tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安と日本経済、そのプラスとマイナス

2014年10月04日 10時00分27秒 | 経済
円安と日本経済、そのプラスとマイナス
 円安になると株価が上がるという現象が見られる一方で、円安が日本経済にマイナスの影響を与えているというマスコミの記事も多いようです。
 円安はプラスなのでしょうか、マイナスなのでしょうか。

 円高の時は「円高で大変だ」と言い、円安になれば「円安のマイナス面が」というのでは、誰もが何か変だと思うのではないでしょうか。もちろん為替レートが無暗に変動するのは好まし事ではありませんが、円高・円安の基本的な影響を見てみましょう。

 円高の場合は、日本国内の物価とコストが(ドル建てで=国際的に見て)円高分だけ上がります。海外の物価は相対的に安くなります。
 円安の場合は、日本国内の物価とコストが(ドル建てで)円安分だけ下がります。海外の物価は相対的に高くなります。

 経済への影響は、円高の時は、海外の製品が競争上有利になり、国産品は競争力が低下、輸出は不利になり、国内にも安価な海外製品が流入し、国産品は、コスト・カット、価格引き下げを迫られ、これがデフレ圧力になります。輸入原材料の価格は円高分、安くなるので、多少助かる面もあります。
 円安の時は、海外製品は競争上不利になり、国産品が円安分だけ有利になり、輸出は増え、輸入品の流入は減り、景気は良くなり、インフレ圧力が生じます。当然、輸入原材料の価格は高くなり、これもインフレ圧力となります。

 今問題と指摘されている主な点は、①円安になったのに輸出が伸びない、②原材料高騰で国内物価が上がる、などの点です。

① の円安なのに輸出が増えないという点に関しては、生産拠点を海外に移したことが主因で、多少時間がかかっても、企業の判断で 対応は進むでしょう。他方、$1=¥80が¥110近くになった(国産品の価格が3割ほど下がった)のですから、国内製品の有利さが次第に明らかになって輸入品から国産品へのシフトも当然起こるでしょう。すでに海外からの買い物ツアーは好調です。
  ただし全体的な調整が行われるのには、円安状態の安定が必要ですし、調整の時間もかかります。円高に苦労して対応したのと逆のプロセスです。

② の国内物価上昇については、円高の時デフレになった事の逆ですから、避けられない面はあります。但し、輸入依存度が1割強であることを考えれば、3割の円高でも、輸入品値上がりによる物価の上昇は、トータルで3パーセント程度で、3年かけて調整すれば年1パーセントで終わりです。
  今そのプロセスが進んでいるところですから、輸入原材料を使うところは、価格転嫁が終わるまで、コスト高で苦しいということになります。これは日本の為替政策の結果ですから、厳密に計算して、正直に価格転嫁すべきものです。

 日本経済トータルで見れば、輸入コストは1割強で、国内コストが9割近いわけですから、円安はコストの1割が上昇、9割が下がるころになり、種々の形で、日本経済の活力にプラスになって来るというのが、基本的な影響です。

 本当に必要なことは、$1=¥100~¥110で為替レートを安定させること。そして、輸入物価上昇の価格転嫁はきちんと行い、国内コスト低下の有利さを出来るだけ生かす経営戦略を確実に選択することでしょう。


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