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とつぜんコラム №138 もっと人間を信頼してもいいのではないか

 小生は車好きだ。今まで何台かの車に乗ってきたが、その中でオートマチックは1台もない。小生、オートとか自動とかいうものが大嫌いである。会社のフォークリフトは小生が管理責任者だから、新車購入の検討会でも小生の意見は尊重される。今のフォークリフトを購入する時も検討会をやった。オートマチックがいいという意見もあったが、小生はマニュアルを主張。今の会社のフォークリフトはマニュアル車だ。オートマチックのフォークリフトに乗ったこともあるが、オートマチックはワンテンポ動作がずれてカンが狂ってもひとつよくない。
 一番長い間乗った車は、ホンダのインテグラだが、この車、もちろん変速機はマニュアルである。窓ガラスもラジオのアンテナも、自分の手で上げ下ろしした。これは、小生が車の運転という作業が好きなこともあるが、機械とは本来、人間が制御すべきもので、機械が人間の上に君臨してはいけないと考えるからだ。
 家電の某大手が「スマート家電」を売りもんにするとか。なんのことやよく判らぬが、家電機器とインターネットを組み合わせて、外出先からエアコンを操作するとか、予約し忘れたテレビ番組を録画するとか。冷蔵庫が中身を認識していて、今晩のメニューを提案するとか、電子レンジが材料を庫内に入れただけで、自分で判断して調理をするとか。大変に便利ですと、といいたいのだろう。
 小生の好きな車もなにやら「進化」しているそうな。前方に障害物を察知して、自動的にブレーキをかける車はもう実用化されている。最終的には運転手が不要な車になるのだろう。行き先を告知するだけで、車が自分で判断して目的地まで連れて行ってくれる。乗っているのは乗客だけの車である。
 なにやら、どいつもこいつも、ものすごく便利で大変にけっこう。いやあ文明の進歩とはありがたいもんです。と、いいたいのだろう。しかし、上記のことは、どれもこれも大きなお世話である。別に冷蔵庫にメニューを提案してもらわなくても、今晩のメニューは自分で考える。こら電子レンジが勝手に調理すんな。マカロニにホワイトソースをかけて入れただけで、自動的に稼動して、200℃に熱して、15分経ったら、出来ましたといって勝手にマカロニグラタンを出すんじゃない。何度で何分加熱するかは、ワシが判断する。お前のその調理データは、クラウドだとか、どっかに入っている最大公約数的なデータだろう。220℃で20分でいい人もいるだろう。忍たま乱太郎に出てくる黒こげぱんぞう先生なら、300℃で30分かも知れない。え、クラウドには膨大なデータがあるので、どんな料理でもできますって。だったら長崎名産ちりとてちんを作ってみろ。
 なぜ、かように、なんでも自動とかオートとかが、はばをきかせるようになったのか。便利ということもあるが、その根っこに人間不信ということがあるではないか。人間はミスをする。人間は信頼できない。だから機械が自動的にしかるべき処置をする。人間に任せておくより、機械に任せるほうが安心だ。確かにそうだ。人為的なミスが原因で、いままで多くの事故、トラブルがあった。QC活動なんかやっていても、職場のミスの発生要因は人為的ミスが一番の要因だ。
 だからといって、すべてを機械任せにしてもいいのだろか。その機械をつくったのも、機械を動かすプログラムを組んだのも人間だ。そして、人間は機械を設計するのもプログラムを作成するのも、人智のおよぶ範囲で行うのだろう。そんな人間がつくった機械が、人智のおよばない事態に遭遇したらどうなる。福島の原子力発電所は人智のおよぶ範囲でつくられたのだろう。それに人智を超える巨大な津波が押し寄せた。その結果、取り返しのつかない事故が起きた。
 人間には想像力というものがある。機械にはない。人間はミスをする。機械はミスをしない。もっと、人間を信頼すべき所は信頼して、人間と機械の欠点を補いあい、双方の長所を併せ持ったやり方を摸索すべきだろう。
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