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トイレット


監督 荻上直子
出演 アレックス・ハウス、タチアナ・マズラニー、ディビット・レンドル、
   もたいまさこ

 日本映画でありながら、舞台は北米。出演者ももたい以外全員カナダ人。ただ1人の日本人出演者のもたいまさこは、荻上映画の常連だが、回を追うに従って妖怪度があがっている。本作では、もう完全に座敷わらしと化している。もたいの圧倒的な存在感に支えられた映画だ。彼女が映画の中で発したセリフは一言だけ。英語が話せないという設定だから、不機嫌そうな顔でボーと立っているだけ。それでもしっかり演技しているのだから、すごい女優さんといえよう。
 3人兄妹を残して母が死んだ。ひきこもりの長男。オタクで理科系人間の次男。勝気で生意気な妹。センセーという名の猫も。そしてもう1人、母が死ぬ直前日本から呼び寄せたばーちゃん。
 朝、ばーちゃんは長いトイレから出ると、必ず深いため息をつく。この家のトイレに何か思うところがありそう。
 3兄妹は嗜好も趣味も考え方もバラバラ。仲が悪くはないが家族としてまとまっていない。このバラバラ3兄妹のところに、何を考えているのか判らない異国人ばーちゃんが加わった。言葉を発しないが、彼らに愛情を注いでいることが判る。このばーちゃんを軸に兄妹は新たな道を歩み始める。ばーちゃんは、やっぱり家に幸をもたらす座敷わらしだったんだ。
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