tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安が進んでいますね

2022年03月15日 21時40分59秒 | 経済
今日、円レートを見たら118円台になっていてビックしりしました。

去年の桜の咲くころは107円台だったといった記憶ですが、1年たって10円の円安です。昨秋から円安傾向が出て、またこのところ何やら不安定な感じで円安が進んでいる感じです。

事の起こりは、アメリカの中央銀行に当たるFRBが、金利の引き上げを言い出してからのことと思われます。
それに加えて、この所のインフレ昂進に対応の金融引き締めでしょう。

FRBが15,16両日の会合で多分0.25%の引き上げで0.5%にするであろうという予測が118円に繋がっているのでしょうが、日本としてはどう考えたらいいのでしょうか。

アメリカは物価の上がりやすい国のようですし、日本は物価の上がりにくい国の代表のような存在です。

原油や穀物、各種資源などの国際価格の高騰で、アメリカの消費者物価が7~8%ほども上がっている状況では、もともと金利正常化の基本方針を持っているアメリカですから、インフレ対策としての金融引き締め、金利引き上げに動くのは当然でしょう。

アメリカは海外インフレを賃金引上げなどを通じて国内インフレに転嫁しやすい国ですが、日本はと言うと、海外インフレを国内インフレに転嫁するのが容易でない国のようです。

日本は春闘で賃金が決まりますが、アメリカはその時の労働需給によって、物価が上がれば賃金も上がるといった傾向が強く、このままでは賃金も物価も上がる可能性が高く、当然インフレ対策が必要になります。

一方日本は、前回の日銀の政策決定会合でも、黒田総裁は、異次元金融緩和政策は当面続けるという事で、「現状では円安の利点の方が大きい」という趣旨の発言でした。
そして政府は、ガソリンの価格が上がれば補助金を出して上昇を抑えることに熱心で、企業は輸入品の値上がりを価格転嫁を抑えて、合理化や利益減で吸収する努力をします。

国際金融理論でいえば、円安になれば物価が上がるですが、日本の場合は円安になってもインフレはひどくならず、国際比較すると、相対的な物価水準はどんどん低くなる傾向があるようです。

今年の春闘も、政府は補助金で物価を抑えながら、賃金はなるべく高めに引き上げなさいと旗を振っているのですが、労使は賃上げに慎重です。
多分春闘の結果もそれほど大幅な賃金上昇にはならず、物価上昇もアメリカの様にはとてもならないでしょう。

多分こういう状況が続きますと、将来、世界の人的・物的交流が活発に戻った時になって、日本はどんな立場になるか、日本の政策担当者は頭の片隅のどこかに入れておいた方がいいように思います。

多分その時日本の国際競争力は、インフレを起こさなかった結果強化され、日本の物価は安く、インバウンドは改めて大盛況になり、海外から、特にアメリカから、日本は少しやり過ぎではないかといった意見を聞くことになりそうです。

この儘いきますと、状況はプラザ合意の前に似てくる可能性があることに早めに気づく必要があります。
為替レートとゴルフのハンディ」も書きましたが、為替レートは低すぎても高すぎても、都合が悪いのです。舵取りは結構多様で微妙です。
プラザ合意の失敗を繰り返さないためにも、普段から不断の注意が必要なのではないでしょうか。

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