tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価上昇4%でも日銀が動かないわけ

2023年10月09日 15時08分45秒 | 経済
8月の消費者物価の上昇は3.2%(総合)でした。この「総合」の数字は1月の4.3%上昇が2月3.3%上昇に下がっています。これは政府が、電気・ガス会社に補助金を出したからで、補助金を止めれば、消費者物価上昇率は4.2%(アメリカ8月3.7%)になります。

更に中身を見ますと生鮮食品とエネルギーを除く総合」が4.3%で、総合より高い要因は、食品8.6%、生鮮を除く食品9.2%といった生活必需品の上昇です。

一方で、日銀のインフレ目標は2%です。これは消費者物価上昇が2%になったらゼロ金利を辞め、金利を上げて、金融正常化を行うという前提での目標です。
しかし日銀は、金融正常化に動く気配はありません。何故でしょうか。

その理由を日銀は説明していますが「2%インフレ目標は『賃金上昇を伴う物価上昇です』というだけです。

しかし、賃金も上がっています、統計で見れば、実質賃金は下がっていますが、名目賃金は毎年上がっています。今春闘では賃金上昇も高まり毎月勤労統計では5月・6月はそれぞれ3%、2%の上昇です。

最低賃金もこの所毎年3%、今年も10月から4%上がります。
そしてそれに合わせるように10月から4千数百品目の生活物資の値上げが報道されています。

これでも「賃上げを伴う物価上昇ではない」と日銀は言うのです。
日銀は、理由は言いません。思うに、日銀は、もっと顕著な賃金上昇、賃金インフレでなければ。「注視している」だけでいいと考えているのでしょうか。

そこで、まず基本的なことを考えてみましょう。「インフレが起きる状況、起きる原因は何か」という事です。

古典的には、モノとカネのバランスで起きる、モノより金が多くなるとインフレになるという基本的な理解(貨幣数量説)があります。

これは基本論で、応用編ではその通り行かないこともあります。おカネが一部の人に集まってしまった場合とか、おカネが入っても節約して使わない人が多いといった場合にはインフレは起きません。
考えてみれば、日本でもそんな状況も一部に出ているような気もします。

次に、もう少し具体的な面からインフレの原因を分類している見方がないかと言えば、インフレの原因は通常「輸入インフレ」と「賃金インフレ」だという見方です。

輸入インフレは輸入品の値上がりが国内価格に影響して起きるインフレです。賃金インフレは、国内で賃金が上がることで起きるインフレです。

輸入インは2つの場合がります。1つは世界中で、原油や穀物の値段が上がったといった場合です。もう一つは、円安になって、日本だけ輸入品の値段が上がる場合です。
前者は世界共通の問題ですが。後者は日本だけの問題です。

賃金インフレの場合は、賃金が上がることは、コストの面から見れば、コストプッシュ・インフレ、購買力の面から見ればデマンドプル・インフレの2つの側面を持ちます。

さて、これらの要因の組み合わせの上に、経済政策、為替理論、消費行動、雇用構造、企業経営学などの問題が絡み合って、今の日本の状態が起きているので、政府も日銀も、その複雑さから説明が上手くできないので、曖昧な説明で済ますので、何を考えているのかわからないという結果になっているのでしょう。

次回は、このブログで今まで書いて来た事を整理し、何処まで的確に解り易く説明できるか、全力でトライしてみます。

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