tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカ企業のマネー政策に要注意?

2021年04月08日 16時06分20秒 | 経済
アメリカ企業のマネー政策に要注意?
 アメリカが震源地で世界金融恐慌に発展しかけたリーマンショックは2008年でした。あれから12年余が経ちました。

 あの傷から世界経済がやっと回復したと思ったら、新型コロナで世界中大変です。新型コロナは(トランプさんは中国を疑っていたようですが)恐らくコロナウィルスの自然の突然変異によるものでしょう。

 しかし、リーマンショックの方は完全に人為的なものでした。アメリカの金融機関がが低所得層向けの住宅ローン(サブプライム・ローン)を大量に貸出して、住宅バブルを起こし、それが崩壊して住宅価格が暴落したわけで、事の実態は日本の土地バブルと同じです。

 日本の場合は、日本の土地購入者の資産と金融機関のB/Sに大穴があいて、そのバブル崩壊の後遺症に苦しんだのですが、アメリカの場合は少し違いました。

 アメリカの金融機関は、金融工学を活用して、膨大な住宅ローン残高を証券にし、AAAの格付けをして世界中に売ったのです。バブルはいつかは崩壊します。トリプルA だった証券は暴落、格付け会社は格付けを訂正しましたが、すべては後の祭り。証券を買った世界中の金融機関やそれを組みこんだ商品を買った世界中の投資家や家庭の主婦までが一斉に大損をすることになり、世界金融恐慌か!という事になったわけです。(アメリカの中だけでやってくれればよかった!) 

 アメリカの金融機関は、日本のバブルと違って、世界中で損を分担するようにしたので、だいぶ楽をしたのでしょう。バーナンキさんの超金融緩和政策もあり、なんとか早めに回復できたようです。日本はそのトバッチリで超円高になり、随分苦労しました。

 そう考えると、金融工学というのは、それなりに役に立つものだという事になりますが、それは、アメリカにとっての話で、トリプルAを安易に信用してアメリカの債権を買った世界中の国々・人々は大変な目にあったというのが結末です。

 説明が長くなりましたが、最近また問題が起こったようです。日本では、野村HDが2200億円の損失の可能性があるというニュースが流れました。
クレディスイスも5200億円の損失と言われています。

 震源地はアメリカのアルケゴスという個人ファンドだといことで、高いレバレッジで、ハイリスク、ハイリターンを目指す投資をやっているなどと言われるところのようです。

 こんなことは、アメリカのマネーゲーマーの中では普通のことかもしれませんが、引っかかった外国の金融機関はたまりますせん。この世界では引っ掛った方が馬鹿だ、引っ掛るのが悪いという事なのでしょう(サブプライムローンの時はアメリカ政府も噛んでいましたが、今回は単なる個人ファンドです)。 ほかにも引っ掛った日本の金融機関もあるようです。

 こうしたビジネス(?)をカネの流れで捕えれば、アメリカ企業が外国から出資を募り、あるいは金を借り(預かり)マネーゲーム(ギャンブル)に失敗してカネを返せなくなった。しかしギャンブルの掛け金は結局はゼロサムですから、アメリカの別の企業(ファンド?)がそのカネを受け取り、結局は日本のカネが、それだけアメリカに流れた、アメリカの資本収支に貢献したという事でしょう。

 ついでにもうひとつ例を挙げますと、東芝はアメリカのウェスチングハウスを買収し、原発建設を試みたが、規制が厳しくなって下請け工事会社への支払いがかさみ採算が取れなくなって、撤退しましたが、カネの流れから言えば、結局、自己資本の約1兆円をアメリカに差し上げたという事でしょう。

 こうしたいろいろな例を見てきますと、アメリカは、借金は証券化して外国に売りリスクを分担してもらい、資本の流入なら大歓迎、出来れば返さなくて済むのが一番いい、といった所があるような気がします。

 かつてはバブルのころ、日本企業がNY市の中心ロックフェラーセンターを買収したり、映画で有名なティファニーを買ったりして、なんでアメリカは文句も言わず、平気なんだろうなどと訝る向きもありましたが、後から日本企業は大損して売却という事もあったようです。
 
 万年赤字国のアメリカですから、外国のカネの流入を当てにしなければならないことは当然かもしれませんが、それにしても、アメリカに投資するという事については、日本のように、マネー 戦略の下手な国(企業)は、よくよく考えなければならないのではないでしょうか。



 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。