tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

間接金融か直接金融か

2008年04月14日 10時51分11秒 | 経営
間接金融か直接金融か
 企業が資本を増強したい時、銀行からお金を借りるというのが間接金融方式、株を発行して資本市場から直接資本を調達するのが直接金融方式といわれます。
 戦後の日本の企業の発展の中で考えて見ますと、かつては間接金融方式が圧倒的で、銀行の役割はきわめて大きいものでした。主要都市の目抜き通りの四つ角では少なくとも3方が銀行だなどといわれました。

 しかし、1960年代頃から「証券よ今日は、銀行よさようなら」などといわれるようになり、株式投資が盛んになりました。といっても、日本人の貯蓄の内訳は、郵便貯金、銀行預金、確定利付債券、生命保険などが中心で、なかなか庶民が株式投資とは行きませんでしたし、その傾向は今でも続いています。

 一方、金融業界のほうは、金融先進国といわれるアメリカ、ヨーロッパの方式がだんだん盛んになってきています。それは、企業に対する直接投資中心の金融のあり方です。かつてIT技術の急進展の頃はベンチャーキャピタルが人気でしたし、今日のように、年金資金などが積み上がってくると、 いわゆる投資ファンド(private equity)が全盛のようです。

 こうした直接投資型の金融機関は、従来の銀行の方式はローリスク・ローリターンで面白くないと思うのでしょうか、ハイリスクでもハイリターンを指向しますから、出資者にもそのリスクを負ってもらいます。つまり銀行預金のような確定利付きではなく、投資信託方式で、利息も元本もリスクにさらされています。それでも、特に、今の日本の場合は、金利水準は「異様」な低さですから、家庭の主婦をはじめ、庶民も投信に興味を持っています。銀行は、定期預金が集まりませんから、関連証券会社の投信を売って、手数料をもらっています。

 ビジネスのリスクをきちんと自分の中で消化し、預金者には確定利付きという形でリスクを負わせなかった銀行が衰退し、資金の運用にはリスクがあって当然という考え方が一般的なりますと、業界の知識に疎い庶民は、説明の上手い投資業者の言うことを信用することになるのでしょう。しかし説明の上手さと投資の手腕は関係ないかもしれません。

 ささやかの貯蓄を運用する庶民にとっても難しい世の中になりましたが、ビジネスの世界でも、今流行の直接金融方式が、本当に、より優れた方法なのでしょうか。このあたりは十分に考えないと、「銀行よさようなら、証券よ今日は」のままで本当に良いのか、最近の世相を見ていると、日本でも、世界でも、問題が多いようです。