![1_113 1_113](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/04/108ab33438d58e438392bb0798a9467f.jpg)
All Photos by Chishima,J.
(チュウシャクシギ 2006年9月 東京都江戸川区)
(日本野鳥の会十勝支部報「十勝野鳥だより」160号より、一部加筆・修正して転載)
八月に入ってからというもの、北海道とは思えない蒸し暑い日々が続いていますが、暦は既に立秋を過ぎ、季節は着実に移ろおうとしています。鳴禽類の囀りに山野が包まれる新緑の頃や、大型水鳥が大挙して飛来する春秋のような華やかさは無いかもしれませんが、この時期でも野外に赴けば鳥たちとの素敵な出会いが待っています。この季節ならではの、楽しみの一部を簡単に紹介したいと思います。
1.シギ・チドリ遊ぶ汀
シベリア等極北での繁殖を終え、東南アジアやオーストラリアの越冬地への長旅の途中、シギやチドリの仲間が羽を休めます。十勝には、根室の風蓮湖や東京湾の干潟のような大規模な渡来地はありませんが、こまめに足を運んでいると意外と多くの種類との出会いがあるものです。彼らを多く見ることができるのは、海岸や海に近い湖沼・湿地ですが、内陸部でも川原やちょっとした湿地があれば、それなりに飛来します。また、そうした環境が身近に無くても、夜空を渡る風流な声を聞くこともあります。
シギやチドリの仲間は種類も多く、最初は皆同じように見えて困惑するかもしれませんが、まずはコチドリ、イソシギ、トウネン、キアシシギといった普通種を見慣れ、それらを「物差し」として大きさや形等の特徴を比べることで、思いのほか見分けがつくようになるでしょう。もっとも、たとえ種類が分からなくても、日の短くなった夕刻の水辺にシギ・チドリの姿や声を求めて彷徨うのは、何とも言えぬ風情のあるものだと思いませんか?
トウネン(幼鳥)
2006年9月 北海道十勝郡浦幌町
小型種の中では最普通。本種を基準にして小型のシギを見てみると、意外と違う種類もいたりする。
![2_112 2_112](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/ef/12a017e8b5e510387e020ed47de87f26.jpg)
ミユビシギ
2007年5月 北海道中川郡豊頃町
一見、上のトウネンみたいに見えるが、大きくて嘴ががっしりしていること、また、普通種のハマシギとは嘴がまっすぐなこと等で識別できる。砂浜を群れで走っていることが多い。
![3_110 3_110](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/1b/33da58ed2a5a5fec86d4497ccafa21a4.jpg)
2.あどけない幼鳥たち
つい先頃まであれほど賑やかに囀っていた小鳥たちも、この時期はすっかり目立たなくなってしまいます。葉が茂って鳥が見えづらくなったのにくわえて、換羽の時期を迎えて目立たない所でひっそりと暮らしているためです。ただ、種によっては巣立って間もない雛たちが野山を闊歩しているのを見ることができます。森林ではシジュウカラ等のカラ類やアカゲラ等のキツツキ類、原野ではノビタキ、人家周辺ではスズメやカラス類あたりが出会いやすいでしょうか。あどけない幼鳥たちの顔を眺めているだけでこちらまで穏やかな気分になれますが、幼鳥たちは好奇心旺盛なのか、しばしば目の前まで近寄って来ては至福の時間を提供してくれます。
ハシボソガラスの幼鳥
2006年6月 北海道網走郡大空町
![4_104 4_104](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/c5/fe3ec694943785833e9235de390669ba.jpg)
アカゲラの幼鳥
2007年8月 北海道根室市
頭頂部全体が赤いので、オオアカゲラと見誤ることがある。
![5_105 5_105](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/8e/fd14e0bc2cb12d7dc9d078b726134f23.jpg)
ビンズイの幼鳥
2007年7月 北海道帯広市
巣立ち後間もないようで、飛翔も弱々しかった。
![6_101 6_101](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/d7/8096b8432724957ca63dffd4922f9620.jpg)
また、湖沼や河川にはすっかり成長して親と近い大きさになったタンチョウの子どもや、カモ類やアカエリカイツブリの親子の姿もあることでしょう。海岸には、近くに大きな繁殖地が無いにも関わらず、オオセグロカモメやウミネコの幼鳥が、続々飛来してきます。
オオセグロカモメの幼鳥
2007年8月 北海道中川郡豊頃町
磨滅や換羽の進んだ第1回冬羽ではなく、新鮮な幼羽を見ることができるのは、近くに繁殖地がある場所の強みだ。
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ウミネコの幼鳥
2007年8月 北海道中川郡豊頃町
最高気温が25度を超えた昼下がり、口を大きく開けて喘いでいた。わざわざコンクリの上に座らなくても…。
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(幼鳥については、2005年7月の記事、 「幼鳥ラッシュ」にも何点かの写真があります。)
3.秋の渡りの走り
8月半ば過ぎには早くもムシクイ類が南への移動を開始するそうです。8月末から9月頭にコガモやヒシクイの第一陣が渡来すると、いよいよ秋の渡り時期だなとの実感が沸きます。その頃から年によりますが、山地から平地へ移動するカケスの小群が目立つようになります。市街地の公園等身近な場所でエゾビタキやマミチャジナイに出会うことがあるのもこの時期です。日々ガンカモ類が数を増やす水辺では、シギ・チドリの渡りが続行中です。台風の前後、海が荒れた時にはおそらく普段は沖を移動中のアジサシやトウゾクカモメ類が海岸に姿を現すこともあります。また、小高い丘の頂上では、人知れずタカの仲間が高度を上げて南を目差しているかもしれません。とにかく秋の渡りはその落日の如く目まぐるしく、日替わりと言っても差し支え無いでしょう。野外へ足を運べば運んだだけの、素敵な出会いがあるはずです。
秋空を渡るハイタカ
2006年10月 北海道帯広市
北海道ではハチクマ(道東にはほとんどいないが)やノスリより遅く、10月半ば頃、大雪や日高の峰が白くなり始める時期に移動中の個体を見ることが多いようだ。
![9_74 9_74](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/98/4bbb5504f517fa1137cc0247d71f223e.jpg)
(2007年8月9日 千嶋 淳)
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