All Photos by Chishima,J.
(アホウドリの若鳥 以下すべて 2014年9月 北海道十勝沖)
午前5時半、快晴の中を出航。港を出ると冷たい風が頬を撫で、海面はいくらか波が立ち、季節の変わり目を過ぎたことを実感しました。オオミズナギドリやハイイロミズナギドリが数~10羽程度で次々と現れ、出港後40分ほど経過するとコアホウドリも散見され始めました。それらが同じ方向を目指しているように見え、オオミズナギドリの密度も高くなって来たのでこれはもしやと思っていると…。
いました。水深120m付近で操業中の底曳網漁船。そして私はもちろん、船頭ですら見たことないというほど密集した多数のクロアシアホウドリ。150羽以上がまるでカモメ類のように漁船に群がり、その中には約50羽のコアホウドリと、更にはアホウドリの若鳥が1羽!!オオミズナギドリやカモメ類も多く、目の前で繰り広げられる「秋の信天翁祭」にただひたすら夢中と興奮の中にあった1時間弱でした。クロアシアホウドリは普段より、上下尾筒の白い成鳥が多い印象でしたが、季節的なものなのか索餌能力の違いなのかは不明です。しかし、普段は広い海に分散しているはずの海鳥が、操業中の漁船を見付けて短時間の内に続々と集まって来る能力には驚くばかりです。今回のような晴天だけでなく、濃霧の日にも集まるので、視覚だけでなく嗅覚も重要な役割を果たしているのでしょう。
クロアシアホウドリの群れ
コアホウドリやアホウドリ、カモメ類の姿も見える。
復路はオオミズナギドリがほぼ絶え間なく飛ぶ中、オオトウゾクカモメが次々に現れ、近距離でも何度か見られました。優占種がいつの間にかウミネコやセグロカモメに変わると、もう沿岸。港周辺でウ類3種やハジロカイツブリも観察して船を降りました。今回はアホウドリ類が過去にないくらい多く出現したのにくわえ、多少風があったのでそれらやミズナギドリ類が水平線高くまで悠然と上昇しながら飛ぶ姿も楽しめました。ウミスズメ類はウトウが往路で1羽のみと少なく、10月後半にウミスズメの南下群が入って来るまではその状態が続きそうです。9~10月前半はもっと北の海域に移動しているのかもしれません。最近よく見られるというカマイルカの大群には出会えずじまいでした。風があって海面近くにイワシの群れがいないからではないかとは、船頭さんの見立てです。
下船後はいつものように番屋でサケのちゃんちゃん焼き(心臓や白子も混じった、船頭さんが今季釣り上げたもの)やマツカワの刺身、贅沢にイクラを盛り付けたジャガイモ等、旬の魚介料理を頂きながら歓談し、解散しました。参加、協力いただいた皆様には厚く感謝いたします。そしてお疲れ様でした。
観察種:クロガモ ハジロカイツブリ コアホウドリ クロアシアホウドリ アホウドリ フルマカモメ オオミズナギドリ ハイイロミズナギドリ ハシボソミズナギドリ アカアシミズナギドリ ヒメウ カワウ ウミウ ヒレアシシギspp. ウミネコ セグロカモメ オオセグロカモメ オオトウゾクカモメ ウトウ トビ オジロワシ ハシボソガラス ハシブトガラス スズメ目鳥類 海獣類等:イシイルカ イルカ類 チョウ類
海面から飛び立ったオオトウゾクカモメ
(2014年9月18日 千嶋 淳)
*十勝沖調査は、NPO法人日本野鳥の会十勝支部、漂着アザラシの会、浦幌野鳥倶楽部が連携して行っているものです。参加を希望される方はメール等でご連絡下さい。
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