tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

景気回復策あれこれ  その4

2008年09月18日 14時10分50秒 | 経済
景気回復策あれこれ  その4
 バブルの時は、株でも土地でもそうですが、多くの人が「まだ値上がりが続く」と錯覚します。最近のアメリカのサブプライムローン問題でも、多くのアメリカ人は「住宅価格はまだ上がる」と思っていたのでしょう。

 しかしバブルがいつまでも続くことはありません。株価は1989年の年末に最高値となり、反落に転じます。地価は「土地神話」への信仰が強かったせいか、1990年の秋辺りまで値上がりしましたが、金融の総量規制、特別土地保有税の強化などで、反落に転じました。もともとがバブルで、根拠のない高値ですから、落ち始めると急速で、まさに「バブルの破裂」です。

 こうして日本は「ダブル・デフレ」に突入しました。1つは資産デフレ、もう1つは、バブルの中で見過ごされていた、プラザ合意によって「世界一高くなった」日本の物価水準の国際価格への鞘寄せ、つまり一般物価の下落(デフレ)です。資産デフレは高値で資産を買った企業などのバランスシートを直撃し、巨大な評価損を出し、土地取得のための借入金返済が不可能になると、それは金融機関のバランスシートに巨大な穴を開けました。大銀行、大証券も潰れる経済の奈落でした。

 こうして、いわゆる「失われた10年」の長期不況が始まったわけですが、資産デフレのその後は皆さんのご承知の通りです。もう1つの一般物価の下落は一部にはまだ続いています。

 このデフレ不況が長くなった理由のひとつには、政府の景気対策の手段がもう無くなってしまったこともあるのでしょう。政府の財政は大変な赤字で、財政政策は取れない、デフレですから金利を下げても「実質金利」は高いのですが、金利はゼロ以下には下げられませんから、「ゼロ金利」を続けますが景気刺激効果はありまあせん、量的緩和をやっても、バブルで懲りていますから、刺激にならない、といった具合です。財政政策も、金融政策も無力となると、政府は放置するよりありません。
 またアメリカにいわれてやった規制緩和、構造改革の効果は、不況の中で格差拡大をもたらした程度でした。
 
 政府には景気回復のために打つ手はなく、景気回復策は、民間に任されることになってしまったということでしょう。それでも、10年たつた2002年辺りから、景気は少し持ち直してきました。政府は「いざなぎ越え」などと宣伝しましたが、次回、その原因を考えて見たいと思います。