tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

決算好調、株価下落、アベノミクス

2017年11月14日 15時59分11秒 | 経済
決算好調、株価下落、アベノミクス
 前々回、今年度上期決算が好調なことについて書きましたが、銀行の決算は別として、この好調は、来年3月期決算にもつながっていくという見方が多いようです。
 そうした中で、日経平均は大分下げました。今日は見直し気分も多少出ているようですが、実体経済と株式市場は、短期的にはあまり関係ないようです。

 前々回も触れましたように、経済統計で見ても、法人企業の売り上げや付加価値はあまり伸びていません。これらの指標は経験的にGDPと強い相関があります。つまり、日本の経済成長率もあまり高くならないという事で、経済成長の数字はその通りです。

 背後にある事情はこんなことでしょう。日本企業は収益が回復し積極的な経営活動をしていますが、諸種の事情から、海外展開が多くなっています。
 海外展開という事は、海外で人を雇い、海外でコストを払って、その結果、収益が高まるわけです。

 海外で支払った人件費やコストは、進出先の国のGDPを増やしますが、日本のGDPは増えません。ただし企業の利益は、連結決算に反映されますから、企業収益は好調です。
 その結果の海外からの受取利息や配当は、GDP(DはDomesticで国内のみ)には入らず、 GNI(国民総所得)には入っていきます。

 つまり、日本企業の活発な活動はその多くがGDPに関係ない海外で行われているという事になります。例えば、トヨタは 国内生産300万台死守と言っていますが、アメリカは「輸出せずにアメリカで作れ」と言います。

 勿論、海外市場に生産を立地するのは有利な面が多いですし、東南アジア諸国の賃金水準は日本より低いので、その点でも企業にとっては有利です。
 結果的に、国際収支の統計で見るように、GDP成長は弱いが、 第一次所得収支(海外進出企業の利子配当収入)が大幅黒字という事になるわけです。

 これは日本経済が発展することに伴い必然的に起きる問題で、避けることは不可能でしょう。出来ることは、海外展開をしつつ、国内経済もある程度の拡大(GDPの成長)を、いかに確保するかということです。失敗すると国内の生産体制が衰え、消費の方は衰えないで、アメリカのような万年赤字国になるのでしょう。

 日本は、現状、生産体制はまず大丈夫でしょう。問題は、アメリカと正反対で、それを購買する国内消費の力が弱く、個人消費が伸びず、訪日外国人の爆買いに頼るような状態です。
 問題は、このブログでいつも指摘しますように、国内需要の不振をいかにして活性化するかです。

 原因は、将来不安に根差す、貯蓄志向、 消費性向の低下であることも明らかになっています。
 この点が、政府、企業、消費者(労働組合)の情報共有と相互信頼、相互理解の中でいかに進められるかが最も重要で、こうした経済の主要プレーヤーが、腹を割って、十分話し合わないところに、アベノミクスの成果が上がらない原因があるのでしょう。

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