとな投手戦。ええ試合やった。

 おとつい、きのうと冗談みたいな負け方をした。巨人に3タテくらわせて引導をわたし、そのまま一気に突っ走るかと思うたけど、2敗でこのカード負け越し。きょうはなんとしても勝たなあかん。さすがに3タテくらうのはまずい。
 で、先発ピッチャーは藤浪。対する巨人の先発は菅野。いやあ、実に見事な投手戦であった。阪神、巨人と伝統の球団の未来を背負う、若きエースの二人。1対1のまま、意地と意地の投げ合い。両者ともランナーをだすが、踏ん張って追加点を許さない。
 最後は、9回満塁の危機を呉昇桓に託す。で、巨人キャプテン坂本にサヨナラタイムリーを打たれて負け。
 ま、しゃあない。あの場面でだれに投げさす。安藤?福原?やっぱ、呉昇桓に投げさせなしゃあないやろ。
 確かにきょうは阪神負けたけど、藤浪、菅野の両投手が見事な投手戦を見せてくれたから良かった。
 なんでもええから阪神勝ったらええという阪神ファンもおるが、ワシはしょうもなく勝つのと、上等に負けるのやったら、上等に負ける方がええ。きょういはそんな上等な負けや。ただ惜しむらくは、呉昇桓にリリーフをあおぐより藤浪に最後まで投げてもらいたかった。なにはともあれ、きょうの試合はええ試合やった。
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おお、めずらしめずらし。こんなぼろ負け初めて見たわ

ははは。ぼろ負けやな。きのうもぼろ負けで、きょうもぼろ負け。二日続けて毛色の違うぼろ負けを見せてもろた。
 きのうは先制、中押し、とどめ、と、分散して点取られて、1対8のぼろ負け。きょうは5回にいっぺんに12点取られるぼろ負け。いやあ、珍しいもん見せてもろた。こんなぼろ負けはめったに見れん。さあて、あしたはどんなぼろ負けを見せてくれるかな。楽しみやな。
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マイコラス肺炎

 マイコラス肺炎。マイコプラズマ肺炎と似ているがまったく違う感染症なので診察にあたっては充分な注意が必要。
 マイコプラズマ肺炎は人が感染するが、マイコラス肺炎は虎が感染する。マイコラス菌の宿主はウサギである。虎があとふた噛みすればウサギを完全にしとめる状態にもっていったが、草深い武蔵野の円形囲いに棲息するウサギはマイコラス菌を持っていた。
 はからずも、きょうの虎はマイコラス菌に感染。虎はひと噛みしただけで、マイコラス菌に完全に罹患。ほぼ完璧に虎は行動を奪われた。今年の虎はマイコラス肺炎には感染対策はまったくなされていない。早急なワクチンの製造が必要である。
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量産機は難しいのだ

 どこやらの専門学校のコピーで「量産機になるな」というのがある。バカか。このコピーを書いたコピーライターも、このコピーにOKを出した某専門学校の担当者も、工業というものも製造業というものも知らないと見える。
「量産機」になる。これは大変に難しい。特別なプレミアムな製品を造るほうがよっぽど簡単。
 本当に企業を支えているのは大量生産されている量産機だ。自動車メーカーにしても、NSXとかGT-Rとか86、BRZといった、少量生産の高級スポーツカーではなく、カローラ、フィット、プリウスといった量産されている車がトヨタなりホンダなりのメーカーの屋台骨を支えているのだ。
 ほとんど手造りに近い高級スポーツカーを造るのは、ある意味、量産車を造るのより簡単だ。高級高性能という方にのみベクトルを向けて仕事をすればいい。構成する部品にしてもコストを考えずに使える。例えば電子部品の端子にしても、メッキが銀と金の2種類がある。銀の方が安価だが、金の方が伝導が良いから信頼性は金の方が上である。しかし金メッキは高価。こういう場合でも量産機でないのなら価格は気にせず金メッキを使える。
 量産機となるとそうはいかない。利潤を上げなくてはならない。端子も銀メッキを使わなくてはならないだろう。可能な限りコストをおさえつつ、品質と性能は、可能な限り高い水準を目指さなくてはならない。コストと性能品質、この相反する要素を考量しつつ製品造りをする。しかも量産機は失敗が許されない、量産機で失敗すると、売り上げ大幅減、企業は大きな赤字を出すことになる。ことほど左様に量産機を造るのは難しいのだ。量産機をバカにしてはいけない。
「量産機になるな」ということだから、なにになれということだろうか。正直失敗機にならないだけでも上出来と思うのだが。
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ジュラシック・ワールド


