先週の行政書士試験,そして今週の貸金試験と,2週連続で行われた資格試験は,どちらも昨年度との比較という点からして,大変厳しい内容であったと思います。
行政書士試験では記述の結果次第で6割ライン到達という方,また貸金試験の場合は,過去4回の合格基準点上の得点(30~33点)を取られた方は,合格発表の来年1月まで,かなりナーバスな状態で過ごされることになるかもしれませんが,どちらのほうも今年の試験での受験者全体の平均点は,前年度に比して相当低くなっていると思われます。
今の段階で合格を確信されているという受験者の方は,ほとんどおられないのではないでしょうか(特に行政書士)。
そこで両試験を振り返って見てちょっとひとこと。
まずは行政書士試験のほう・・
こちらのほうは,平成18年度に新試験制度になって以来,最大の難化といってもよく,なんとなくですが,試験委員はこの平成18年の試験レベルを今年の試験のモデルケースとした可能性もありそうです。
出願者数も,この年は今年とほぼ同じくらい(平成18年度88,163人,今年22年度88,652人)。
ちなみに18年度の受験者数は70,713人。
合格率4.79%で合格者数は3,385人でした。
いまとなっては,もうデータなどはほとんど無意味かもしれませんが,少なくとも記述の得点次第という方は,しばらく勉強を休まれて(他の試験を受けられる場合は別です)冷静に今後の方向性を考える時期にあてられたほうがいいかもしれません。
また,記述の得点を加えても択一の得点そのものが・・
という方も,ここはひとまずゆっくりされて,「来年もう1回やってみようかどうか」,「あともう1回やれば6割ラインまで持っていけるのかどうか」など慎重に考えられたほうが良いと思います。
来年もう1回チャレンジという場合は,最低でも今年中に決断しなければならないと思いますが,その場合は,かなり本気で戦略を練り直しませんと,来年も同じ結果になりかねませんので,そのあたりは十分注意されたほうがいいと思います。
かたや,貸金試験受験者の方は・・
こちらのほうは今現在も,合格率,基準点などに関して,大変悩まれている方がかなりおられると思われますが,もう,取った得点を変えることはできません。
あとは「合格率との戦いだけ」。
この合格率に関しては,完全に固定される(安定する)のは来年度以降で,2年目の今年は何%か下がるのは間違いないとしても,急激な低下まではないと考えているのですが・・
これまでなんども同じようなことを書いてきていますが,今回の試験は過去4回のどの試験よりも,間違いなくハイレベル,受験者全体の平均点も最も低いものになっていると考えられます(断言してしまってもいいですかね)。
あとは,この試験の問題レベルで何点取っていれば,主任者として実務を行う能力があると判断されるのかの問題・・・
去年の試験の判定基準からするなら,そんなに高い基準点が出てくるとは思えないのですが・・
去年の第1回試験は8月30日実施で合格率は70.1%。
そして最終第4回試験は2月28日実施で合格率は61.7%。
約6ヶ月の間に下がった率は8.4%。
前回の2月の試験から今回11月の試験までの間隔は約9ヶ月。
いくら同一年度内とはいえ,6ヶ月で8%ほどの低下であったものが,今回は年度が替わったことを根拠に一気に30%ダウン?・・・
あまりにも基準点を高くしてしまった場合,前回までの最低基準点での合格者と今回の,あの試験のレベルでの最低基準点合格者との能力差などは,一切無視?・・
昨年の4回の試験と今年の試験とを同じ系列,ひとつながりと考えている可能性は?・・
いくら推測に推測を重ねても,はじめから今年の合格率が決められているのであれば,すべては徒労以外の何ものでもありませんが,昨年度の試験とあまりにも隔たりのある極端な判定基準では,来年度以降の受験者数などにも確実に影響を与えることは間違いなさそうですね。
低下は低下でも,2年目でこの程度なら,ある程度納得できる,というような筋の通った決着を望んでいます。
今年の貸金試験を受験された方へ。
40点以上など,ぶっちぎりの得点を取られた方はいうまでもありませんが,35点以上の方も,まず間違いなく大丈夫だと思います(どんな角度から考えても不合格の要素はないと思います)。
おそらく,勝負のラインは30点から~33点という,これまで目にしてきた数字での決着になる公算が大・・
合格発表の1月12日はまだまだ先です。
あまり深刻に考えられず,ある程度,楽観的に期待して待つことにしてみたらいかがでしょうか。
理不尽な結末というのは,そうめったに起きるものではないですから。