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化石の荒野


 西村寿行     角川書店

 仁科草介は警視庁捜査一課の刑事。ある日二人連れの男に襲われた。気がつくと、そこに射殺死体と、それに使用した自分の拳銃がころがっていた。
 仁科はこうして殺人犯として警察に追われる身となる。そんな仁科に手を差し伸べたのはCIAの手の者。仁科は5万ドルの金でCIAと契約。仕事を依頼される。
 ことは終戦直後にさかのぼる。終戦前日、日本の降伏を認めず徹底抗戦をさけぶ厚木基地から1機の最新鋭爆撃機「深山」が飛び立った。この爆撃機の任務は極秘。その飛行目的は日本の将来に大きくかかわる。
 与党の大物で総理の座を狙う中臣晴義。その中臣の息子で元警視庁のエリートFBIでの研修の経験もある中臣克明。その中臣克明の動きを見張れというのがCIAから課せられた仁科の仕事。
 仁科は中臣を追って、四国、奈良三重の県境、日本アルプス、そして北海道の大雪山と追跡する。どうも日本では貴重なウラン鉱山を探しているのか?それとも、とんでもなおお宝か。「お宝」を追っているのは仁科と中臣だけではない。自衛隊の特殊部隊も追っている。
 仁科は疑問に思う。こんなことをやる人材はCIAにはいくらでもいるだろう。「なぜCIAは俺を選んだのだ」それはその「お宝」が仁科自身の出生の秘密と大きく関わってくるのだ。
 西村寿行初期の傑作冒険小説である。宝探し、その宝をめぐって戦う男たち。古典的な冒険小説の定石を踏まえつつ、主人公仁科の哀しい過去、終戦直後の北海道の寒村でなにがあったのか。といったミステリー的興味もあるが、やはりこの作品は冒険小説である。冒険小説としての面白さは充分に保証してくれる。
 西村寿行は当初はミステリー作家としてスタートした。しかし寿行は根っこは冒険小説作家である。その証拠に寿行本人が本書のあとがきで、こう記している。
「謎という要素は小説構成の上で大変重要だが、トリックというのが性に合わない。だからそれを冒険に置き変えた.追う者と追われるもの、死に物狂いで闘う者―それがぼくのテーマである」
「その意味で本編は処女作といえる」
 冒険小説好きを任じる本読みなら、本書はさけて通れない必須単位である。
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阪神、またまた快勝

阪神先発岩貞。広島先発薮田。双方ともローテーションのタニマ。で、このタニマ合戦。終わってみれば8対2で阪神圧勝。う~む。阪神の打線復活はほんまもんか。それとも広島のピッチャーがヘボなんかどっちやろ。
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