監督 コリン・トレボロウ
出演 クリス・プラット、ブライス・ダグラス・ハワード、ニック・ロビンソン、タイ・シンプキンス

 このシリーズも4作目。この「ジュラシック」シリーズはどういう映画かというと「恐竜が逃げ出して暴れてる。ワッ、えらいこっちゃ」という映画である。そういう観点で観れば、この4作目も22年前の1作目も同じ映画といっていい。ただ、1作目の監督スピルバーグは「ジョーズ」で発揮した怖がらせの芸が冴えて面白かったが、今回のトレボロウはスピルバーグほどの芸はない。それに1作目は、CGで表現した恐龍が非常にリアルに映像化されていて、その映像力に圧倒されたが、いまどき、こんなCGではびっくりしない。
 それに1作目を観た時に思ったのだが、マイクル・クライトンの原作と映画では面白さのキモがまったく違う。映画は恐龍を、あたかも象やサイを見せるがごとく見せた映像の面白さであった。クライトンの原作はコハクの中に閉じ込められた虫が吸った恐竜の血からDNAを取り出し分析して、現実の動物の胚を利用して恐竜を再現するというアイデアが面白いのと、その手法を科学的に現実的に描写していく過程が興味深かった。
 映画の1作目は、このクライトンの原作の面白さもある程度生かしてあった。ところが、今回の4作目はクライトンの原作はどっかへ行ってしまったのである。
 こういう映画に不可欠なキャラ。ヒーロー、ヒロイン、危ない目にあってハラハラさせる役。殺され役。本作にもこれらの役はひととりそろっていた。殺され役は画面に登場した時から死亡フラグ立ちまくりで、その通り恐竜に食われるのだが、なぜか太った男が多い。
 ヒロイン役はこのテーマパークの責任者だが、ハラハラさせ役の男の子二人の叔母でもある。ところがこのヒロイン、2万人の来場者の心配より、甥っ子二人の方が心配。異常事態の陣頭指揮そっちのけで、子供二人を探すので手いっぱい。このあたりの設定が不自然かつ不愉快。ハラハラさせ役の子供ふたりはいらんのじゃないか。
 島という閉じられた空間。陸には最強最大のインドミナス・レックス、水中には巨大海生恐龍モササウルズ、空からはプテラノドンが襲いかかって来る。こういう状況で2万人の来場者をいかに犠牲者を少なく事態を収拾させるか。そこのところをしっかり見せてくれた方が良かった。
 いずれにしても、もう「ジュラシック」は何度映画化しても同じだろう。「ジュラシック」はもういいから、こんどは「カンブリア」ではどうか。
「カンブリア・パーク」バーチェス頁岩の生き物が実際の見られる。オパビニア、ハルキゲニア、ピカイアが見られる。で、巨大なアノマノカリスが襲ってくる。ま、おんなじか。
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手羽先のから揚げ名古屋風


 名古屋の名物である。手羽先のから揚げ。最近は名古屋にはあまり行かないから本場名古屋で食べたことはない。神戸にもあったが、今はもう閉店したらしい。そこでネットなどで調べて作ってみた。
 用意するのはもちろん鶏の手羽先。あとは、塩、こしょう、片栗粉、醬油、味醂、酒、はちみつ、ゴマ、粗挽き黒こしょう。
 手羽先に塩こしょうして片栗粉をまぶす。余分な粉を落とす。これを低温(160度ぐらい)の油でじっくり揚げる。手羽先に充分に火が通ったら、油を180度の高温にしてカラッと揚げる。
 醬油、味醂、酒、はちみつを煮つめたタレを揚がった手羽先にからめる。皿に盛って、ゴマと粗挽きの黒こしょうをパラパラ。
 これででき上がり。うまそう。こりゃビールはぜひもん。おのおの方、水分補給を怠るべからず。
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鶏の酒蒸し


