tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

為替政策: 行き過ぎた自由の再考(1)

2011年09月02日 16時59分02秒 | 経済
為替政策: 行き過ぎた自由 の再考(1)
 9月に入りました。季節は秋です。大きな台風、12号も来ていて、あちこちで、集中豪雨、浸水、土砂崩れなどの報道があり、日本列島の自然はなかなか安定してくれません。
 それでも日本人は、根気良く頑張っています。今朝の新聞には、マッカーサーがコーンパイプを咥えてB29から厚木に降り立つ写真が見開きで出ていて、『いい国つくろう、何度でも』と書かれていました。
 われわれ世代には、矢張り訴えるものがありました。

 考えてみれば、戦後からプラザ合意(1985年)まで、日本人が頑張れば、それが目に見える成果となって返ってきました。戦後の廃墟からの立ち直りの中で、ドッジラインもあり、朝鮮動乱後の不況もあり、なべ底不況もあり、戦後最大の不況といわれた昭和40年の不況もあり、第1次オイルショック、第2次オイルショックも、そしてニクソンショックもありました。

 そのたびに、日本人は、根気と勤勉さ、真面目な努力で乗り切ってきました 。しかし、プラザ合意後、特にリーマンショック後は全く違います。日本人が変わってしまったからでしょうか。それは違うようです。大震災後の日本人の頑張りを見れば、日本人は変わっていません。

 先日、アジアの企業の中堅幹部たちと話す機会があり、「皆さんの国は、これからが発展の時代だが、日本は不況の連続だ」と話した所、「それは内的要因か外的要因か?」という質問がありました。

 皆さんだったらどうお答えになるでしょうか。私は、「日本人が頑張れば頑張るほど円高になるという今の国際金融環境のせいだ」と答え、「今後皆さんの国もこういう環境におかれる可能性があります。日本の失敗に十分学んでください」と付け加えました。中国代表は苦笑 していました。

 今の日本は、国際投機資本の勝手な思惑で円高になることに対抗する手段を持ちません。経済政策として「考えうること」については、円高を止める方法」シリーズ 「で書きました。しかし国会論議は相変わらず、消費税問題あたりでごちゃごちゃしていて新しいものは出て来ません。
 日本単独の市場介入などは、前回も指摘しましたが、効果は知れています。

 マスコミはやっと「超円高」という言葉を使って、これ以上円高が進んだら、日本経済はやっていけないという現実に本気で理解を示すようになりました。

 さて、ここまで来てしまって、日本に残された手段は何でしょうか。ヒントは、アジア経済危機の時のマハティールの政策、最近のスイス中央銀行の発言、さらには日本の経験に学んだという中国の政策にあります。
 資本主義の鬼子、マネー資本主義への掣肘です。痩せても枯れても主権国家の日本、一寸の虫にも五分の魂、思い切って為替管理に踏みこむという手段を政策の視野に入れることが必要でしょう。