tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

マネー資本主義克服に何が必要か その2

2012年02月01日 15時30分00秒 | 経済
マネー資本主義克服に何が必要か その2
 マネー資本主義の根本的な克服策は「賃金上昇を生産性上昇に合わせること」、これしかありません。しかし、これは必要条件であって、十分条件ではありません。
 以前も書きましたように、ギャンブルというのは有史以前から人間と共にあり、ついでに言えば、インチキ も必ず随伴します。
 必要条件が満たされても、ギャンブルは残ります。

 そこで必要になるのは、ホモ・エコノミクスに倫理を教えることと、制度的に、厳しいディシプリンを課すことでしょう。その点で2009年の「ロンドンG20」や2011年の「慶州G20」の共同宣言 は重要なのです。

 この実現のために、財政支出の削減が言われますが、実はその背後にある、国民の「生産能力を超えた生活向上の欲求」(生産性向上を超える賃上げ欲求)に手を打たないと、問題は解決しません。そのためにも「合意的な労使関係」は決定的に重要なのです。
 ここでも「経済にタダの昼飯はない」という格言は生きています。労働組合にその理解が必要なのです。

 今、世界を見渡してみても成熟経済の先進主要国の中で、経常収支の黒字を維持しているのは、ドイツと日本です。ドイツはかつて物価1兆倍を経験し、国民自体が、インフレを徹底的に嫌っています。日本は、戦後、第一次オイルショックで狂乱物価を経験し、第二次オイルショックでその教訓を生かし「ジャパンアズナンバーワン 」と言われた経済の安定を実現し、その過程で労使がインフレの無駄を熟知しています。
 各国経済には、こうした歴史から直接学んだ国民への教訓が生きているようです。

 以上、最も基本的なことを指摘してきましたが、前々々回書きましたように、アメリカがブレトンウッズ体制を考えた時に掲げた思想はこれだったのでしょう。しかし結局は、ベトナム戦費の拡大と国民の欲求に抗しえず、ケネディー~ニクソン時代の悪戦苦闘の末、アメリカ自体が先ずこれを放棄、世界経済はキーカレンシーの漂流から、マネーの大津波に飲み込まれてしまうという今日に至ったのがその間の実情でしょう。矢張り世界のリーダー、一国のリーダーは大変です。

 今ギリシャではパパデモス首相が、悪戦苦闘しています。国民が「ただの昼飯はない」ことを「本当」に理解しなければ、デモや暴動はやまないでしょう。理解を得るためには「国民のリーダーに対する信頼」がベースになります。これはどこの国でも同じです。やはりリーダーは大変です。しかし、それこそがリーダーの役割です。


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