tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

なぜ内需拡大が必要か

2009年09月25日 14時32分36秒 | 経済
なぜ内需拡大が必要か
 経済の回復策について、これまでもいろいろと見てきましたが、つまるところ、経済が順調に回っていくということは、 一言でいってしまえば、「経済主体(企業という生産主体、家計という消費主体)が、創出した付加価値を使って、バランスの取れた、『目一杯』の経済活動をすること」に尽きるような気がします。目一杯の経済活動をする元気がなければ、経済は停滞するしかありません。

 政府の経済政策というのは、経済主体にそうした行動をとらせる様なきっかけ作りや環境整備ですから、政府がうまく国民をその気にさせれば経済政策は成功、それが出来なければ経済政策は失敗、ということでしょう。

 マンデヴィル(1670-1733)は、名著『蜂の寓話』で一国の経済活動を蜂の巣に例え、蜂が元気よく飛び回っていれば経済は活性化し、蜂が飛び回る気にならないような政策を採ると、経済は沈滞してしまうと説明をしています。
 今の経済は当時より複雑ですから、悪徳も虚栄心も経済活性化の要因という説明をそのまま鵜呑みには出来ないにしても、経済活動の基本は巧みに言い当てられているといえましょう。

 話を元に戻して、日本経済が若くて国民の成長意欲が高く元気だった頃の不況、昭和40年不況 などは、政府が「国債を発行します」といった途端に回復を始めるといった状態でした。
 食べすぎでお腹が痛くなって食べるのを控えていた育ち盛りの若者が、「いい胃の薬があるよ」と言われた途端に、また食欲が回復するようなものでしょう。

 今の日本経済は、自ら生産した付加価値500兆円(GDP)を使い切れません。その分が対外債権になって積み上がっています。
 今、内需拡大が叫ばれているのは、「稼いだ分は自分たちで確り使おう」ということなのです。貯蓄が美徳というのは、誰かが、そのお金を必要とし、将来の発展のために大事に使ってくれる場合で、誰か(政府その他)の無駄遣いのためや、返してくれそうもない外国に貸すための貯蓄は、とどのつまりは日本経済にマイナスです。
 
 此の所、長期に内需不足の日本は、500兆円のGDPを、国内の消費と投資にバランスよく「目一杯」頑張って使わないと経済は縮小一方になりかねません。

 思い切って、積み上げてきた1500兆円の個人貯蓄も、少しは取り崩して使ってみる(例えば、新エネルギー利用のための家庭の設備などに)ぐらいの「国民のやるケインズ政策 」(経済活性化の呼び水)が望ましいのかもしれませんが、さて、その言いだしっぺには誰がなるでしょうか。