一昨日の夜帰ってきて、昨日出勤するはずでしたが、目覚めたのが夕方近くだったので、今日店に出てきました。
ロンドン(4泊)→フィレンツェ(4泊)→アッシジ(2泊)の旅行でした。
いろいろあって、まだ頭がまとまらないのでおいおい書いていこうかと思っています。
仕事を兼ねて行ったのですが、買い付けに要した時間は正味30分ほどだったでしょうか(笑)
現地からインターネットカフェからでもブログを書いていれば臨場感のある報告ができたと思いますが、
そういうマメなタチではありませんから、印象深かったことを思い出しては書いて行きたいと思います。
書こうと思えばいくらでも出てくる旅行ではありました。
今日はそのうちの一つ。
フィレンツェの最後の晩、ホテルで夕食を食べたあと皆と別れ、夜の街をうろうろ歩き回りました。
ホテルの前の広場では、ジプシー音楽だのジャズだのヴァイオリンだの、玄人はだしのストリートミュージシャンが技を競い合っています。
観客は通りすがりの観光客やら暇をもてあました住人ですから、反応が素直です。
質が高ければ拍手やチップを惜しみませんが、凡庸なら見向きもしません。
ぼくはそんな広場の様子をベンチに座ってうっとり眺めていました。
なんせすぐ傍では電飾華やかなメリーゴウランドまで回っています。
子供の歓声に混じって、大人たちが時折上げる歓声やら拍手やらが広場にこだまします。
風はひんやりと心地よく、広場を行き来する人々の顔も幸せそうです。
やがて夜も更け、メリーゴウランドも店じまいの支度を始めました。
ストリートミュージシャンを取り囲む人の輪もだんだんと小さくなってきました。
夜も更けるに従い、風も冷たくなってきました。
その時、背後でとても透明感のある歌声が聞こえてきました。
シューベルトの「アベマリア」です。
一瞬誰かがレコードをかけたのかと思うほど、完成された歌声です。
振り返ってみると、広場の隅で立った女性と、椅子に腰掛けた男性の演奏でした。
立ち上がって、集まりかけた人の輪に加わりました。
決して大柄ではないスレンダーな若い女性が、その身丈に合わない声量で決して嫌味にならないほどの情感をこめて歌い上げています。
伴奏は若い男が弾く使い古したアコーディオンのみです。
男は顔も上げずもくもくとアコーディオンを弾いて行きます。
広場を取り囲む回廊の下で、二人がひっそり身を寄せ合って、オペラやカンツォーネを次々と歌って行きます。
広場は回廊も建物の壁も何もかもが石造りで、ヘタなコンサート会場よりも音響効果が抜群で、音に深みと透明感があります。
人の輪はたちまち大きくなります。
一曲歌い終わる度に大きな拍手が沸きあがり、誰かしらチップを投げに行きます。
何曲かをじっと聞いていたカーキ色の夏物のスーツを着て、ステッキを持った老紳士が、何度も頷いてその女性に握手を求めました。
女性は恥ずかしげに頬を染めてにこっと微笑みました。
ぼくも数曲聞いて、すっかりそのCDが欲しくなりました(この辺りで演奏する奏者は皆質が高いのでCDを用意して売ってます)。
誰かがCDを買うタイミングを見計らって、ぼくも2枚買いました。
一枚買うと15ユーロでしたが、二枚買うと25ユーロでした。
30ユーロ渡しました。
彼女が5ユーロの釣りをくれようとしましたが、取って置いてくださいと言うと、はにかんでにこっと笑いました。
昔の小説かなんかに、売れない歌手に惚れるというような話があったように思いますが、その気持ちがすごく分かりました(笑)
この2枚のCDはぼくの宝物になりました。
一つはカンツォーネのCD、もう一つはアリア集でした。
どちらにも何曲かアメリカの古いポップスも収録されていますが、ポップスはいただけません。
彼女のピュアな歌声にもう一つマッチしません。
CDの安っぽいジャケットには二枚ともその若い男と若い女性がぎこちなく仲良さげに並んで写っています。
その容貌とウクライナの民謡が入っていることから、ウクライナ出身のカップルなのでしょう。
