tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国内政策を外国で言い出すのは何故でしょう?

2022年09月24日 17時13分55秒 | 経済
先日はNYの国連総会で、安保理改革の推進を力説した岸田総理に絶大な賛意を表しましたが、今回のNYの証券取引所での演説は、国会でならわかりますが、些か場所柄の認識を失したものではないかと思うものでした。

嘗て、ロンドンのシティーで「岸田に投資を」と呼びかけて失笑を買ったようですが、本人は一生懸命だったのでしょう。(その感覚のずれが少し怖いですね)

外国から投資を呼び込むことが「新しい資本主義」かどうか知りませんが、今回も「今後日本経済は力強く成長を続けます」だから投資をと呼びかけています。

一国の総理大臣です、しかもかつて世界一の高度経済成長を実現した日本だからと思ったのでしょうか。しかし、今は30年来経済成長はほとんど無縁で、経済関係のランキングは落ちるばかりの日本です。

そんな国になり下がっている日本ですが、総理が来て、「今後は力強く成長します」と言っても俄には信じないでしょうし、岸田総理自身、その自信はないのではないでしょうか。

事の順序から言えば、国会でこの演説をやり、その結果日本経済が具体的に経済成長を始め、その成果を持って海外で、日本への投資を呼びかけるというのがまともでしょう。

しかも、成長をもたらす原動力として挙げているのは、
・NISAの恒久化で家計の貯蓄の投資に呼び込む
・年功賃金を見直しジョブ型賃金への移行を促す
・新技術習得を充実、労働移動を促進、高生産性産業に人を集める
・海外からの観光客誘致を積極化する
・その他カーボンプラ一シング、GX、起業支援などなど
       
これらはすでに多くの国々で検討・実施され、日本でも長年に亘り論じられ、政府の肝いりで具体策の検討なども行われて来ていることで、これで日本経済が成長力を取り戻すとは、日本に住んでいる我々には、とても考えられない事のようです。

大体、なぜ日本人は金利も付かない銀行預金をするのか解っていないからNISAが最初に出て来るのでしょうし、働き方改革の心臓部の「ジョブ型賃金」は非正規従業員では当たり前の賃金制度、そうなりたくないから新卒一括採用をみんな望んでいるのです。

キャリア形成を中断し、外部でデジタル技術を習得して高賃金企業への転職を狙うよりも、、今いる企業の中で、給料をもらいながら、新しいデジタル技術の勉強をして、企業ともに新しい技術の世界に生まれ変わる努力は、発展する企業では日常茶飯事です。

こうした欧米企業には少ない「企業自体が常に新しい分野の企業に脱皮する」といった形は、企業内再訓練、企業の新規分野進出、高生産性企業への脱皮を「雇用の継続と安定」の中で実現するのが日本的経営の特徴であることをご存じのはずと思うのですが。なぜ労働移動がそんなに大事なのでしょうか。

唯一、インバウンドの積極的拡大策は、ほっておいても、コロナが終息すればいやでも実現するでしょう。逆に政府が急ぎ過ぎれば、第8波で頓挫しかねません。

外国では誇大宣伝をしても、聴衆は自主的に判断してくれますが、国会でやれば言質を取られて後が大変という事で、国政の方針を先ず外国で行って既成事実にするのでしょうか。

こうした「日本経済はこれから力強く成長します」といった約束は、まず国会で、日本国民に真っ先に説明してほしいと日本人なら思うにではないでしょうか。

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