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tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

農林水産物輸出1兆円突破

2021年12月17日 16時08分07秒 | 文化社会
食糧自給率が50%を切る日本ですが、それとは裏腹に、食料品などの輸出額が、今年、1兆円を超えることになったようです。

輸出の伸び方も急速で9年前2012年には4500億円ほどでしたから、10年を経ずして9年倍増というスピードです。
日本の食品の味の良さが、世界的に認められ、人気に火が付いたというところでしょか。

コロナで中断しているインバウンド、訪日外国人の数も、増え始めると急増という状態でしたが、いろいろな意味で日本という国の良さが世界で認識されて来ているのは大変結構なことだと思います。

恐らくは日本食が世界の無形文化遺産になったことも関係があると思いますが、グルメとは縁遠い私でも、最近日本の食べ物は美味しくなったと実感します。
インスタントラーメンから寿司まで、一足先に世界に広まったものも沢山なりますが、いよいよ日本の「味」が世界に広がるようです。

何が違うのかと考えてみますと、日本人の舌というのは、特別に繊細に出来ているような気がするのですがどうでしょうか。
日本には「山海の珍味」という言葉がありますが、これは縄文時代から海の幸、山の幸を味わい尽くしてきた日本人ならではのものかもしれません。

最近輸出が伸びている品目には、養殖の貝類(ホタテなど)、和牛、メロンや柑橘、それにウィスキー、日本酒などのアルコール飲料などが並んでいますが、牛肉やウィスキーは欧米の特産品のはずで、かつては、舶来のウィスキーや牛肉が日本で珍重されていたものです。

ところが、味で勝負という事になりますと、値段は高くても和牛が人気になり、日本人も知らない埼玉県のウィスキーが、世界の金賞に輝き、品不足に陥るといったことになるようです。
日本人特有の味覚、舌の性能に感謝しなければいけないのかもしれません。

勿論これは味覚の世界だけではありません。食料については輸入ばっかりと思っていた日本の農林水産業の、新たな発展、世界を相手にした発展の可能性を大きく開いていくことにつながるのです。

10頭単位の日本の飼育規模でアメリカの何千頭規模の農場の牛に敵う筈がないという規模基準の考え方は「味」という要素の前では崩れ去るのです。

考えてみれば、マグロもウナギも、日本人の味覚が発見開発し今や世界中の食欲に迎えられ乱獲の憂き目にあっています。
日本人が腕によりをかけた旨味絶佳の食品は、ますます世界に広がっていくのではないかと思うところです。

長い眼、広い視野で見れば、これは日本の伝統文化である「常に自然を大切にし、自然を育て、自然からの恩恵を享受する」という日本人の生き方から生まれたものと考えられます。

食べるものも基本的には量より質、人体機能のバランスを重視、肥満を避け、健康な生活をする。これは究極的にエコであり、SDGsにつながるものではないかと考えられるものではないでしょうか。

農林水産物輸出1兆円突破は小さいニュースかもしれませんが、考え方によっては、日本の未来を大きく開く何かを含んでいるように思われるところです。