tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

中国の最低賃金大幅引き上げ

2007年05月01日 14時03分47秒 | 労働

中国の最低賃金大幅引き上げ

 昨年来、中国では最低賃金の大幅引き上げが行われているようで、中国に進出している日本企業でも気にしているところが多いようです。

 上げ幅は大変なもので、上海や北京などの先進地域では一桁ですが、東北部や西の内陸地域、南の経済開発が遅れている地域では30から40パーセントの引き上げになっているようです。

 1994年、人民元の為替レート一本化(実質大幅切り下げ)以降、賃金の上昇を抑え、物価上昇を抑制して「中国はデフレです」などという声が聞かれる様な状態を続けながら、圧倒的な低コストで、圧倒的な国際競争力を維持し、世界中に物上昇価抑制の効果をもたらすほどの影響力を持った中国ですが、このところ、政策変更の動きでしょうか。

 こうした最低賃金の大幅引き上げについての正式な説明はなかなか聞こえてきませんが、「中国はもう低賃金国家ではないという意思表示ではないか」とか「国内で発生している大幅な所得格差を放置すれば社会不安が激化しかねない」などの論評が聞かれ、特に後者は、中国通の人のなかでも多く支持されている見方のようです。

 しかし日本の進出企業も気にしているように、大幅な最低賃金の引き上げは、企業経営の視点からは大きな問題でしょう。そんなに大幅に引き上げられた賃金を、経済開発の遅れた地域の企業は支払えるのだろうかと誰もが考えます。中国は共産党一党支配の国ですから、政府が決めた最低賃金を企業が払えるように、その地域に政府が大規模な投資をしたりすることも可能でしょう。しかしそうしたことをいつまでも続けるわけにはいきません。

 巨大な国の巨大な実験ですが、最近、最低賃金の大幅引き上げ論が出ている日本としては、中国の今後を十分注視する必要があるのではないでしょうか。