対行政書士試験用のこの憲法の過去問も残りわずか。
本試験まであと1ヶ月ちょっとですので,できるだけ高度な問題を解いておくように。
今回は「予算の法的性格」に関する見解問題からです。
予算は国会や内閣のようにメジャーではありませんので,統治の中では盲点になりやすい論点です。
出題されたときにあわてることのないように,深入りしないまでも,基本的な部分は押さえておきたいところだと思います。
「問題」
次のA説からC説までは、予算の法的性格に関する見解である。次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
A説: 予算は、国会が政府に対して1年間の財政計画を承認する意思表示であって、もっぱら国会と政府との間でその効力を有し、法的性格を有しない。
B説: 予算に法的性格は認めるが、法律とは異なった国宝の一形式である。
C説: 予算は、いわば予算法ともいうべき法律それ自体である。
ア A説に対しては、財政民主主義の原則や財政国会中心主義の原則と矛盾するという批判が可能である。
イ B説によれば、法律が制定されてもその執行に要する予算が成立していない場合には、予備費の支出等、別途の予算措置を講じることによる支出を除き、支出をすることはできないと解することになる。
ウ C説の根拠として、予算は、いわば国家内部的に、国家機関の行為のみを規律し、1会計年度内の具体的な行為を規律するものであるという点をあげることができる。
エ C説によれば、国会は、内閣が提出する予算の減額修正権は有するが、増額修正権は有しないと解することになる。
オ B説及びC説のいずれの考え方によっても、予算は成立したが当該予算の執行を内容とする法律が不成立となった場合には、支出をすることはできないと解することになる。
1 アイ 2 アエ 3 イオ 4 ウエ 5 ウオ
(平成20年度 司法書士試験 第3問)