今年の試験から,宅建業法のなかに新しく「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」略して「瑕疵担保責任履行法」が組み込まれることになりました。
これは平成12年に施行された「新築住宅の品質確保の促進等に関する法律」こちらも略して「品確法」を補強するために作られた法律でして,品確法の制度趣旨が分かっていれば,特別難しいものではありませんが,はたしてこの瑕疵担保責任履行法からの出題はいかに?・・・
20問ある業法の枠からして,最低1問,多くても2問までだと思います。
ただ1問の場合と2問の場合では問題の難易度や論点が変ってきそう。
出題数1問なら,法律の大まかな仕組み,制度から比較的標準レベルで,2問なら1問はやさしめ,残りの1問はかなり突っ込んだところから出てきそう。
そもそもこの瑕疵担保責任履行法は,その名のとおり,業者(建設業者と宅建業者ですが,試験では当然宅建業者のからみででてきます)に,品確法で認められている瑕疵担保責任を遂行させるために,あらかじめ法務局(供託所)に保証金を供託するか,保険に入るかのどちらかを義務づけているものでして,この供託や保険加入の制度のからみから1問出題,というのがもっとも可能性的に高そうです。
1問ならまちがいなくここからでしょうね。
そこで重要ポイント。
①保証金の供託や保険加入が義務付けられるのは,業者が新築住宅を引き渡す場合。
②ここで言う新築住宅とは,建設工事完了の日から起算して1年以内であって,人の居住の用に供したことのないもの(品確法上の定義と同じ)。
③瑕疵担保責任の保証の対象となる部位は「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」(これも品確法といっしょ)。
④平成21年10月1日以降引き渡される新築住宅が対象。
瑕疵担保責任に関するポイントはこんなところですが,もし2問の出題があるとすれば,残りは「紛争処理」に関する論点から?・・・
この法律では瑕疵担保責任の履行の確保とあわせて,売主,買主間や請負人と発注者などとの間で生じる可能性のある紛争の処理体制を明確に規定しています(法第33条)。
このあたりのつくりも品確法と非常に似通っていますが,どちらかというとこの辺はマンション管理士や管理業務主任者試験の論点(マン管,管業ともに品確法からの出題は最重要といってもよいくらい頻出)に近く,2問出題された場合にのみ可能性のある論点でしょう。1問の出題でこれ(紛争処理体制)だけを聞いてくるとはとても考えられず・・・)。
あくまで今年は,上記の4つのポイントから派生する瑕疵担保責任がらみの基本的な論点から,1問の出題が濃厚だと思います(供託金の額が住宅の供給戸数に応じて違うんですが,1年目でそこまで細かい所からの出題は非常に疑問)。
ここはいきなり条文から入るよりも,まずテキスト等で制度の大枠を理解するところから始めていくのが最も効果的な学習法だと思います。
来年以降はともかく,1年目はそんな感じでしょう。
品確法も,マン管や管業試験で最初に出題されたときはそんなもんでしたので,あまり神経質にならなくても十分対応できると思います。
ちなみに今月の20日に発売された「不動産法律セミナー」8月号で,この新法に関する記事(直前対策)が掲載されていますので,ここに不安を感じる方は参考にされるといいかもしれません。