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ジョーズ


監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ、リチャード・ドレイファス

 最近のスピルバーグは、過去の栄光にすがってくだらん映画を創ったりして、完全に旬を過ぎた映画監督だが、この映画を撮っているころのスピルバーグは本当に輝いていた。小生は、この「ジョーズ」がスピルバーグのベストではないかと思っている。あとデビュー作の「激突」か「レイダーズ 失われた聖櫃」かな。
 大ヒットした映画だから、お話はよく知られたモノ。海が売り物の小さな田舎町アミティ。海水浴客でにぎわっている。ある朝女性の死体が上がった。警察署長ブロディはサメに襲われた、海開きはしてはならんと主張。市長は市の収入減となるからブロディの主張を却下。そうこうしているうちに、第2第3の犠牲者が。ブロディはサメの学者フーパーとサメ漁師クイントを雇って、3人でサメ退治に海へ出る。
 動物パニック映画の嚆矢ともいえる映画だ。本作が大ヒットしたから、後年同様の映画が次々創られた。シャチ、大タコ、クマ、ピラニア、巨大ミミズなんてのもあったかな。これら後続の類似映画は、しょせんはこの「ジョーズ」の劣化コピーに過ぎず、本作を超える動物パニック映画は創られていない。
 前半はスピルバーグの怖がらせのテクニックが冴える。サメが出るぞと思わせておいて、サメの背びれのおもちゃだったといったフェイントをかけたり、ホッと安心した所に、突然サメ出現。また、不気味な海底の死体をいきなり登場させてドキッとさせたり、観客をダレさせない。このへんの塩梅は見事である。
 後半はブロディ、フーパー、クイントの3人のサメ退治。前半はホラー、パニック、サスペンス、ちょっとだけスプラッターだったが、後半は海洋冒険活劇。白鯨を思い起こさせる。サメ退治3人組のそれぞれのキャラが面白い。ブロディは海が苦手だが、警察署長という立場上、町民の安全を守る義務感から船に乗る。フーパーは学者バカ。サメを研究対象としてしか見てない。クイントは偏屈頑固狷介な漁師。サメにかかった賞金めあて。第2次大戦中、日本の潜水艦に撃沈されたインデアナポリスの元乗組員。海に投げ出された多くの同僚がサメに食われた。それがトラウマになっている。
 動物パニックというより、パニック映画の代表的な傑作だ。
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