All Photos by Chishima,J.
(木箱にとまるアジサシの夏羽 以下すべて 2013年6月 北海道霧多布沖)
(NPO法人エトピリカ基金会報「うみどり通信」第7号(2013年10月発行)掲載の「2013年度霧多布沖合調査(その1)」を分割して掲載、写真を追加 一部を加筆・訂正)
なかなか海況が安定せず、ようやく今年度最初の調査に出ることができました。当日は所々雲があるものの、全体的には青空の広がる好天で午前8時、常連メンバーから初参加のボランティアまで6人の調査員を乗せた船は霧多布港を出港しました。浜中湾と外海の境目にある帆掛岩では、数組の親子を含む30頭余りのゼニガタアザラシを確認。幸先の良いスタートです。ちなみに、ゼニガタアザラシは岩場やその周辺の海上で子育てをするため、赤ちゃんは流氷上で子育てするゴマフアザラシやクラカケアザラシのような白い毛皮ではなく、オトナと同じ黒い毛で生まれます。
沖に転じると鳥はやや少なかったものの、アホウドリの若鳥やシャチの小群と出会い、浜中の海のポテンシャルを感じずにはいられませんでした。そんな行程の中、海面を漂流する木箱に止まる2羽のアジサシがいました。時期からしてロシア極東の繁殖地への北上中で、2羽はつがいなのでしょうか。近付く船に颯爽と飛び立ち、そのまま去りました。カモメ類などを除く大部分の海鳥は、繁殖期以外の生涯の大部分を海洋で過ごしますが、それでも「陸上」で休みたくなることがあるようで、アジサシ類やトウゾクカモメ類はしばしば漂流している流木や発泡スチロールに止まっていますし、潜水性海鳥のウトウが流木上で休むのもよく見られます。変わったところでは、浮いているタイヤにアカアシミズナギドリが座っていたことがありました。海上調査を行なっていると発泡スチロール片や木箱、ブリキ缶等人間由来の漂着ゴミの多さにしばし唖然とさせられますが、皮肉にもその一部は海鳥たちの休息場所となっていることも事実です。
アホウドリの若鳥
岩礁で憩うゼニガタアザラシ
(2013年8月 千嶋 淳)
*本調査は地球環境基金の助成を得て、NPO法人エトピリカ基金が実施しているもの
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