tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

サブプライムローン関連損失97兆円

2008年04月09日 10時44分14秒 | 経済
サブプライムローン関連損失97兆円
 IMF(国際通貨基金)は(昨日(2008/4/8)、サブプライムローンに関わる損失が、関連する分野も含めると9450億ドル(97兆円?)に達する可能性があると発表しました。合わせてそれによる世界経済へのマイナス影響についての懸念を示しています。

 もともと金融というのは、実態経済の活動をより効率的にするために行われる活動であるはずのものが、お金でお金を儲ける手段になってしまって、実態経済にダメージを与えても、恬として恥じないといったことが常識になりつつあるような気がしてなりません。そのために金融工学を発展させ、会計基準や国際金融制度を変更(自由化の名目で)することを主導したのは、万年経常赤字を資本収支(金融)で補填することが必須のアメリカであることには十分の留意が必要です。

 1兆ドル近い損失は日本のバブル崩壊時に匹敵するといわれますが、今回は、推定約半分がアメリカ国内で、後の半分は証券化で外国に損失を移転しています。事を起こしたアメリカは半分の損失でまぬかれて、あと半分は外国負担ということになります。しかも関連証券の格付けが当初極めて高かったことなどを考えますと、今日の金融システムは、主人である実体経済をないがしろにして、とうとう主人に危害を加える下剋上を演じてしまっているということになります。

 お金でお金を儲ける「キャピタルゲイン」は、富を移転するだけで付加価値を生みません(金利、配当は付加価値生産を経由しますからキャピタルゲインではありません)。それが実態経済の付加価値生産活動(諸国のGDPの拡大)にマイナスの影響を与えることは、世界の損失ですから、何としてでも防がなければなりません。

 IMFに八つ当たりして申し訳ありませんが、 IMFには損失額の発表と先行きへの懸念だけではなく、世界経済の発展に最適な「あるべき金融システム」も早急に考えてほしいものです。