 鶏肉の料理というと、から揚げや竜田揚げといった揚げ物。焼き鳥や照り焼きといった焼き物。濃い料理がぱっと思いつく。でも、鶏肉料理でもさっぱりといただける料理もたくさんある。今夜はそのうちのひとつ。蒸しものをしてみよう。
 鶏の酒蒸しである。鶏肉は胸肉を使う。まず肉を包丁の先でつつく。何ヶ所か穴を開ける。熱と味がしみ込みやすくなる。塩と酒をふってしばらく置く。
 肉に味をつけてるあいだに蒸し器の準備をしておこう。充分な水を入れ、強火で加熱。蒸気を発生させておく。
 鶏肉を、入れている容器ごと、湯気が立っている蒸し器に入れる。この時、気をつけること。熱い蒸気は危険。私もこんな失敗をして手を火傷した。手ぬぐいの上に容器を置いて、手ぬぐいの端を持って、蒸し器に入れるべし。その手ぬぐいの端を蒸し器から外に出しておけば、取り出すときも安全だ。ただし、私はそんなことはしない。溶接用の皮手袋を使っている。
 10分ほど蒸したら取り出して切って皿に盛る。タレは練りゴマ、砂糖、醬油、ダシ、それに容器の底にある汁も入れる。鶏肉のうまみが出ているおいしい汁だ。を、混ぜて作る。大根としその葉の千切りを添えてでき上がり。
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とつぜん対談 第80回 クレーンとの対談

 きょうの対談の相手はクレーンさんです。クレーンといっても工事現場でよく見かける、腕を長く伸ばして、その先端からワイヤーをぶら下げているタイプ。あれはジブクレーンといいます。きょうの対談相手はそのジブクレーンではありません。床上操作式クレーンといって、工場の天井に設置されていて、天井のホイストからぶら下がったペンダントスイッチで操作するタイプのクレーンです。クレーン運転者が操作しながら荷といっしょに移動するクレーンです。小生(雫石)はこのタイプのクレーンの運転資格を持ってます。
 ここは工場街です。ここに1軒の廃工場があります。きょうの対談相手はここにおられます。

雫石
 こんにちは。

クレーン
 ―
 
雫石
 クレーンさん。いますか。

クレーン
 うう。

雫石
 どこにいるんですか。

クレーン
 ここ。

雫石
 そんな隅っこにいなで、こっちに来てくださいよ。

クレーン
 右のほうの柱の横に配電盤があるやろ。

雫石
 はい。

クレーン
 いちばん端のスイッチをいれて。

雫石
 はい。いれました。うん。どうしました。ここまで来てくださいよ。

クレーン
 電源をいれただけやったらあかん。ペンダントスイッチ押して移動させて。あんたクレーン運転の資格持ってるんやろ。

雫石
 あ、そやった。動かします。

クレーン
 ゴゴゴゴ。ジャリジャリ。

雫石 
 妙な音がしますな。

クレーン
 長い間、ほったらかしにされていたから、錆ついてるねん。

雫石
 この工場はなんの工場でした。

クレーン
 最初は食品工場やった。とろろ昆布を作ってた。

雫石
 とろろ昆布みたいなもん作るのにクレーンが必要なんですか。

クレーン
 とろろ昆布の作り方知ってるか。こうするんや。60キロほどの昆布のかたまりを機械に入れなあかん。人力ではムリやからワシが使われるんや。

雫石
 その食品工場はつぶれたんですか。

クレーン
 そや。とろろ昆布作りは職人仕事や。それなのに冗談みたいな給料。すぐ人が辞める。辞めてもすぐ次の人が入ってくる。素人が作るからロクなもんできひん。ただ一人おったベテラン職人が辞めたら会社もつぶれた。やっぱ、人を大事にせえへん会社はあかん。

雫石
 次はなんの会社です。

クレーン
 電機会社や。モーターのコイルを作ってた。 芯になるコアにエナメル線を巻いて、電磁石を作るんや。

雫石
 その会社はなんでつぶれたんですか。

クレーン
 あの会社はつぶれたんやない。解散したんや。借金がなかったから倒産やのうて会社解散や。

雫石
 なぜです。

クレーン
 息子さんがあとを継がなかったからや。

雫石
 その会社が最後ですか。

クレーン
 いいや。鉄工所や。

雫石
 どんな会社でした。

クレーン
 財閥系のM電機の下請けで、通信機器や衛星通信設備の筐体を作ってたね。

雫石
 その会社も解散ですか。

クレーン
 いいや。倒産や。最後の社長が2代目のボンで無能でアホ。M電機のいいなり。M電機を定年退職した連中がでかい顔してええようにしよる。あの会社はM電機のゴミ捨て場やったな。結局、筐体といった機構部品類もM電機の内作になって仕事がのうなったんや。

