不法行為に関する判例問題から。
司法書士試験の過去問ですが,論点的には宅建,マン管,管業試験のいずれにも応用可能という感じ。
特に選択肢のエは,過去にマン管でも出題されたことがある判例で,要注意。
「問題」
加害者が二人の不法行為に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア 共同不法行為により損害を被った被害者が共同不法行為者の一人に対して損害賠償債務を免除した場合には、その者の負担部分の限度で、他の共同不法行為者も、被害者に対して免除の効力を主張することができる。
イ 交通事故によって傷害を負った患者が搬入された病院において適切な治療が行われなかったことにより死亡した場合において、遺族から死亡の結果により生じた損害の賠償を求められた医師は、交通事故の発生について患者に過失があったときは、過失相殺による賠償額の減額を主張することができる。
ウ 二人の使用者との間に使用関係がある加害者が、両使用者の事業の執行について第三者に損害を加えた場合には、使用者責任に基づいて損害の賠償をした一方の使用者は、加害者に対して求償することはできるが、他方の使用者に対して求償することはできない。
エ 責任を弁識する能力のない未成年者の行為によって火災が発生した場合において、未成年者自身に重大な過失と評価することができる事情があったとしても、その監督について重大な過失がなかったときは、監督者は、火災により生じた損害を賠償する責任を負わない。
オ 土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって損害が生じた場合において、その占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、その所有者は、その工作物を瑕疵がないものと信じて過失なくこれを買い受けていたとしても、損害を賠償する責任を負う。
(参考)
失火ノ責任二関スル法律
民法第709条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
1 アウ 2 アオ 3 イウ 4 イエ 5 エオ
(平成16年度 司法書士試験 第20問)