tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本人とバランス感覚

2008年04月19日 15時44分13秒 | 社会
日本人とバランス感覚
 バランスシートは、「借方」と「貸方」のバランスで成立しています。複式簿記の発明者、ルカ・パチョリは「これは神の摂理だ」と感じたとのことですが、日本人は、普段の生活の中でも、常にいろいろなバランスを頭の中で考えながら生活しているのではないでしょうか。

 あまりいろいろなバランスを考えると、意思決定も遅くなるし、発言にも遅れをとる、行動も慎重になったりしてしまって、後手に回って損をしてしまうなどといった経験を、国際会議や国際取引などで持たれた方も多いのではないかと思います。

 しかしバランスを考えるということは、常に全体のことを考えいるということですし、相手のことも自分と同じように考えるという意味で、大変大事で、また優しいことでもあるといえると思います。

 たとえば、最近日本の調査捕鯨が反対運動の対象になったりしていますが、多くの日本人にとって、何故、鯨と海豚が特別で、牛や豚はそうでないのか、解らないのではないのではないでしょうか。もちろん私にもわかりません。日本人にしてみれば、人間を含めて、総ての生き物は、生態系の中で何らかの形で他の動・植物を食べて(栄養にして)生きているのは同じです。だから食事の時には「いただきます」と言って、いただく命に感謝するのでしょう。これは昨年7月このブログでNPO「いたごち」と食育 のタイトルで書かせていただきました。

 日本では、養豚業者が、豚の供養塔を建てたりします。命を頂かざるを得ないという現実に対して「感謝」の気持ちをあらわすことで、何とかバランスさせようとしているということでしょう。日本人は無生物の針にさえ、「お疲れ様です」と「針供養」をします。

 こうしたバランス感覚は、今後の地球環境問題、戦争を止めようという世界平和の問題にとっても、また最近弱肉強食化しているとわれる世界経済のあり方についても、実は大変重要な感覚なのではないでしょうか。最近、こうした日本人のバランス感覚についての著述や論議が多くなっているような気がします。バランス感覚は、これからの世界に役立つ大切な文化なのかもしれません。