風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

イントゥ・ザ・ワイルドⅡ(ネタばれ注意)

2008年09月22日 | 雑感
ついに「イントゥ・ザ・ワイルド」を観てきました。
一日一回、4時半という中途半端な上映時間でしたが、無理やり見てきました。

いやぁ~、たまらない映画でした。
若い頃に見たらもっとたまらなかったでしょう。
役者が良かった。
ああいう顔の若者って、今の日本には少なくなりました。
父親役のウイリアム・ハートは、少ない見せ場でもとても深い演技をしていました。

ぼくも放浪大好き男でしたから、なんというか、自分の青春時代が照れくさいほど重なってしまいました。

家庭の複雑さは、その中で暮らすナイーブな青少年の心を深く傷つけてしまうものです。
その傷の痛みに耐えかねて、青少年は反抗し、放浪し、更に自らの心を傷つけては、苦しい経験をさんざん重ねた後、
いずれ深い静寂に辿り着きます。
上手いこと静寂に辿り着けない場合は、自己破壊的な悲惨な道を歩み続ける可能性が高いです。

この世に信頼を失ったナイーブな心にとっては、この世のあり方というのはとても残酷なものに映ります。
お互いを本当の意味では尊重しない、エゴイスティックな偽善に満ちた社会に映ります。
正義、真理というものがあると信じたくてたまりませんから、
本当のことというのが人の数だけあるという意見は受け入れがたいものに感じます。
彼や彼女に映る愚かしい大人たちの姿に真理があるはずはないと思います。

そういう時期を経て、この世が一筋縄では行かないことを知り、己の思考の限界、経験の限界などを思い知りつつ、
大いなる視点から世を俯瞰することのできる成熟した心境になっていくのでしょう。
青春の挫折が深ければ深いほど、成熟の度合いは増すのかもしれません。

主人公も自然の中で取り返しの付かない挫折を経験します。
その挫折があまりにも深いがために、最後には大いなる視点に到達します。

あまりにも切ない話なのですが、切ないだけで留まらない感動がありました。
短い人生の中で、少なくとも彼は生ききりました。

あちこちに、珠玉のような言葉が散りばめられていました。
若い人に観てもらいたい映画です。
いろいろ語りたくなりますが、この辺で。