なんかいろいろな意味で、とても素敵なフィレンツェの夜でした。
ロンドン(4泊)→フィレンツェ(4泊)→アッシジ(2泊)の旅行でした。
いろいろあって、まだ頭がまとまらないのでおいおい書いていこうかと思っています。
仕事を兼ねて行ったのですが、買い付けに要した時間は正味30分ほどだったでしょうか(笑)
現地からインターネットカフェからでもブログを書いていれば臨場感のある報告ができたと思いますが、
そういうマメなタチではありませんから、印象深かったことを思い出しては書いて行きたいと思います。
書こうと思えばいくらでも出てくる旅行ではありました。
今日はそのうちの一つ。
フィレンツェの最後の晩、ホテルで夕食を食べたあと皆と別れ、夜の街をうろうろ歩き回りました。
ホテルの前の広場では、ジプシー音楽だのジャズだのヴァイオリンだの、玄人はだしのストリートミュージシャンが技を競い合っています。
観客は通りすがりの観光客やら暇をもてあました住人ですから、反応が素直です。
質が高ければ拍手やチップを惜しみませんが、凡庸なら見向きもしません。
ぼくはそんな広場の様子をベンチに座ってうっとり眺めていました。
なんせすぐ傍では電飾華やかなメリーゴウランドまで回っています。
子供の歓声に混じって、大人たちが時折上げる歓声やら拍手やらが広場にこだまします。
風はひんやりと心地よく、広場を行き来する人々の顔も幸せそうです。
やがて夜も更け、メリーゴウランドも店じまいの支度を始めました。
ストリートミュージシャンを取り囲む人の輪もだんだんと小さくなってきました。
夜も更けるに従い、風も冷たくなってきました。
その時、背後でとても透明感のある歌声が聞こえてきました。
シューベルトの「アベマリア」です。
一瞬誰かがレコードをかけたのかと思うほど、完成された歌声です。
振り返ってみると、広場の隅で立った女性と、椅子に腰掛けた男性の演奏でした。
立ち上がって、集まりかけた人の輪に加わりました。
決して大柄ではないスレンダーな若い女性が、その身丈に合わない声量で決して嫌味にならないほどの情感をこめて歌い上げています。
伴奏は若い男が弾く使い古したアコーディオンのみです。
男は顔も上げずもくもくとアコーディオンを弾いて行きます。
広場を取り囲む回廊の下で、二人がひっそり身を寄せ合って、オペラやカンツォーネを次々と歌って行きます。
広場は回廊も建物の壁も何もかもが石造りで、ヘタなコンサート会場よりも音響効果が抜群で、音に深みと透明感があります。
人の輪はたちまち大きくなります。
一曲歌い終わる度に大きな拍手が沸きあがり、誰かしらチップを投げに行きます。
何曲かをじっと聞いていたカーキ色の夏物のスーツを着て、ステッキを持った老紳士が、何度も頷いてその女性に握手を求めました。
女性は恥ずかしげに頬を染めてにこっと微笑みました。
ぼくも数曲聞いて、すっかりそのCDが欲しくなりました(この辺りで演奏する奏者は皆質が高いのでCDを用意して売ってます)。
誰かがCDを買うタイミングを見計らって、ぼくも2枚買いました。
一枚買うと15ユーロでしたが、二枚買うと25ユーロでした。
30ユーロ渡しました。
彼女が5ユーロの釣りをくれようとしましたが、取って置いてくださいと言うと、はにかんでにこっと笑いました。
昔の小説かなんかに、売れない歌手に惚れるというような話があったように思いますが、その気持ちがすごく分かりました(笑)
この2枚のCDはぼくの宝物になりました。
一つはカンツォーネのCD、もう一つはアリア集でした。
どちらにも何曲かアメリカの古いポップスも収録されていますが、ポップスはいただけません。
彼女のピュアな歌声にもう一つマッチしません。
CDの安っぽいジャケットには二枚ともその若い男と若い女性がぎこちなく仲良さげに並んで写っています。
その容貌とウクライナの民謡が入っていることから、ウクライナ出身のカップルなのでしょう。
なんかいろいろな意味で、とても素敵なフィレンツェの夜でした。