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2023年11月、消費者物価沈静化進む

2023年12月22日 17時10分02秒 | 経済
2023年11月、消費者物価沈静化進む
今朝、総務省統計局から11月の消費者物価指数が発表されました。
10月には千数百品目の一斉値上げがあり、未だ、生活必需品等の値上げ圧力は続くかと懸念していたところですが、11月は一転して沈静傾向になっています。 

具体的な動きは下図の通りですが、鎮静傾向と3本の線が1%ほどの範囲内にまとまって来ていることが解ります。物価を取り巻く情勢が平穏になって来たという事でしょう。

   消費者物価主要3指数の推移

           資料:総務省統計局「消費者物価指数」

「総合」、「生鮮食品を除く総合」の指数は下降に転じています。「生鮮食品とエネルギーを除く総合」はまだいくらか上昇傾向ですが11月は105.8から105.9への0.1ポイントの上昇です。この指数(いわゆるコアコア指数)がこの所一貫して消費者物価を押し上げてきましたが、ようやく国内インフレ要因が消えて来ているという所でしょう。

10月には生鮮食品が暑すぎた秋のせいで値上がりでしたが、それも落ち着き、政府が補助金を出して政策的に引き下げていた電力やガソリンも原油価格の下落などで沈静化して来た事があると思います。

コアコア指数の上昇が、一斉値上げなどの動きもあって心配されてきていましたが、調理・加工食品、飲料、調味料といった食品類、それにトイレットペーパーなどの必需品についても、値上がりすると買い控えが起きるといった現象が見え始めたようです。

今春闘の賃上げが思ったより小幅だった中での消費者物価上昇で、実質賃金の低下が19カ月連続といった状況では、そろそろ値上げも限界という意識が出てきたのでしょう。
この辺りを、対前年同月上昇率で見ますと下図です。

消費者物価主要3指数の対前年同月上昇率(%)

               資料:上に同じ

2月に電力ガスなどが政府補助金で下がり、緑色のコアコア指数が独歩上昇でしたが、それも夏以降は横ばい状態のなり、秋に入って上げ幅の縮小となって来ています。

11月には、生鮮食品、エネルギーが下げ、天候や、輸入エネルギーが下げ、残った食料、日用品などのコアコア指数も、値上がり→買い控えといった現象から安売りが頻繁に見られるようになるなど3本の線が揃って下がるという現象が出て来たようです。

一時の円安による輸入物価の上昇も、為替レートは円高に転じるようで、国内情勢の変化と相まって、消費者物価の上昇要因も次第に消えてきた、というのが現状ではないでしょうか。

こうした状況が続き、その上に、来春闘での主要労組の10000円を越える賃上げ要求が成果を出せば、日本銀行が望んでいるような日本経済のバランス回復、ゼロ金利脱出で、国民の目指す元気な日本経済に向かう可能性も出て来るという期待を持って年末年始の物価の動きを追いかけていきたいと思っています。
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<訂正>11月24日付の当ブログの10月分のコアコア指数の上昇率に誤りがありました。
今回の数字は訂正済みです。大変申し訳ありませんでした。

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