鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

ウミガラスとハシブトウミガラス(その1) <em>Uria aalge</em> & <em>U.lomvia </em>1

2012-01-25 12:18:55 | 海鳥写真・チドリ目
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All Photos by Chishima,J.
(以下すべて ウミガラス(右)とハシブトウミガラス 2012年1月18日 北海道厚岸郡浜中町)


 生態や形態に違いのある2種であるが、特に非繁殖期の海上ではしばしば一緒に観察される。翼開長はともに60cm代後半から70cm前後で、クロガモより少し小さい。白と黒のコントラストが顕著で、順光下では白が、逆光下では黒が際立って見える。ウミガラスは冬羽では頭頂部を除く顔は白く、目後方の黒い線はかなりの距離からでも見える。後頚からの暗色部が線状になって前頚下部まで達し、角度によっては顔を黒っぽく見せる。冬期に見られるハシブトウミガラスは、顔全体が黒っぽく喉から前頚にかけて淡色なもの、目の付近までキャップ状に黒色部があってツートンカラーに見えるもの、両者の中間的なもの等があり個体差が大きいが、いずれの羽衣でも目の後方は黒く、ウミガラスのような白地に黒いラインが出ることはない。

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 両種とも体は流線型の筒型。顔から体の前半にかけて一定の膨らみがあるため、飛翔時は水面に対して水平に見えることが多い。ケイマフリやウミバトでは顔から首にかけて比較的細く、胸の部分で急に膨らみを帯びるため、体の軸は水面に対して斜めに見えることが多い。


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 体上面の黒色は、ハシブトウミガラスでは漆黒なのに対し、ウミガラスではやや褐色みを帯びる。ただし、後者では夏羽のようなチョコレート色に近い感じではなく、本画像でもやや褐色がかって見えるが、一見しただけではわからないことの方が多い。ハシブトウミガラスの上嘴基部の白線は、光線条件が良ければそれなりの距離からでも目視できるが、個体や光線によってはウミガラスでもこの部分が淡色に見えることがある。飛翔時は体の後半部に見える翼は細長く、先端が尖る。


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 両種とも下雨覆は白く、風切部分も淡色なため、翼下面は広範囲にわたって白く見える。ケイマフリやウミバトでは翼下面は基本的に暗色で、ウミガラス類のような広い白色部は存在しないが、陽の当たり方や角度によっては淡色に見えることもあり、注意が必要。両種とも次列風切先端が白く、白いラインを形成するが、近距離でないとあまり目立たない。


(2012年1月25日   千嶋 淳)

*一連の写真は、NPO法人エトピリカ基金の調査での撮影。


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