雫石
 最初は昆布のかたまり。そしてコイル、最後は鉄板、機構部品、あなたはいろんなモノを吊ってきましたけど、最後に吊ったもんはなんですか。

クレーン
 最後の会社の社長の首や。

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阪神6連勝。貯金8。藤浪10勝目。

昨日は思いっきりローテーションの谷間で福留もお休み。センターもスタメン江越やのうた。それでも最下位中日には勝った。
 で、きょうは巨人と並んで阪神を追いかけてるAクラスヤクルト。先発は藤浪。福留も指が痛いらしいがちゃんと出とう。センターも江越がスタメン。その藤浪立ち上がりは最悪。2回に連続四球で押し出しで先制点とられる。ところがすかさす江越が同点ホームラン。4回には、このところよく打つ鶴岡のタイムリーに続いて藤浪も勝ち越しタイムリー。これで気をよくした藤浪立ち直ってスイスイと快投。あとも順調に加点。最後は呉昇桓がさすがの3者凡退で〆る。追ってきたヤクルトを3.5差の3位に突き落とす。これで藤浪10勝一番乗り。チームは6連勝。貯金8.。いっときの「あと1本がでえへん」病が治ったのかタイムリーがよう出るようになった。
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ローテーションの谷間。福留定休日。それでも阪神勝つ

 中日先発が天敵大野。阪神先発が秋山。福留お休みで、センターのスタメンは江越やのうて中谷。どっから見てもきょうは負け。ところが勝ってしまった。エライもんや。まんず、秋山、想定外の好投。で、先制点はゴメスのホームラン。秋山1点取られる。1対1のまま大野から勝ち越し点取れず。で、大野から又吉に変わってくれた。おおきにと狩野ホームラン。まだまだ足りんと今成2点タイムリー。
 負け試合想定のきょうの試合を勝ったんは大きい。こりゃほんまもんかもしれん。
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打つ人でない人が打って勝つ。GMに頼らんでも勝てるぞ

3回藤井3塁打。メッセンジャータイムリー。バッテリーで先制点。援護くれへんねんから自分で自分を援護したなメッセンジャー。そのあと6回の1点とられて1対1の同点。ここから中日の固い守りにはばまれて、なかなか勝ち越し点がとれへん。で、8回に守備固めで出た坂が、待望の勝ち越しタイムリー2塁打。福留もタイムリーでさらに1点。メッセンジャーのあとを継いだ安藤、福原、呉昇桓は完璧におさえる。
 藤井、メッセンッジャー、坂、と打撃の人でない人が打って勝つ。ゴメス、マートンが打たんでも阪神は勝つ。貯金6。4連勝。ホンマに強いな阪神タイガース。
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どうせえというんや


 これは某スーパーの駐輪場に掲示してある注意書きである。小生もここで買物する時にはここに自転車を停める。夜に買物する時もある。
 しかし、この注意書き、どういう意図か判らん。「ご注意ください!!」とあるが、具体的にはどうしたらいいんだ。ここに自転車を停めると、いたずらされないように、じっと見張っておけ、ということか。そうだと買物ができない。だから、ここに自転車で買物に来る時は二人で来て、一人が買物しているあいだ、一人はここで自転車を見張っておけ、ということか。
 あるいは、夜間、自転車で買物に来る時は、タイヤの空気を抜かれることを覚悟して来い、ということか。
 また、空気を抜くことができないタイヤの自転車で買物に来い。はたまた、タイヤの空気を抜こうとすると、隠し銃が発射して、いたずら者を射殺するような自転車。いたずら者が接近するとセンサーが作動して、自動的に移動して逃げる自転車。かような自転車で買物に来い、かな。
 あるいは、昔、ここで自転車に当てられて死んだ者がいる。そやつが、自転車への恨みから、地縛霊となって化けてで、自転車の空気を抜く。だから、ここに駐輪するときは、加持祈祷を行った後駐輪すべき。
 はたまた、この駐輪場の遥か上空のバン・アレン帯にピンホールが開いている。そこからスポット的に強力な宇宙線が、なぜか判らないが自転車のタイヤだけを狙い撃ち穴を開ける。だから、ここに買物に来る時は、耐放射線防護処置を施した自転車で来るべし。
 あるいは、地縛霊ほど恐ろしげではないが、妖怪「くうきぬき」が出没する。だから鬼太郎に見張っていてもらえ。かな。
 ともかく、どう「ご注意」したらいいんだ。
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