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第4の自衛隊

 阪神大震災の時、一番頼りになったのは自衛隊であった。警察と消防は、彼ら自身が被災しているから、思うような活動はできなかった。震災翌日、芦屋市民グランドで、初めて自衛隊の給水車から水をもらった時は、感激のあまり涙が出そうになった。
 このたびの、東日本大震災でも、救援活動のメインとなって動いているのは自衛隊である。生存者の救出、遺体の収容、瓦礫の撤去、救援物資の運搬、被災者の生活支援と、その活動の分野は多岐にわたる。
 日本には憲法上軍隊は存在しない。自衛隊は軍隊ではないとされているが、その機能は軍隊と同じといっていいだろう。軍隊の仕事は非常時にある。他国が責めてきた時に、盾となって国民を守るのが主たる仕事だが、中には国民ではなく権力者を守る軍隊がある国もあるが、大きな災害から国民を守るのも軍隊の仕事であろう。平時は訓練に時間を費やすだけだが、非常時に真価を発揮するのが軍隊だ。
 日本のように災害が多い国は自衛隊が出動することは多い。今回の大震災も、今までにない数の自衛隊員が動員され、さらに予備役まで招集がかかっている。そして、自衛隊に命を救われた人も多いだろう。
 仙石官房副長官がいったように、自衛隊は「暴力装置」である。彼らが所有する兵器は全て人殺しの道具である。戦車砲からは花の種は出ない。着弾したところにはお花畑はできない。砲からは弾丸が出て、着弾した所に人がいれば、その人は死ぬ。これは全て他国から国民を守るためである。幸いなことに、自衛隊は創設以来、軍隊本来の仕事はしていない。ところが、不幸なことに災害派遣は数多く行っている。こうしている今も東北地方で活動している。
 イージス艦ちょうかいが、津波で流され沖を漂っている人を救助した。本来はミサイルを発射して、敵を撃破する船が救命活動をしている。この活動には、ちょうかいに装備されている、127ミリ速射砲や、ハープーンミサイル、20ミリバルカン砲はなんの役にも立たない。じゃまなだけである。ちょうかい以外にも多くの護衛艦が救命や救援物資の輸送に当たっているが、それらの艦船の大砲やミサイルが無ければ、もっと多くの救援物資を積めるだろう。
 仮想敵国は今まで一度も攻めて来た事が無い。大砲やミサイルを実際に使ったことは無い。ところが、地震、津波、台風は何度も日本にやって来た。これからもやって来るだろう。一度も攻めてきていない敵と、何度も攻めて来て、これからも100%攻めて来る敵では、どちらの敵に対応する方が合理的だろう。
 災害の時にはじゃまなだけの兵器を持たない自衛隊を創設すべきだと思う。いろいろな意見があるから、自衛隊の兵器をすべて捨てろとはいわない。現行の、陸上、海上、航空の3自衛隊を少し削減して、災害対応専門の自衛隊を創設したらどうか。自衛隊は、陸、海、空、災害の4自衛隊になるということだ。
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