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10月25日(木) 高等数学の世界「ポアンカレ予想」!?

 NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者 失踪の謎」を観た。非常に面白かった。センス・オブ・ワンダーに満ちあふれた内容で出色の番組だった。 
 ある天才数学者が失踪した。彼の名はグレゴリ・ペレリマン。2006年度のフィールズ賞受賞者。フィールズ賞とは4年に1度与えられる数学界最高の栄誉。受賞理由は「ポアンカレ予想」を証明したこと。 
この数学の命題はこの100年間、数多の天才数学者が挑戦してきたがことごとく失敗。人生を狂わせてきた。ペレリマンはこれの証明に成功した。ところが彼は受賞を拒否して姿をくらました。彼と同様この難問に取り組んだ数学者たちは彼の失踪を理解できるという。なぜか。
  1904年フランスの数学者アンリ・ポアンカレは以下のことを予想した。
「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」
 これを一般化すると
「n次元ホモトピー球面はn次元球面に同相である」
 なんのことやらさっぱり理解できない。ジンマシンが出てきた。こういうことだそうだ。
 ロープを引きずったロケットが地球を出発。ぐるっと宇宙を一周して地球に帰還。ロープは付いたまま。ロープの両端を持って手繰る。全部手繰り寄せられたら宇宙は丸い。手繰り寄せられなかったら丸くない。例えば宇宙がドーナツのような形だったらロープはドーナツの内壁にかかって手繰れない。
 このことを証明せよ。という命題。
 このような高等数学は魔力をもっているらしい。でも小生たち凡人は安心していい。この魔力にかかるのは天才的な頭脳を持っている人たちだけ。この「ポアンカレ予想」の証明に何人もの天才が寝食を忘れて没頭。中には一生をこれに費やした数学者もいた。人生を狂わした学者もいた。これはもう仏教的な「業」カルマとしかいいようがない。
 従来この命題は位相幾何学トポロジーの問題とされてきた。トポロジーとは物の形を軟らかくとらえて分類しようという学問。例えば皿、スプーン、球は同じ仲間、カップ、ドーナツは違う仲間。番組ではこのあたりのトポロジーの解説はCGを使って非常に分かりやすく解説していた。
 ペレリマンはこの命題をトポロジーではなく物理学と古典的なニュートン微分積分で証明した。
 ペレリマンを始め番組に登場する数学者たちの「ポアンカレ予想」に取り組む姿勢は非常にストイックで求道者を思わせる。数学もここまで来ると、哲学的というか、禅に通じる感じさえする。
 このような数学の難問があと6題あるとか。
 
以下番組とは別の話。
高等数学研究室の留守番をたのまれたこんにゃく屋のおやじ。そこに旅の数学者がやってきて、トポロジーの問答をふっかける。おやっさん、なんのことやらさっぱり分からない。だまっている。
「これは超難問6題に取り組んでおられて頭がいっぱいなのだから口がきけないのだろう」と数学者はかってに解釈。手話で問いかける。
ハッ
ホッ
ヘッ
「へへー。参りました。大先生には私ごとき足下にも寄れません」
旅の数学者は平伏して出ていった。
 おやっさん。こんにゃく屋だけに商売もんのこんにゃくをコネコネ手でいじくっていただけ。数学者はそのこんにゃくの形を見てトポロジーの返答と勘違いしたわけ。

 




  

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