tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円高の恐怖は変わらず

2011年09月22日 14時53分37秒 | 経済
円高の恐怖は変わらず
 新内閣は、円高に対しては「事態は深刻」と強い関心を持っているようですが、この所の円の動きを見ていると、アメリカの量的緩和の話が出たりするたびに、じりじりと円高が進むといった様相で、円高への企業の恐怖感は、これまでと変わらない状況が続いています。

 スイス中央銀行の決断については、このブログでも、3~4回前に触れましたが、その後の動きを見ると、その表現の強烈さに国際投機資本も恐れをなしたのか、宣言の通り、1ユーロ=1.20~1.22スイスフランで安定し、スイス中央銀行は長期的には、合理的な水準を目指してさらなるスイスフラン安を目指すと発言、意志の強さを強調しています。

 わかり易く、円とスイスフランを比較すれば、1スイスフラン95円だったものが、85円に下がってそのまま安定しているのです。国際投機筋も手を出しにくくなっているのでしょうか。

 日本時間では今夜から(9月22日)からワシントンでG20が開催されますが、政府・日銀は、円高阻止のために、どんな説明をするのでしょうか。

 国内では、復興対策や景気対策のための第3次補正など、多くの資金需要があり、増税か国債発行かで揺れることでしょうが、これはあくまでも国内問題で、海外から見れば、日本は、大震災後の第2四半期(4~6月)でも、国際経常収支は、1.5兆円のプラス(黒字)で(昨年同期は3.6兆円)、問題を起こしている赤字国とは状況が違います。

 相変わらず、経常黒字を続ける日本が、赤字国の救済が急務のG20で、円高阻止を訴えても、本気で聞いてもらえない可能性は高いような気がします。
 因みに、スイスはどうかといえば、スイスも経常黒字国です、スイスに出来たことが日本にも出来るのかどうか、日本の力量が問われるところです。

 スイスの取った方法、無制限な為替介入については、問題点も指摘されています。無限にユーロを買い続けるといっても、それは現実には不可能という指摘です。従来の経験でも、せいぜい1年ぐらいなどと言われます。

 スイスのように、豊富な知識、経験、ノーハウの積み上げのない日本としては、先ず、震災復興のために、 経常黒字の分を使いきってしまうというのはどうでしょうか
 目一杯使ってしまって、黒字国でなくなれば、投機筋の日本を見る目も変わるでしょう、詭弁かもしれませんが、日本の黒字がなくなるという事は、その分だけ赤字国の赤字が減ること(世界の経常収支はゼロサム)ですから、これは、赤字国の赤字減らしへの貢献でもあります。