第4回試験の問題を分野別にみて行きたいと思いますが,その前に協会が受験者数を発表しています。
今回の受験者数は約1万人ということ。
これが出願者数なのか受験者数なのか分かりませんが(1,2回目の時は出願者数が,3回目は受験者数が共に受験者数として試験直後に発表されましたので)。
ただ今回は出願者数と受験者数にそれほど大きな差はないとみて,だいたいこれくらいの方が受験されたということでよさそうですね。
そこで問題がこれまでの試験と比べてどうだったのかということ。
まず「法および関係法令」の分野。
ここは前回の試験では1,2回目よりも1問減って29問の出題でしたが,今回は元に戻って30問に。
3回目の試験では,異常とも思えるくらい易しい問題が続いたのがこの分野の特徴でしたが,今回は問題レベルも1,2回目に戻ったような気がします。
そのことは,第1問目を比較してみると(特に3回目と今回)一目瞭然だと思います。
問題の論点で真新しいものは特にありませんし,なかに含まれている利息制限法などもそれほど解きにくい問題ではありませんが,長文に次ぐ長文は相変わらず・・・
ただ今回の試験ではこれまであたり前のように含まれていた「常識だけで解ける問題」がかなり減っている,正確な知識を持っていないと正解できないような問題が増えていたという感じがしています。
そんななかにあって,意表をつかれるかたちになったのが【問題12】の個数問題。
この問題そのものは決して難しい論点からの出題ではありませんでしたが,ここで動揺してしまわれた方もいるかもしれませんね。
まさか貸金試験で,しかも4回目で(次回ではなく)出てくるとは・・
読んでいた方はいるでしょうけど・・
この分野の難易度の結論としては1,2回目とほぼ同じレベルであったというのが私の感想です。
次に「貸付および貸付に付随する~」簡単に言うと民法と関連法に関する分野ですが,
ここは今回どれくらいハードになるのかと思っていましたが,予想外に平均的な問題が多かったですね。
特に民法ですが,ちょっと深いと思ったのが「問題34」の相続の問題。
この問題は管理業務主任者試験で出題されても,もっというなら宅建でもという感じがします。
民法の中では,この問題がもっとも良問だったと思います。
他の問題は1,2回目とほぼ同じレベル。
ただこの分野でも個数問題が1問入ってまして,しかもそれが民事訴訟法。
この分野がもともと得意だという方にとっては,それほど難易度が高いと思えないかもしれませんが,全般的にはかなり正答率は低くなったのではないかと思いますが・・
それとここでは「犯罪収益移転防止法」と「破産法」が復活。
収益移転防止法は1回目と問題レベルはそれほど変わらないと思いますが,破産法は1回目とは比較にならない問題だと思います。
1回目はただ単に条文の知識を問うだけの問題でしたが,今回はかなり踏み込んできましたから。
3回目の試験ではこの分野がもっとも難易度が高かったのですが(その分,問題数が多い貸金業法が易しすぎたため全般的には平均点は高くなりました)今回のこの分野のレベルは1回目と同じくらい?で,可もなく不可もなくという感じだったような気がします。
そして「資金需要者等の保護に関すること」。
今回ここは4問に減ってしまいました。
この分野は毎回毎回出題科目が変化して振り回されますが,今回は貸金業法と個人情報保護法(ガイドライン)のみ。
この分野の貸金業法は毎回易しめなんですが,今回もそれほどハードな問題は出ていませんね。
その分,個人情報保護法がらみのガイドラインの問題が・・・
知っていればなんということはない問題ですが,意外と紛らわしかったような感じがしますね。
論点的には完全に行政書士試験の一般知識なんですけど。
結論です。
この分野は問題数が少なかった分,全問正解があったかもしれませんが,悪くてもマイナス1ぐらいでおさえたかったところだと思います。
そして最後の3問。
出るところがあらかじめ決まってしまっている分野なので,1番対策を練りやすい問題がこの3問。
今回も企業会計原則「問題48」,キャッシュ・フロー計算書「問題49」,「源泉徴収票」と3問とも完全に過去問レベル。
特に1,2回目とほとんど同じような形式なので,ここは普通に3問は取れたところかもしれません。
以上から今回の試験のまとめ。
全般的な難易度は前回よりも高め。
レベル的には1回目よりも2回目に近いような感じ。
合格ラインを2回目,3回目同様,65%にそろえるのであれば,前回の33点よりは若干ですが低くなるような気もします。
前回の受験者数は約1万2千人。
そして今回が約1万人。
ほとんど同じくらいなので,基準点も大きくずれることはないと思ってよさそう。
ただこれは,合格率を65%据え置きと判断した場合。
問題はそれよりも多少下げてきた場合(上げることは99.9%ありえないと思います)。
個人的にはどんなに下がっても50%までだと予想しますが,それより下がるならばいまここで書いていることは根本的に見当違いということになりそうです。
そうならないことを祈るばかりですが・・
結局言いたい事は,仮に50%まで下がったとしても基準点が35点を上回る事はないということ。
以下はこれまでの3回の試験での推定平均(50%)ライン。
第1回 基準点30点 合格率70% 推定平均点33点
第2回 基準点30点 合格率65% 推定平均点32点
第3回 基準点33点 合格率65% 推定平均点35点
全ての回において推定平均点が35点を上回った事がないと考えられます。
もっとも易しかったとされる3回目の試験で,仮に合格率を50%にまで下げていたとしても35点で合格出来ていたと思われます。
今回の試験が3回目の試験よりも易しかったのかどうか・・・
あるいはこれまでの全ての回と比較しても1番易しかったのかどうか・・
そのあたりは,上のデータから,受験された方が,今回の試験と過去の試験問題を比較して,総合的に判断していただければと思います。
私なりの結論としては,合格率65%堅持であれば,30点から32点の間(33も可能性はゼロではないですが),下げたとしても50%までとみて,いまの段階で35点以上は,どんな状況であれほぼ確定(これまでの協会の流れ的にこれを上回る数字を出してくるとは思えませんので)と予想します。
合格基準点に関しましては,また追々コメントしたいと思います。
いずれにしましても,今回受験された方は,あと25日の間,もどかしい状況が続くと思いますが,あまり悲観的にならずに期待しながら発表を待たれることですね。
個人的には今回の試験が,そんなに易しかったとは思っていませんので(あくまで全4回の比較での話ですが)。